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まずやるべき事は

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 それからしばらくの間、俺は呆然と立ち尽くしていた。

 強烈な殺意、瞬きする暇すらない命のやり取り、そして未だこの手に残った感触、全てが心の中で渦巻き深い余韻を与えている。

 このゲームは、従来のテレビゲームではない。最早ゲームという枠を超えて、異世界での現実なのだとさえ感じる程だ。

 唯一、ゲームであると思い出させてくれるのは、命の痕跡すら残さず消えていったモンスター、皮肉にも現実味を与えた相手が、最後にゲームであると再認識させるのであった。


「初陣にしては見事な勝利だったな!!グッジョブ!」

 声をかけられ、ようやく体を動かすことができた。地面に突き刺さる己の武器を鞘に収め、焚き木後までゆっくりと戻り、再び腰を下ろした。

 その瞬間、張り詰めた緊張が溶け、現実世界で激しい運動をしたわけでもないのに、どっと疲労感が広がった。何とも体が重い。脳から発せられる信号によって作られた疲れだと言うのに、いやにリアルな疲労感でその場で大きくため息をついた。


「疲れた……」

 ただこの一言に尽きた。たった一戦とは言え、全神経を集中させて挑んだ全力戦だ。最序盤の敵でこれだ、これがボスモンスターなら如何程のものなのか、想像もつかない。


「さて、とにかく俺たちの置かれた状況を判断して、まずやるべき事はだ」

 そう、俺達はこれでクリアではない。まだ始まったばかりだ。

 まずやるべき事……それはモンスターを狩る。ではなく、クエストをこなす。でもない。


「まずは拠点を作る事……だなあ」

 俺達は、冒険者であると共に、謎の職業《開拓者》として、サバイバーとなった。

 未開の地を切り開く者、ともかくその第一歩として拠点作りから始めなければならない。


「そうだ!まずは拠点。この焚き木跡を中心に、ベースキャンプを作る。幸いここは樹木が豊富だ。簡単な寝床くらいならすぐ作れるだろう」

 なるほど、木を切って寝床作りからか。

 現実ならまずは食糧確保だったり、水の確保なんてのが最優先になるのかも知れないが、このゲームのシステム上、水分は必要ない。食糧に関してはシステム的にも、精神衛生上も問題が発生するであろうが、まだ先延ばしできるレベルの問題だ。


「ではまず、適当な木を切って支柱を作る。なるべく真っ直ぐで、太さは……拳程度の木を集めよう。細い枝は薪として使えるから、焚き木の近くにでも集めておこうか」

 流石は元自衛官、頼りになる存在だ。じゃあまずは適当な木を見つけて……うん、この木がいいか。


 俺は、特に考えず、片手剣を幹に向かって振り下ろした。ゴツっと鈍い音を発し、幹に小さな傷を付け、それと共にHPバーのようなものが木の横に出現した。気持ち程度減った事を考えると、この木に設定されている耐久度みたいなものか。

 だが問題は、この程度の太さですら、数ミリ程しか削れていない。1本切るのにどれほどの時間を要するんだろうか……


「おいハル、そんな獲物じゃ木は切れんぞ。手斧を使え」

 なるほど手斧か、その発想はなかった。そもそも、手斧の存在すら忘れていたのである。さっとメニュー画面を表示させ、装備選択画面に進む。装備インベントリの中から、支給されていた初期装備の一つ、《粗悪な手斧》を選択し、装備する。すると、俺の背中に装備されていた剣が淡い光と共に消滅し、腰に手斧が出現した。


「結構重いんだな……」

 剣に比べればリーチは随分短いが、握ってみると重さは中々のものだ。

 フッ! と小さく息を吐き、再び幹に向かって打ち付ける。剣の時と同じ様に鈍い音を発するが、今度は深く幹を削り、耐久値も先ほどと比べればかなり大きく削れた。

 なるほど、武器としての側面が強いが、本来の用途としてもきちんと機能するのか。

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