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いざゲームの世界へ

今日は一旦ここまで。

「では、これでキャラメイキングは完了となります。操作方法などのチュートリアルにつきましては、ゲーム開始後、冒険者ギルドでご確認していただけますので、ご活用ください。」


 相変わらず忙しそうに両手を動かしていたリラだが、設定が完了するとこちらに目を向け、この後の流れを簡単にではあるが説明してくれた。先ずやるべき事として、冒険者ギルドへ行く事であるようだ。


「これより先は、プレイヤー様が自らの力で物語を作り上げる世界となります。行く先々では大きな困難や、強敵が待ち構える世界となりますが、ご自身や冒険を供にされる方々と最高の物語をお楽しみください。プレイヤー様に幸あれ。」


「あっ、ありがと…うおおおっ!?」

 リラと交わす最後のやりとりを終えるまもなく、視界が再び白い光に覆われ、眩しくて思わず目を閉じる。体全体が前に進むような加速感を感じ、すぐにそれは収まり、瞼を通して感じていた光が失われていった。

 恐る恐る目を開くと、先ほどの宇宙空間はなく、視界いっぱいに広がるのは別世界、少なくとも現代日本ではないどこか別の街であった。


「はああ……すげえな、これ……。」

 思わず感嘆のため息を漏らしてしまう程に、そこに広がる景色は普段見慣れた風景ではない異国の地、何よりもこれが現実ではなく仮想世界であると言う事に、我を忘れ見入ってしまうほどの完成度であった。


 街並みは、ゲームでお馴染みの中世ヨーロッパ風。

 建物が通路を隔てて立ち並び、布と木材を組み合わせた屋台では、商人が思い思いのフレーズを叫びながら商売に精を出していた。八百屋…だろうか? その店では女性の商人を中心に、商品を品定めする女性たちの輪ができており、これが仮想世界であると言う事を忘れさせるのに十分なほど活気に満ち溢れていた。


 しばらく呆気にとられ街の様子を眺めていたが、ふと大樹に言われていたことを思い出した。

 教えられていた内容を思い出しながら、大樹に連絡を入れることにした。


「あー、もしもし、大樹……だよな?」

 やり方は教えられていたが実際に使ったのは初めてである。少々ビビりながらも確認をしてみる。


「ああ、俺だよハル。大樹だ。ちゃんと使い方は覚えてたな。上出来だ。こちらもキャラメイクを終えて街に入った所だ。今からそっちに向かうからフレンド登録だけしておいてくれ。」

 言うが早いか、俺の視界にはピローン、という効果音と共に、リンクギアの登録ID経由で送られてきた、一通のメール通知が表示された。

 通知の下部分に表示されている開封ボタンに触れると、イツキという名のプレイヤーからで、フレンド登録の申請であることが確認できた。

 ちなみに俺のIDを知っているのは大樹だけなので、そういう事だろう。


「大樹の樹でイツキか。お前、安直だなー。あははは。」


「ほう?そういうお前は、そのまんまハルじゃないか。お前こそもう少しアレンジって物を覚えたらどうだ?それと、この世界では俺はイツキだ。本名で呼ぶなよ。ハルの現在地は、すぐそこだな。待ってろすぐに着く。」

 安直なネーミングに茶々を入れようと思ったら、そのまま巨大なブーメランとなって帰ってきてしまった。こいつはお節介焼で、口が悪い。


 黙っていればそこそこ見れる顔なのに。眼鏡だけど。腹黒い眼鏡とか最悪だな。

 などと独り言のように愚痴っているといきなり後頭部に軽い衝撃が走った。


「いって……えっ!?!?」

 何事かと、後頭部を抑えながら振り返ると、見知らぬ眼鏡が握りしめた拳を振りぬいた姿勢のまま、こちらを見つめていた。


「お前は自業自得という言葉も覚えた方が良いな。それとお前の場合、安直なのはネーミングだけじゃなく思考もだ。この阿呆が。だいたいなんだ?全然キャラメイキングで弄ってないじゃないか。髪型は変わっているとしてもキャラネームは本名で、顔や体格はまんまお前って馬鹿なのか?正真正銘の馬鹿なのか?」

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