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11話 告白

家族会議があった日は、家族4人で寝ることになった。

暖かい。こういうのも悪く無いと思う。


家族の皆の規則的な寝息の音がする。

右には兄がいて、それをはさむように両親が寝ている。


俺はと言うと、頭の中で色々な考えがぐるぐる回ってしまい、心が落ち着かず、どうしても寝付けることが出来なかった。

目が冴えに冴えており、眠気なんて存在する隙間なんて1ミリもなさそうだ。


どうしたものかと、みんなが寝静まった後、布団から抜け出し、外にでも出てみようかと考えた。

夜風にでも当たって、呼吸をととのえれば少しは落ち着けるだろう。


季節柄なのか、外はまだ暖かい。

ふと空を見上げると、数え切れない数の星が鮮明に輝いている。


(主様。こういう時は暖かいものを飲むと心が落ち着くと聞いたことがあります。さぁどうぞ)


そう言ってケット・シーは白湯を持ってきた。

俺の心境など、ケット・シーには見透かされているらしい。

感情を隠せない自分に少し嫌気が差しながらも、

ケット・シーの厚意を有難く頂く事にした。


「ん。ありがとう」


ケット・シーて基本良い奴だよな。

少し抜けている所があるけど、可愛気があるし、優しい。

俺には勿体無い存在だ。


白湯を飲む。

確かに少し落ち着いたかもしれな。

しかしこの白湯、どうやって準備をしたのだろう。

そんな事を考えていたら、急に声を掛けられた。


「眠れないのか」


父親だ。

俺は驚いて、白湯が入っている容器を落としそうになった。

少しこぼれた湯が膝にかかり、顔をしかめる。


振り返ると、父親は腕を組んで、扉により掛かるように立っていた。

起きてしまったのか、そりゃ布団間にいる子供が動いたら起きるだろう。


俺の驚いた表情を見て父親は困ったような顔をしている。

そして、表情が真剣なものになったと思ったら口を開いた。


「そうなんだな。やはりセリニスには、神の使いが憑いているんだな」

「え!?」


急な言葉で驚いた。

ケット・シーが見えているのか。

そんな事は無いはずだけれど。

だって、この前、そうケット・シーが言っていたし。

だけど、父さんは「やはり」と言った。


「父さんは何の話をしているのかな!? そんな、神の使いなんているわけないじゃないか! きっと勘違い、そう勘違いだよ! いやあ父さんってそんな冗談を言ってしまう事もあるのだね! 今の、なかなか面白かったよ!」


動揺がそのまま俺の言葉として飛び出した。

自分の設定キャラを忘れてしまった。

俺は無口で寡黙で通して、ボロを出さないようにしているんだ。


(主様、テンパってしまってはいけませんよ。そこは冷静に、落ち着いて対処をするのです!)


くっ、悔しい。


けれど、父親はそんな事を気にもする事もなく、

俺の隣りに座って話しだした。


「さっき湯呑みが空中に浮いていただろ。それにお前、何かに話していた様だったしな」


見られていたのか。

ケット・シー、完全に油断していたな。


(あわわわわわわ)


