7話 家族の心境
俺は名前は、シリウス。
昔は騎士として、国に仕えていた。
その頃起こっていた大戦も落ち着き、
今は、この村の護衛をして、のんびり暮らしている。
普段は何をしているかと、付近に出没する魔物を退治や、
盗賊を追い払ったりなどしている。
あとは、たまにある国からの要請で、傭兵のような事をやっている。
俺には双子の息子達がいる。
兄のヘリオスと、弟のセリニスだ。
出産の時は、ものすごく大変だったが、
無事に生まれてきて良かったと、心から思ってる。
そんな双子の兄弟だが、すこし変わっているんだ。
いや、兄はいたって普通の子なんだが、
弟のほうが、かなり変わっていると思うんだ。
例えば、生後間もない頃には、魔力を集めることが出来ていたらしい。
らしいというのは、俺には魔力は見えないから、本当に使えているのか分からなんだが……
俺の話は良いとして、生まれてすぐの赤ん坊が、
誰に教わるでもなく魔力を集めるなんて、普通ならありえない。
普通は、師のもとで学び、訓練しなければ魔力を集めるなんて出来ないはずなんだが。
セリニスは特別なんだろうか……
そして、剣の才能もあることが最近わかった。
幼い頃、兄と打ち合いをしていて、打ち返さないものの、全て受け流せていた。
最近は、外で兄と剣の稽古をしているが、よく打ち合えている。
だが、やはり受け流すのみで、打ち返すことはしないようだ。
もしかしたら、攻撃の仕方が分からないんじゃないか。
そろそろ稽古を付けてやるべきなのだろうか……
ただ、気になったことがある、木剣を作り、渡してやった時だ。
良かれと思ってやったことだったんだが、あからさまに嫌そうな顔をしていた。
もしかしたら、剣を振るうのは、あまり好きでは無いのかもしれない。
そうだとしたら悲しいが、その時はその時だ。あまり無理強いはしたくない。
本当に嫌がるまでやらせてみよう。
好きな事と、才能は必ずしも一致しないが、生きる幅が広がるのは良い事だと思う。
そして、今日面白い事があった。
聞いた話なんだが、友人の娘と五分五分の試合をしていたそうだ。
この歳で、あの娘とまともにやりあえるなんて凄すぎるだろう!
セリニスは天才なのかもしれない!
これは鍛え甲斐がありそうだ。
フフフ……将来、一緒に魔物狩りなんてするのもありかもしれない。
息子たちと一緒に、この村を守る。
素晴らしいことじゃないか。いやぁ、心から嬉しいものだ!
いや、このまま育ってくれれば、国家騎士として活躍するのもありじゃないか。
いや絶対そうなるはずだ!なんせうちの子は天才だ!
そうそう、近いうち、その友人の所に、
剣の訓練に行くらしい、騎士として成長するにはいい場所だ。
上手くやってほしいところだ!
私はシンシア。
昔は、良いところお嬢様だったるするのよ。
いろいろあって今の夫と出会い、この村で暮すことになったの。
そして、しばらくして子供を授かったわ。
産まれた時はびっくりしたの。だって双子だったんだもの。
その時はもの凄く嬉しかったのを、よく覚えているわ。
その私の子ども達なんだけど、ちょっと変わっているようなの。
といっても、その双子のお兄ちゃんは割りと普通だと思うんだけど、
弟のほうが特別変わってるの。
産まれて間もない頃なんだけど、びっくりしたことがあったのよ。
お兄ちゃんへミルクをあげている時だったわ。
急に、不自然な魔力の流れを感じたの。
よくよく調べてみると、その魔力はどうやら、赤ちゃん達の方に流れているようだったわ。
さらによく観察していると、弟のセリニスのほうが、魔力を集めているようだったの。
もの凄く驚いたわ。
だって、生まれて間もない赤ちゃんが、魔力を扱うなんてあり得ないのよ。
何日か様子を見て気付いたんだけど、
どうやら意識的に魔力を操作している事に気づいたの。
魔力自体を扱えるなんて……一体どういう事なのかしら。
そんなの、おとぎ話か、幻獣様の話くらいでしか聞いたことないわ。
この話は、夫と二人で相談したんだけど、
二人だけの秘密にしようと決めたの。
だって、あの国に見つかったら大変だわ。
前の大戦はとても悲惨なものだったもの……
あのせいで、私達の種族はかなりの犠牲者を出してしまったんだもの。
もう、思い出したくないし、起こってほしくないわ。
そうそう、他に変わっていることと言えば、
昔からほとんど泣かないし、あんまりお話をしないの。
なんでかしら。
でも、お兄ちゃんと二人きりの時はよく喋るのよ。
物陰で聞いていると、「これはこうやって使うんだよ」「それは危ないからダメ」
と、いろいろ教えてあげてるみたいなの、かわいらしいわ。
この前なんか、お兄ちゃんがお漏らししそうになった時、
トイレに連れて行って、使い方とか教えてあげてたのよ。
本当によく出来た子で、親として誇らしいと思うわ。
だけど、たまに怖いなと思う時があるの。
たまになんだけど、どこか一点を見つめて、ニヤニヤしてる時があるの。
そうだとおもったら、何かを考えたように思い詰めたような顔をしたり。
たまに、手を伸ばして何かを触っているような仕草をするの。
あれは何なのかしら……セリニスには何かが見えているのかもしれないわね。
うちの子は神様に愛されいるから、きっと、神の使いの方でも見えているのよ!
そうに違いないわ!
うちの子たちは、一体どんな子に育っていくのかとても楽しみだわ!
ブックマークありがとうございます。
日々、このまま続けて良いのか、
不安で押しつぶされそうになり、やめるべきなのかと迷っていますが、
お陰様で、続きを書く原動力となっております。
拙い話で恐縮ですが、少しでも楽しんでもらえるよう、
続きを書いて行ければと思っています。