ボケじいのクセ
「良かったね、力。ボケじいの散歩が長くて。」
翌日、8時に慎が着くと、僕とゆみちゃん達の4人しかいない。
ボケじいもまだ散歩から帰っていないので話が始まっていなかったが、力は5分遅刻してきた。
「いや、違うんだよ。親父が・・・」
力が途中でやめ、慎が
「お父さんが何?」
力は、ゆみちゃん達を見て、恥ずかしそうに
「親父が今日休みで、起きなかったから、起こしてもらえなかったんだよ。」
「金髪のお兄ちゃんお父さんに朝起こしてもらってるの?」
「え~ダセ~。僕でも一人で起きられるのに。」
「ほんとだよね。」
子ども達に言われて、力は恥ずかしそうに
「いや、その、あれだよ。頼んでもないのに起こしに来るから、習慣づいたと言うか・・・」
慎が
「僕に言うことあるよね?」
「はい、遅れてしまってすみませんでした。」
力が頭を下げたところで、ボケじいが、
「おはよう、また懐かしい子が増えてるね。慎君も元気かな?」
「お久しぶりです。元気ですが、よく僕がわかりましたね?」
「ちょっとした癖でね。見た人を覚えるのが得意になってしまって、話を聞きに来てくれた子達も覚えてしまってね。」
「すごいですね。成長してもその人ってわかるんですか?」
慎が聞くと、ボケじいは少し恥ずかしそうに、
「この前、その子だと思って名前を呼んで、挨拶したら
その子のお兄さんだったことはあったの。」
「どうなったんですか?」
僕が聞くと、
「その子も一緒に来ていたので少し気まずくなったが、お兄ちゃんの名前を思い出せてね。笑って許してくれたよ。」
ゆみちゃんが
「じゃあ、私達が大きくなっても、私達のこと覚えてくれてるんだね?」
ボケじいは、少し寂しそうな顔をしてから、いつもの笑顔になり、
「当たり前じゃよ。」と言った。
僕と力、慎は何かボケじいの反応に違和感を感じたが、その時は黙っていた。
「それでは続きじゃな。」
ボケじいは昔話の続きを始めた。




