兄弟
「3人は本当に仲良しだね。僕も入れてくれないかな。」
突然の明るい声に、僕達は一斉に顔をあげて、声の方を向く。
昔もこんなことがあった、3人の脳裏には全く同じ光景が、浮かんだ。
「次はこの本がいいよ。」
幼い慎が本を見せ、本を読むことに飽きた力が
「外で鬼ごっこしようぜ。」
「でも、外は雨だよ力。」
僕が言う。力も諦めたのか図書館で本を読み続けることに納得し、次読みたい本を全員が持ちより、どれにするかを話し合っていた。そこに突然、
「3人は仲良しだね。僕とも友達になってください。」
僕達は驚き、声の方を見ると、小さな体に茶色と黒の混ざった髪の男の子が笑顔で立っていた。力が
「お前、確か新しく施設に来たやつだよな?」
「力、太一君だよ。この前先生が紹介してたでしょ。」
「いや、わかってるよ、そうだよ太一だよな。」
「それで、どうかな?」
太一が心配そうに聞く。力が
「嫌だ」といい、慎が「力‼」と怒声をあげる。力が
「俺と慎は同じ施設で住んでるんだから友達じゃなくて家族で兄弟だろ。じゃあ、太一も俺や慎とは兄弟だからな。友達以上だろ。」
僕と慎は顔を見合わせて笑い、太一に向かって、
「兄弟だから友達にはならないんだって。」
「まあ、そういうことだな、海は俺と慎の友達だから、太一とも友達だ。」
力の言葉につっこんだのは太一だった。
「それは違うんじゃない?」
「確かに、それは違うね」
慎が言い、僕が
「でも、力や慎の兄弟なら、僕が仲良くしないのも違うよね?」
僕がそう言って、太一に手をさしだし、太一もその手を握り、握手をした。この時から僕らは友達になった。




