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浮上 -ボケじいとの夏休みー   作者: TAKEMITI


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ボケじい

僕らは全員の今までのことを太一に教え、太一は力の話に涙し、慎の話に一緒に悩み、僕の宿題の話に、

「小学生の宿題みたいだね」と言った。

力はそれを聞いてニヤリと笑い、慎は力を見てあきれてため息をつき、僕はその様子を見て笑った。

そんな友達同士のありふれた光景が僕らの間ではかなり特別なことに思えて、とても嬉しかった。

太一が、

「それで、今は何をしてたの?」

「ボケじいの話に出てきた市長さんを調べに来たら、海のおじさんの記事を見つけて、僕らのせいでおじさんが今、大変な思いしてるんだってことがわかって、 落ち込んでたところ。」

慎が説明して、力が、

「俺らの施設のために、おじさんが責められてるのは違う気がするよな。」

僕はなにも言えずに下を向いていたが、太一が新聞記事を読みながら、僕に向かって、

「この、市長本人の生い立ちって何?」

「僕にもわからないけど、お父さんは小学生くらいの時に、この町から転校したって言ってたくらいしか、お父さんの昔の話は知らないんだよ。」

そう答えながら、お父さんのことを何も知らずに、ずっと嫌ってきたのかと思うと自分で自分が嫌になった。

「なんか聞いたことある話だよな。」

何気なく言った力の言葉は、誰も反応しなかった。慎が

「それで、太一は何か気づいたの?」

「僕が見る感じでは、海のおじさんが責められてるのは、施設にお金を出したからじゃなくて、この生い立ちが原因なんじゃないかな?」

「どういうことだよ?」

力が聞き、太一が

「海のおじさんは古谷さんっていう市長さんの政策を続けたことで市長になれたんだから、それを続けても批判されることはないと思うよ。

この記事で重要なのは、海のおじさんの生い立ちが、この政策を続けることに繋がったことなんじゃないかな?」

「でも、古谷さんは僕があってる人なんだよ?」

 僕が思い出していうと、慎と力もその事を思いだし、

「そうだよ、古谷さんがわかれば、その人から色々と聞けるかもしれないよね。」

「でもさ、海が毎日あってる人なんて・・・」

力が言いかけて、僕達はある人物が思い浮かんだ。

「ボケじい?」

僕が言うと、力が、

「そう言えば、ボケじいの名前知らなかったな。

誰だよボケじいとか失礼な呼び方したの。」

「そう言えば、知らないね。どっちかって言うと記憶力は良さそうだよね?」

慎が言い、僕が

「ボケてる感じじゃないよね。」

僕らが考え込んでいると、太一がきょとんとした顔で、

「何言ってるの?ボケじいって最初に呼んだのは海じゃない。」

「えっ?」

僕らは同時にそう言って太一を見ると、太一が

「もしかして忘れたの?ボケじいが、家の前でひとりで話してるのを見て、力がボケてるんじゃないかって言い出して、海が『ボケてるおじいさんだからボケじいだね』って言ったんだよ。」

「おい海、お前失礼にもほどがあるだろ。」

力がそう言って、僕の方を見ると、太一が

「でも、大きな声で最初にボケじいって話しかけたのは力だよ。」

気まずそうに力が太一の方を見て、慎が

「じゃあ、僕達が最初にボケじいって呼んだってことだよね。」

「そうだよ。あの日、僕らがボケじいの話を聞いて、力が大笑いしてるのを見て、他の子達も集まってきて、ボケじいの家が子どもの集まる場所になったんだよ。」

太一に言われて、思い出すと確かにボケじいの真っ正面にたって、話を聞いていた僕らの様子を思い出した。

「でも、ボケじいが『古谷』さんだってことにはならないよね?」

僕が聞く、慎が

「確かに家に入れてもらったときには表札を見てなかったからね」

太一が驚き、

「えっ?ボケじいの家に入ったの?」

「宿題のことでね、写真を見せてもらうために入れてもらったんだ」

僕が言うと、太一は「いいな~」と言った。

「ボケじいが元市長で、もしあの少年の話の駅員さんがボケじい自信の話だったらどう?」

慎が言い、

「そう言えば、電車が好きで奥さんに写真とってもらってたよな?」

力が言い、

「そう言えば、ボケじいが若い頃の写真は恥ずかしいって言って、隠したことがあったよ。その写真には確かに駅員さんと小さな男の子が写ってた。」

僕が言うと、慎の考えが正しいのではないかと思えた。

「じゃあ、ボケじいが『古谷』さんで決定なの?」

太一が聞き、力が、立ち上がって

「そんなの、明日本人に聞けばわかることだろ。ここでうだうだしてても意味ないだろ。今すべきことは・・・」

「何?」

慎が聞くと、力は少し間を開けてから、

「太一のお帰りパーティーだろ‼」

僕と慎、太一は同時に吹き出して笑い、僕が

「そうだね。ボケじいのことは明日聞くとして、今日は太一との再会を喜ぼうか、ねっ慎。」

「そうだね、久しぶりに四人で遊ぼうか。どう、太一は?」

「もちろん、行く。」

 太一がそう言い、僕達は立ち上り、図書館のドアへと向かって歩きました。


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