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カオティックアーツ  作者: 日向 葵
第一章
26/74

26:緊急依頼

昨日はすいませんでした。

本日もよろしくお願いします。

 本日は収穫祭。

 楓は、ブラスとクレハの踊りをどうやって

見に行こうか考えていた。


 楓は、二人にとも見に行くと返事をした。

 仲間が頑張るのに、どちらかだけを見に行くのは違うと思っているからだ。

 その話を聞いた、ブラスとクレハは、少し落ち込んだ。

 だが、仲間思いの楓だから仕方がないということで、割り切ることにした。

 自分の本当の気持ちがわからない状態だから、一緒にいたい、という思いが伝わればいいかな、と二人は思った。


 しかし、楓は別のことで頭を悩ませることになった。

 二人は同じ場所で踊るわけではない。

 会場が離れていれ、同時に見るのは難しい。

 さて、どうしたものかと、頭を悩ませる楓のもとに、突然フレアがやってきた。


 「おい、楓だけか? 他は誰もいないのか」


 「フレアさん、ティオとカノンなら、外にいますよ。ブラスとクレハは、収穫祭参加のため、村に言っています」


 「っち、こんな時に……」


 「一体どうしたんですか? もしかして、仕事ですか?」


 「そうなんだよ。ちょっとめんどくさい仕事でね。ぽこりんが大量繁殖した。早く狩らないと村が消滅するんだよ」


 「え、ぽこりんですよね?」


 「そうか、おまえは、ぽこりんを余り知らないのか」


 「ええ、見た目が可愛い、性格が盗賊敵何か、力は子供と同じかそれ以下、雑魚、ぐらいしか知らないんです」


 「なるほどな、楓は、ぽこりんが最も人を殺っている魔物だということを知らないんだな」


 「え、ぽこりんが?」


 「あいつらは、平気で人里の食料を奪って、人に依存して生きている。数が増えれば、奪われる食料も増えるわけで、村に飢饉がやってくる」


 「なるほど、数が増えすぎれば、こちらが飢えて死ぬと……」


 楓は、ぽこりんにこんなにも恐ろしいとは思っておらず、少しクレハに感心した。

 こんなにも、迷惑しかかけない魔物を、あれだけ愛でることができるのだ。

 きっと、何かしらの理由があるのだろう。

 楓はそう思うことにした。


 「ティオとカノンも読んできます。俺たちだけで討伐しに行きましょう」


 「仕方ないが、そうするしかないな。お前には、カノンかティオと組んでもらって、ぽこりんを狩ってもらう」


 ティオとカノン。

 どちらかと組んでということは、楓が、パートナーを決めていいということだ。

 楓的には、どちらでも問題なかった。

 しかし、「さぁどっち」と言っていそうな表情で、フレアが楓を見つめていた。

 口元は、若干ニヤついている。

 緊急依頼があるのに、何をやっているんだと思いつつ、カノンを選んだ。


 最近、ちゃんと遊んでいないような気がしたので、たまにはという気持ちでカノンを選んだ。


 「がうがう!」


 「はは、カノン。くすぐったいぞ。これから、仕事なんだから、ちょっと落ち着けって」


 「がうがう!」


 注意しても、止まってくれないカノン。

 カノンは、楓と魔物狩りして遊んでもらえると思っており、とてもはしゃいでいた。


 「お兄さん。カノンのこと、よろしくお願いしますね」


 「ああ、わかった。久々だしな。行くぞカノン」


 「がう~!」


 楓とカノンは、ぽこりんが大量にいると思われる場所に向かった。




 行った先は、カラフルな湖だった。

 いや、湖のように見えるが正しい。

 ぽこりんが大量にいるせいで、遠くから見ると、湖にしか見えない状況になっていた。

 しかも、よく見ると共食いをしている。

 とても、手に負えない状況に見えた。


 「カノン、ちょっと危ないから、あれに突っ込むなよ」


 「が、がうがう」


 さすがのカノンも、ぽこりんの湖に潜るつもりはないらしい。

 あそこに飛び込んだら、確実に死んでしまう。

 【ライオネイラ】という種類の魔物であるカノンなら、問題ないかもしれない。

 硬い毛並みがぽこりんの攻撃を通さないからだ。

 しかし、抜け出せなくなるのは、目に見えている。

 あれだけの質量に押しつぶされたら、ひとたまりもない。


 楓は、さっさと駆除するべく、【バースト・フレア】を取り出した。

 【バースト・フレア】は、楓が雑魚殲滅用に作った、広範囲攻撃型のカオティックアーツだ。

 クレハに魔法について教えてもらい、魔法技術を組み込んで作った、カオティックアーツだった。


 「バースト」


 音声キーワードを入力することで、【バースト・フレア】から、火炎弾が発射される。


 「「「ぽこぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」


 着弾した瞬間、一部のぽこりんが弾けとんだ。

 そして、着弾箇所を炎が包み込む。

 それでも、倒せた数は、ほんの一部だった。


 あまりの数の多さに、「はぁ」とため息が漏れる、楓だった。

読んでくださり、ありがとうございます。

ブックマークもありがとうございます。


はたして、楓は収穫祭に間に合うのか!


次回もよろしくお願いします。

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