昔話「少年と3人の侍」(4)
「隆坊、あの侍は何だったんだよ?」
次郎が聞き、修吉が
「領主の部下ってことは、隆も領主と関係があるということですか?」
少年は黙って下を向いて、なにも言わない。庄三衛門が
「次郎・修吉、そんなに問い詰めたら答えにくいだろう。
隆、ひとつ確認するが、あの侍や領主が、前に言っていた危ないことに繋がるのか?」
少年は黙って頷いた。
「そうか、じゃあ我々のすることはあいつらから隆を守ることだけだな。」
庄三衛門が言い、
「なるほど、あいつらをぶっ飛ばせばいいんだな。
「次郎さん、違いますよ。隆が狙われる元をたたなければ問題の解決にはなりません。」
次郎と修吉が言い、少年が
「家に戻ってからお話します。」と言った。
家に戻り、少年は母親にあったことを話すと、母親は小さく「そうですか」といい、三人に向かって、
「私は、領主の側室でした。隆は領主の子どもですが、上の兄たちから、家督相続の問題で疎まれていましたので、私がこの子を連れて城から逃げたのです。
でも、相次いで兄たちが病で亡くなり、跡継ぎがなくなった領主が、隆を探し始めたのです。」
「じゃあ、隆坊は次期領主様ってことか?」
次郎が聞くが、母親は首を横に振る。修吉が
「次郎さん、もしも母上殿が、隆を領主にしたいなら、今ここにはいないでしょう。隆もそれを望んでいるようには見えない。」
「その通りです。私達親子は貧しくてもここでの生活に満足しています。隆が領主になったとしても幸せではないでしょう。」
母親は静かにそう言い、庄三衛門が
「なぜだ?隆が領主になれば、母上殿の病気の薬も手に入るのではないか?隆だって贅沢ができるだろう?」
「裕福だから幸せではありません。隆が領主になれば、家老達の操り人形にされてしまうでしょう。
領主になれば暗殺されることもあるでしょう。
例え、今言ったことがなくても、隆は自由を失うでしょう。自由で、自分が楽しい、そうでなければ幸せとは言えないと思います。」
「どうするんだよ、庄三衛門?隆坊の幸せが今の生活なら、領主側に隆は渡せないよな。」
次郎が年長者である庄三衛門に聞く。修吉も
「領主軍と戦えるだけの戦力はありませんから、速やかに移動をして、姿を隠すのが得策ですね。」
「無理だ。今さら逃げても既に見張りがいる可能性がある。何より母上殿の体調を考えても逃げるのは難しい。」
「じゃあ、大人しく降参するのかよ。」
次郎が聞くが、庄三衛門は
「いや、それでは隆を守ったことにはならないだろう。」
「じゃあ、どうするつもりですか?まさか、戦うつもりですか?」
修吉も聞く。
「そのための俺達だろう?」
次郎と修吉は顔を見合わせて、
「それもそうだな。」
「仕方ありませんね。策は私に任せてください。」
母親が言った。
「ありがとうございます。でも、命の危機を感じれば逃げてください。」
「そうだな、怖くなったら逃げてもいいぞ、次郎・修吉。」
「あっ?庄三衛門こそな。」
「そうですよ。私の策ですから、私がいなくては話になりませんからね。お二方が先に逃げてもらっても構いませんよ。」
3人は楽しそうにこのはなしをした。




