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ギルドの酒場

 色取り取りの作物、果実に魚。石畳で舗装された通りの両脇には八百屋や魚や調味料などの売る商店が軒を連ね、商いに精を出す、現実世界で言えば卸売市場のような、非常に活気に満ち溢れていた。

 俺とイツキはまるで田舎から上京したてのお上りさんの如く、首を左に右に振りながらその通りの先にある目的地、冒険者ギルドを目指していた。


「おーいそこのお嬢ちゃん。今日は魚が大量に入ってて安いよ!なんなら少し値引きしてやるぜ?見て行ってよ。」

「そこの兄さんもこっちは取れたての果物で作った特製ジュースだ!二つで20リルでいいぜ?どうだい買っていかないかい?」

 視線を向ける先々で店主の営業トークを軽く聞き流しつつ、歩を進めているのだが…。

「おいおっさん、誰がお嬢ちゃんだ!俺は男だぞ!!」

 イツキの指摘はどうやら正解だったようで、早速女プレイヤーに間違えられる始末である。

「ハル、だから言っただろう。まあそれもこれも自業自得だ。」

 ふんすふんすと鼻息を荒げ、恰幅のいい店主のおっさんに抗議をする俺。そんな俺を生暖かい目と情け容赦のないお言葉で黙らせるイツキ。

 

 ちなみにではあるが、この世界の通貨はリルと呼ばれるようだ。先ほどのジュースが二つで20リル、それが相場的に高いのか安いのか、それすらわからないが。なぜなら俺たちは現在無職。そして一文無しだ。

「とにかく冒険者ギルドへ行って職を決めないとな。一文無しでは何も買えないし、何よりもこの服…これじゃただの町民だな。」

 そう言われて、イツキの服装をジッと観察してみた。確かに、どこからどう見ても町民がそこにいた。

 見た感じゴワゴワしていそうなベージュ色の服に、あまり質が良いとは言えない茶色のズボン。靴は何かの革で作られているのだろうかよくわからない物。これぞ初期装備っといった感じの服装だ。当然ではあるが俺も同じ装備だ。

 俺が上から下まで眺めている間にイツキは右手を空中で操作し、メニュー画面を開いて装備の確認をしていた。

「なになに…この装備の名前はそのまんまだ。町民服セット。3セット装備で防御力3だ。」

 本当にそのまんまのネーミングなんだな。そして、その防御力とやらは高いのか低いのか…まあ低いんだろうな。

「確かにこんなんじゃ狩りにもいけないなー。というかまず武器がないな。」

 この世界は剣と魔法の世界。当然ではあるがモンスターと戦おうにも武器がなければどうすることもできない。今のままでは、どこからどう見ても町民だ。


 道すがら商店を物色したり、自分たちの装備をどうのこうのとやっているうちに目的地、冒険者ギルドへと辿り着いた。

「ここが冒険者ギルド。なんというか…ただの酒場のような所だな。」

 冒険者ギルドの正面に立ち、その入り口の上に備え付けられた看板を眺めながら、イツキがぼそりと呟いた。俺もイツキが見つめる先に視線を向ける。うん。酒場だねこれ。


 目的地である冒険者ギルドは商店の立ち並ぶ通路を抜けた先、周りの建物と比べれば少々規模の大きな建物だった。外観は木造の骨組みに石を切り出して作った壁で、それなりに頑丈な作りの建物のように見える。中からは商店の活気とはまた違う陽気な声や音楽が聞こえてくる。やはりどう見ても酒場である。


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