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15話 はじめてのおつかい

そんなこんなで半年ほど経った。


ヘリオス兄とティアは、

ビッグラビット程度だったら、俺のサポートなしで狩れる実力になった。

頼もしいことだ。


まだ森の深くまで入れないため、ビッグラビットしか狩れていないが、そろそろ奥まで入っても良いのではないのか。

いや、油断は禁物だ。

焦らず慎重にやろう。


しかし、少しばかり心躍るものがある。

自分の行動範囲を広げ、自分の中にある地図を広げている感覚だ。

冒険をしているそんな気分、どこか浮かれている自分がいることに気がついた。


この先を進んだら、一体何があるんだろう。

この森の奥には、一体どんな生物が住んでいるんだろう。

あの山を越えたらどんな景色を見ることが出来るのだろう。


魔物がいる世界で危険ではあるが、

きっと想像の付かない事が待ち受けているに違いない。


前世のようなインターネット見れば、ある程度理解できる様な事は無いはずだ。

なんて言ったって、ここはファンタジー世界だ。

わくわくするような出来事があるはず。

俺はそんな世界を見てみたい。

そりゃあ危険は付き物だろうが、独り立ちしたら冒険してみるのも悪くない。

そんな事を考えたりしている。


しかしここ最近はビッグラビットを狩るばかりの日常だ。

そのせいか、村で少しばかり有名になってしまった。


ティアの母親にバレた時はかなり怒られてしまった。

「やっぱりシリウス達の子なのね、血は争えないのかしら」と、遠い目をしながら呆れられた。


普段の言動を見ていたのでなんとなく理解していたが、父親は周りを振り回すような人間だったのだろうか。

我が父親ながら、周りに迷惑はかけて欲しくないと思う。


その両親達だが、やはり帰って来る事は出来ないらしい。

いざこざは解決できていないとの事だ。

ヘリオス兄は、少しばかり落ち込んでしまったが、以前、両親が旅立った時ほど落ち込んでいる様子はない。

兄弟二人で生活するのもだいぶ慣れてきたのだろうか。

ビッグラビットを狩れるようになった事で自信が付いたのだろうか。

心なしか目に力を感じる。

自立出来てきたのではないかと感じる今日この頃だ。



そんな俺達に依頼が舞い込んできた。


「なぁお前ら。となりの街までおつかい頼まれちゃくれねぇか?」


肉屋のおっちゃんに頼まれ事をされた。


細かい内容は教えてもらえなかったが、

内容としては、仕入れの依頼と、村からの冒険者ギルドへの依頼書らしい。


その街までは、街道を半日ほど歩けば着く程度の道のりらしく、「お前ら、もう7歳くらいだろ。問題ねぇ」との事だった。


問題ないのだろうか?

まだ7歳程度だぞ。

前世では小学1年生程度だ。

低学年だぞ。

幼稚園卒業した程度だ。


ティアの母親に聞いた話では、

この世界では、学校なんてお金に余裕のある貴族様しか行くことは無いらしく、5歳位からは普通に親の手伝いなどをして働くことが普通らしい。

義務教育なんて存在しないらしい。

この村には、教育するような施設が無いのは気づいていたのだけれど。


俺達は結構恵まれていたのかもしれない。

なんだかんだ、親の資金で悠々と暮らしているし、

この世界の常識に照らし合わせると、割りと過保護な生活をしているのだろう。

そんな事を考えながら、心の中でひっそりと両親に感謝をしていた。


「ねぇティア。隣街って行ったことある?」

「だいぶ前に一度だけ行ったことあるよ。結構大きい所なんだよねー」

「ふーん、楽しみだなぁ。そうだ、冒険者ギルドってどんな所なの?」


冒険者ギルド。その響きに心躍る。

どのような組織なんだろうか。

とても興味が沸く。


「えっと……行ったことないから分からないよ」

「そっか」


用事がなければ行くような所でもないか。

ティアの家族が行くような理由も無いと思う。

少し考えれば分かるようなことだったな。


子供3人で隣町までお使いか。

ちょっとした冒険だよな。

片道半日程度って言ったって、1日で済む話じゃ無い事もあるだろう。

最低でも1泊は必要な場合もあるだろうし。

旅費も考えなくてはならない。お金はどうするべきか。

両親の残してくれた分と、仕送りがあるため、普通に生活する分は問題ないが、今回の様に突然の出費があると賄い切れるか不安になる。


この先を考えると自分で稼ぐ必要もあるだろうし、良い経験とも考えられるけど、情報が足りないから不安なのは変わりない。

稼ぎどころが増える可能性があるのは良い事なんだろうけど。


少し考え、頼まれたのに自分たちのお金だけ使うのはどうなのかと思い、

肉屋のおっちゃんに相談した所、旅費を手に入れることが出来た。


「おっとすまねぇ。うっかりしていたぜ」と言い村の依頼料としてある程度渡されていたお金を貰った。

そして、悪いことをしたと言って、ビッグラビットの肉も貰えた。

悪意はなかったんだろう。

相談を持ちかけて良かった。


そうそう、この国はエレティニス硬貨というものが流通しているらしい。

価値は上から、白金貨、金貨、銀貨、大銅貨、銅貨だとの事、実にファンタジーっぽい。

しかし、一般的な物価がほとんど分からないため、それぞれの価値はいまいち分かっていない。

そこら辺も街に行った時に調べよう。


そこから分かったのだが、自分たちのいる国はエレティニスと言うらしい。

聞くまで全く意識していなかった。

貨幣の存在は理解していたが、国名は知らなかった。

まだまだ知らないことが多い。

幸い急ぎの依頼ではないらしいし、街に行ったら情報収集もしよう。


かなり不安ではあるが、楽しみでもある。

明日からは初めての冒険だ。

うーん。この物語はあまり面白くないのかもしれないと言う不安に駆られてきました…

心が折れない限りは頑張りたいと思います。


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