昔話「少年と3人の侍」(2)
「三人の侍は、少年の決めたやり方で一番を決めることにした、というところまで話したね?」
ボケじいが僕たちに確認する。僕たちは「はい」と答えて、ゆみちゃんが聞く。
「少年は何で一番を決めようとしたの?」
「僕は、やっぱりケンカだと思うな。」慎二くんが言い、
「でも、それじゃあ少年の出てきた意味がないよ?」
裕太くんが言い、ボケじいは楽しそうに話している子どもたちを優しく見つめてから、
「それでは、続きを始めようかな。」と言って話し始めた。
「それで坊主、どうやって一番を決める?」
体の大きな侍が聞き、少年が
「これから、僕と一緒にいてください。
最後まで一緒にいれた人が一番強いということになります。」
「小僧、ただわがままを言いたいだけじゃないだろうな?」
「それに耐えるられるのも強さ。つまり少年は忍耐力の強い人が一番強いと言っているのでは?」
背の低い侍が言い、その狙いについて若い侍が解説を加える。しかし、
「いいえ、僕はわがままは言いません。
嫌になれば、怖くなれば、すぐに逃げて下さい。」
少年が言い、体の大きな侍が
「何か、危ないことでもあるということか?」と聞く。
「わかりません。あるかもしれないし、ないかもしれません。」
「ただ、一緒にいるだけで強さがわかるということでしょう?」
若い侍が言う。
「何が起こっても、小僧を守れれば、それが強さの証明ってことだろう。余裕だな。」
背の低い侍も言う。
「それでは、決闘の内容は僕と一緒にいることでいいですか?」
三人の侍は声を併せて「いいだろう」と言った。
少年が
「それではよろしくお願いいたします。
僕は、隆と言います。
みなさんのお名前を教えて下さい。」
体の大きな侍から「庄三衛門」、背の低い侍が「次郎」、若い侍が「修吉」と名乗った。
「僕は、母親と二人暮らしです。
みなさんも一緒に住んで下さい。」
「いいだろう」三人の侍は言い、少年の家に向かった。
「さて、今日はここまでにしようかな。」
ボケじいがいい、ゆみちゃんたちは昨日のように続きを要求せずに、「じゃあね、ボケじい。」と言って帰っていった。
僕もボケじいに挨拶をして図書館に向かった。
図書館に向かう途中でいつもの公園を通りかかると、いつも僕の座っている古いベンチに同年代くらいの男が何をするでもなく座っていた。前にもあそこに人が座っていたことがあったが、知る人ぞ知る名所なのかも知れないと思いながら、そのまま通りすぎた。




