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全てこいつ等のせいなんです。  作者: 木戸 愛樂
1/1

全てここから始まったんです。


人が犇めく東京の街中の、

一つの旅館で人が死んでいる。

その側には男が一人。

男はニヤリと笑いつぶやいた。


「犯人は……


…僕です」


-一週間と三日前-

「当たったぁ!!?」

妹が声を上げる。ちょっと、自分でも頭の理解が追いついていないのだが、

妹はそんな状況でも待ってはくれない。

「あの、東京観光旅行三ヶ月間無料プランに、当たったていうの!!?」

「あぁ、そうな…」

「ちょっと待って、じゃあ三ヶ月間兄ちゃんいないの!?

三ヶ月だよ、三ヶ月!一年の1/4!

いや、でも兄ちゃん学校は?三ヶ月も!休むの!?

えぇ!ずるいぃ!来年受験でしょ、大学の。

三ヶ月はないでしょ~~

ていうかさー…」

どうやら妹は俺に喋る時間をあたえてくれないようだ。

こんなんだから彼氏も…出来たんだよな~。

本当に奇跡だろ!

今まで喋り続けていた妹が本日二回目の声を上げた。

「あぁ!!」

「あ?」

全く騒がしい、今度は何だ?

「いつ…行くの?」

「あぁ、一週間後」

「ギィヤァァァァァァァ!!」

マジ、うるせぇ。



今でも時々夢にみる。

あの場所、あの感触、最後の言葉、全て鮮明に映し出される。

アパートの屋上に立つ父を十歳の俺は……





        押し殺したのだ





「ハッ!はぁー、はぁー、はぁーー」

体中から汗が吹き出している。

頭の上に置いている目覚まし時計によると、

今の時刻は朝の三時三十七分だ。

さすがに旅行当日の朝の夢にはおすすめできないな。

実はこの夢には続きがある。


(お前が殺ったんだろう?)


あの少し老いた刑事が言うのだ。

全てを見てきたような、大きく見開いた目で…

もうやめよう、考えるな。

そうだ、実季(妹)が作ってくれた夕飯のカレーの残りでも食べよう。

考えるな、思い出すな、もう早く消えろ。

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