お前も落ち着け。


しかしだ、昼間の不審な来客といい、先程の家族会議の話といい、俺はかなり動揺していたようだ。

全く気が回らなかった。


ちらっとケットシーを見る。

ケット・シーはしょんぼりと、申し訳無さそうにしていた。

責めてるつもりは無いのだけれど。

親切でやってくれたことだし、どちらかと言うと俺に非がある。


「やはりって、何時から気付いてたの?」

「そうだな、何時からって言われると思い出せないな。産まれて間もない時から魔力が使えていたようだし、その頃から薄っすらな」


おっと。だいぶ昔から疑われていたようだ。

そこまで、見られていた気がしないのだけれど

親って、子供の事はみていないようで、ちゃんとみている物だしね。

仕方がない。うん、仕方がないんだ。

言い訳をしていたら、少しは気分が落ち着いた気がする。


「隠したかったわけじゃないんだけど、普通じゃないかなって思って、なかなか言い出せなくて」

「大丈夫だ。間違っていない。俺達も今後隠していろ。俺も言いふらすつもりはないしな。あまり大っぴらにしてしまうと、きっと良くないことが起こる」

「良くないこと?」


ここ最近の周りの反応で、普通ではないのは理解している。


「アレックスから聞いたが、無詠唱で魔法が使えるらしいな。そして、おそらく神の使いが憑いている。そんなの神話でしか聞いたことがないぞ」


第三者から聞くとアレだな。

かなり普通じゃような気がする。


「そんな話し、ヤツらの耳に入ったら碌なことにならないからな」

「昼間言ってた、問題を起こしてたって言うあの」

「聞いていたんだな」


しまった。

俺も大概抜けている。


「ほんとお前は聡いヤツだ」


やってしまったと、俺が落ち込んでいると。

父親は小さくため息をし、話しだした。


「そうだなセリニスには少し話しておこうか。この国で起こっている問題について」


そういって、思い詰めたような表情で父親は話しだした。


「この国はさっき言ってたヤツラ、ゲファラーフ帝国に戦争を吹っ掛けられている」

「戦争」


やっぱりだ。

一番恐れていたこと。戦争。

この世界は平和ではなかったのか。

どうなってしまうんだろうか。

人が死んだりするのだろうか。

もしかしたら、両親も?

そんな事良いはずがない。


様々な考えが頭を駆け巡り。

不安と焦燥が。


そんな様子を察したのか、ケット・シーがふよふよとやってきて膝の上に乗り、

優しく手を擦ってくれた。


「理由は分からないが、魔力を扱うことに長けている種族が多いこの国の人間が気に食わないらしい。襲ったり、攫ったりしているんだ」


人種戦争なのだろうか。

地球も人種差別から戦争に発展するとかあったもんな。

馬鹿げた話だと思うが、そんな事で人は戦争をしたがるらしい。


「だからだ。神話の話に出てくるようなセリニスの話が広まったら、奴らは、絶対にセリニスに危害を加えるだろう。そんな事、許す訳にはいかない」


そうだよな、そんな差別の象徴であろう人間、放って置く訳がない。


「だから、戦場に近くて、人の多い場所。そんな所にセリニスを連れて行くは出来ない。もちろんヘリオスもだ。お前たちと離れるのは嫌だが、それ以上に危ない目にあってほしくないんだ」


そうか、両親も悩んだんだろう。

子供と離れて嬉しい親なんて、そうそういないだろう。

特に今の両親はそうなんだと思う。

普段の、家族に対する愛情を見ていたらよく分かる。


「半年したら帰ってこれるんだよね」

「そうだな。そういう話になっている」


半年か。

長い期間ではないし、大げさな話にはならないと思いたい。


「弟に頼むのは何だが、兄の事をよろしく頼む。サポートしてやってほしい」

「分かったよ、約束する。家のことは任せてよ、ある程度のことは出来るしさ。父さんも気をつけて、大怪我するような事にはならないでよね。あと、母さんの事お願いね。絶対に守ってよ」

「お、おう。なんだ、セリニスは思っている以上にしっかりしてるんだな。さすが俺の息子だ、頼りにしてるぞ」


その晩は父親と、少しばかり他愛のない話をした。

「剣術の練習はもっとしておいたほうが良いぞ」とか、「ティアの事はどう思っているんだ」だとか。


ティアの話の時に、「僕が良いお婿さん候補を見つけるよ」的なことを言ったら、

苦笑いと言うか、困った顔というか、なんとも言えないような表情をされた。


そんなこんなで、夜も遅くなったので、

父親と一緒に寝室に行き、寝る事に。


(なんとう言う僥倖。これが青天の赤靂というものなのでしょう!)


……


きっと驚いという事を表現したのだろうが、使い方が間違ってるし、それだと過去の偉人が飛び上がら無かったとおもう。

って。ん?

評価、ブックマークありがとうございます。

嬉しいです。続きを書く力となっております。


引き続き、ヘリオス達の物語を宜しくお願いします。

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