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浮上 -ボケじいとの夏休みー   作者: TAKEMITI


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覚悟

海達がなぜ、演説を始める前に感じた疑問を胸に、近寄ると、既に田中が何か話している。あいつの性格上、古谷さんと一緒についた嘘のことやその他のこともばらしかねない。とりあえず、田中をあの場所から遠ざけなければ、そして出た言葉が、「田中、何の話をしてるんだ、さっきから。」だった。

 田中の気まずそうな顔と子ども達の反応から、私には聞かれたくない話だったのかと思いひやひやする。とにかく、田中にねぎらいの言葉と感謝を伝え、そして飲みに行く約束をして、田中を追い払うことに成功した。平静を装いながら、

「それで、海達にはどうしてここにいるんだ?」

 私がここで演説することを海が知るはずがないから、美紀から聞いたのかと思い、視線だけで自分の妻の姿を探す。すると海が、

「お母さんなら来てませんよ。」

 私は驚いて、、海を見た後、

「そうか。」

 なぜ私が美紀を探したのが分かったのかと思っていると、

「おばさんは、おじさんが自分達に格好悪いところを見られたくないだろうから行かないって言ってましたよ。」

 太一君であろう彼が言い、

「ああ、そうなのか。太一君だよな?」

 太一君は笑顔で、「はい」と答えた。一番小さかった子がまさかここまで大きくなってるとは、と思いながらまじまじと見ていると、

「やっぱり、太一の成長ぶりは誰が見ても驚くもんなんだよ。」

 力君は相変わらずの金髪だが、昔のような少し寂しそうな感じはなく、明るくはつらつとしたイメージを受ける。慎君も大人しそうに見えて、先ほどから何かを考えている。懐かしいなと思いつい顔の表情が緩みかけるのを感じて、引き締めてから、

「私の質問に答えたらどうだ?」

 少し強く言い過ぎたかなと海を見るが、海は少しも動じた感じがない。そんな海が、

「ボケじい、いえ、古谷さんから色々と教えてもらいました。」

 古谷さんが何を教えたのだろう、私の過去のことだろうか、それとも古谷さん自身のことだろうか、それとも・・・・・。私が海の言った色々の思いをはせていると、考え込んでいた慎君が、

「おじさん、ボケ・・・、古谷さんがここ数日見当たらないんですけど、どこかに行かれたとかご存知ですか?」

 なるほど、彼らはまだ知らないのか、じゃあ、海の言った色々にあのことは入っていないなと思い、

「君たちの呼びたいように呼べばいい。あの人でもそういうと思うからね。」

 それを聞いた海が、

「お父さんなら、ボケじいがどこに行ったかを知ってますよね?」

 知っている。でも、教えたくない。彼は今・・・・。その思考は海の言葉によってさえぎられる。

「ボケじいの話を聞いていたゆみちゃん達が、ボケじいの感謝の寄せ書きを作ってます。せめてそれだけでも渡させてあげたいんです。」

 その言葉を聞いて、少し決心が揺らぐ、どうしよう。

「ボケじいが、また明日おいでって言ったんだよ。」

 力君が言い、慎君が

「まだ聞いてないこともあるんです。」

「ゆみちゃん達も楽しみにしてるんです。」

 太一君が言う。最後に海が

「また明日って約束したんです。」

 ベッドの上のあの人がよみがえり、部屋を出る時に言われたことが思い浮かぶ、

『大丈夫、わしにはまだ果たしてない約束がある。』

 そうか、あの人はもう気にしてないのかもしれない。心を決めて、

「明日、朝八時に古谷さんの家の前で、待っていなさい。」

 子供たちの顔に笑顔が広がる、海が

「それじゃあ、ゆみちゃん達も。」

 私がうなずくと慎君が

「でも、どうやって伝えるの?」

「私が伝えておこう。彼らのお父さんたちも来ているからね。」

 子供たちは安どの表情を浮かべ、そして最後に

「海、全ては明日話す。今日は家でもこの話はなしだ。わかったね?」

「はい。」

 海の答えを聞き、きびすを返し、子ども達から離れる。

私も覚悟を決めて、明日全てを・・・・・・。


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