第11話:よーく考えよう〜お●は大事だよ〜
太陽は昇り朝が来る。
時間は分からないがパメラは目を覚ました。
部屋の端の方で寝ていたランドは既に居なかった。
パメラはベッドから抜け出し部屋の中を歩き回る。何も無い部屋だった。
パメラはここに来た記憶が無い。と言うのも、砂漠での暑さと飢えと渇きにより気を失ない、気づいたらこの部屋で寝かされていた。
ランドは、気を失なった私を担いでここまで来たのだろうか──。
そう言えば、ランドはどこへ行ったのだろうか。
パメラはドアを開けた。ドアの外は、カビ臭い廊下が続いている。壁には、クモの巣までかかっている。
天井からは、小さな生き物が走る足音までもが聞こえてきた。
昨日の晩に、彼が持っていた半分になった尾が長い生き物らしき物体は、ここに居る天井裏の住人だったのか──それとも、砂漠の住人だったのか──。
砂漠の住人は、一応は食用に認定されている。いくら雑食であろうが、天井裏の住人は食べる(られる?)ハズは無いとパメラは自分に良い聞かせた。
(※正解は、天井裏の住人)
とりあえず、パメラは廊下に出り階段を降りる。
1階は、広い宴会所みたいな所になっており丸い机がいくつも置いてある。
その中で、窓側で椅子に座り水を飲みながらボーっとしている男に近づいた。
「ランド、おはよう」
パメラはランドに声をかける。
「えっ?──あ…ああ」
不意に声をかけられた感があったのか、それとも何か考え事をしていたのだろうか──曖昧な答えにパメラは不信になる。
「どうしたの?」
「いや──別に何でも無いよ。それより、朝飯を食べたら少し待ってて欲しいんだけど」
「何で?」
パメラは聞いた。
この町は、自分にとってもランドにとっても初めて来る町。何か用事があるとは思えなかった。
ただでさえ、自分達はいっこくも早くクルシスランドに向かわなければならないのに──。
そこに店の主人だろうか、1人の男が近づいて来た。主人は、2人の座っている机の前に立つと話だした。
「ランドさんよ、いやいやいや本当にありがとさんですよ」
何かの礼だろうか、それともこれから何かをする為の礼なのか──主人は話を続ける。
「砂漠の洞窟に連れてかれた私の娘を取り返して頂けるなんて、誰にも頼れ無かったから本当に感謝感謝ですよ」
砂漠の洞窟?娘を取り返す?私が寝ている間に何があったの?
「ランドどういう事?」
軽くキツい目つきでランドを睨む。
「いや、娘さんが砂漠の盗賊か何かに捕まって助けに行かなきゃいけないんだよ」
「違うわよ!何で、ランドが行かなきゃいけないのか!」
早く行こうと言うのと、娘を助けると言うのにパメラの機嫌は傾き始める。
「宿代…」
ボソっと言う。上手く聞き取れず聞き返す。
「宿代が払えないんだよ」
つまりは、宿代が払えず厄介事を受け宿代の代わりにしようと言うこと。
「そんなもん私に任せてよ!」
ドンと胸を叩いた。パメラは学校の理事長の娘。お金なら腐るほど持っている。
自分のズボンのポケットをあさりだした。
「えっと──あれ?こっちかな?えっと──」
無い!何も無い!レシート1枚も入って無い。
そう言えば、家の者には内緒で来たんだっけ?冷たい汗が背中を流れる。
宿代2人分で、1泊1200Gを払うか娘を助けるかと言う決断が迫られ、あっさりと引き受けたランド。
お金が無いのは知っていた、自分も持ってない。
この先も、お金が必要になるかも知れない。
娘を助けたら宿代無料+いくらかのお金をくれると言う話も出た。
とりあえずは、朝ご飯を食べてから始まるのだ。