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カオティックアーツ  作者: 日向 葵
第一章
24/74

24:とある日の買い物で クレハ編

本日も遅れてすいません。

買い物、クレハ編です。

よろしくお願いします。

 楓たちと別れたあと、クレハは、女性用の必需品を買いに……ではなく、ぬいぐるみ専門店にきていた。

 なぜ、クレハはそんなところに来たのか?

 答えは簡単である。

 ただ、ぬいぐるみが欲しかっただけだ。


 「ひひ、また、ぽこりんの新作が出ている。どれを買おうかな」


 この時、クレハは目的を忘れていた。

 魔女であることを隠し、危険を冒してまで、買い物に来た理由を。


 「あら、クレハちゃん。いらっしゃい」


 「あ、イジーさん。こんにちわ!」


 このぬいぐるみ店の店主、イジーがクレハに話しかける。

 クレハとイジーには、共通点があった。

 イジーは魔女……ではなく、ぽこりんが大好きなのだ。

 そう、クレハと同じ、ぽこりん好きだ。

 そのため、この店には、ぽこりんのぬいぐるみが豊富に揃えてある。


 クレハがこの店を見つけたとき、歓喜の声をあげたのは言うまでもない。

 ぽこりん大好きなクレハにとって、ここは天国のような場所なのだ。


 「そういえば、近々、定例会があるから。クレハちゃんはどうする?」


 「【ライトワーク】の仕事がなければ必ず行きます!」


 「クレハちゃんならそう言ってくれると思ったわ」


 クレハは、満面の笑になる。

 それもそのはずだ。

 イジーは、ぽこりん大好き組合の会長だ。

 そして、定例会とは、ぽこりんを愛でに、森に行くことなのだ。

 前にあった、ぽこりん討伐とは、訳が違う。

 討伐しなくていいのだ。

 思いっきり、ぽこりんを愛でていいのだ。

 そんな幸せがあって良いのだろうか。

 いや、あって良いはずだ!

 クレハはそう思った。


 「また、新作出したんだけど、買っていく」


 「わぁ、どれも可愛いですね」


 「ふっふーん。今回のは自信作よ」


 そう言って、イジーが見せてきたのは、踊り子服のぽこりんや、巫女装束のぽこりん、そして、かわいらしいぽこりんが描かれている抱き枕だった。

 しかし、どれも値段が高かった。

 クレハが悩んでいると、あることを思い出した。

 そう、今回の買い物の目的である。

 どうしよう、クレハはとても悩んだ。


 「どうしたの? 今回のはダメだった?」


 「いえ、どれも可愛いですよ。ただ、今回は必需品を買いに来ているので、お金が……」


 「あ、そういうこと。それじゃあ、仕方ないわね」


 そういって、イジーは、ぽこりん人形をしまってゆく。

 その時のクレハの顔は、世界が終わったかのような、悲しい顔をしていた。


 「そんな顔しちゃって、ぽこりんも逃げちゃうよ」


 「うう、それは嫌です……」


 「今度来た時に、買っていきなさい。それまで、クレハちゃんの分は取っておいてあげるから。あなたも、ぽこりん大好き組合の一員だしね」


 「イジーさん。ありがとうございます!」


 その後、イジーさんと一緒に、ぽこりんについて語り合いながら、ぽこりん人形をもふもふした。


 「あら~幸せそうな顔しちゃって!」


 「ぽこりんが可愛いのがいけないんですよ」


 「そんなんじゃ、男の子一人捕まえられないぞ!」


 イジーの言葉に、ドキッとした。

 この時、一瞬だけ、楓の姿が脳裏に浮かんだからだ。

 なぜ、ここで楓なのか、実はクレハもよくわかっていない。

 クレハは、【ライトワーク】の仲間として、楓が好きだ。

 クレハが魔女であることを知りながら、それでも一緒にいてくれる、同年代の男の子。

 それが楓だった。

 魔女であることで、ひどい目にあってきたクレハにとって、魔女である自分を認めてもらえるのは、とても嬉しいことだった。

 そんな楓が、とても気になっていた。

 それが、どういう感情なのか、クレハはよくわかっていない。

 そこで、これは友情なんだ、と無理やり納得させていた。

 だから、イジーの言葉で、楓が脳裏に浮かんだことが驚いた。

 そして、顔を赤らめて俯いてしまった。


 「あれ、もしかして、好きな人ができた?」


 「いや、楓はそういうわけじゃ……」


 「へぇ、楓って言うんだ。そうなんだ」


 「だから、違うって……」


 「それにしても、楓って変わった名前ね。どこの人なの?」


 「えっと、遠い場所から来たって言ってます。今は【ライトワーク】のメンバーとして、一緒に仕事を」


 「それって、一緒に住んでいるってこと! 同棲。同棲なのね」


 「だから、違うのに……」


 ほろっと、クレハの瞳から雫が落ちる。

 イジーは、ちょっとからかい過ぎたかな? と申し訳なさそうにした。

 それから、楓の話をした。

 この時の、クレハの顔がとても嬉しそうな顔だったので、イジーは、やっぱりこの子は……と思っていた。


 「クレハちゃん。いいこと教えてあげようか?」


 「なんですか?」


 「今度、この村で収穫祭があるんだけどね?」


 「うん、それがどうしたんですか?」


 「そこで、踊り子やってみない?」


 「踊り子ですか?」


 クレハは、【ライトワーク】の一員として、この村の近くに長い間住んでいた。

 だが、村の収穫祭には一度も参加したことがなかった。

 そのため、踊りになんの意味があるのか知らなかった。


 「収穫祭を祝って踊るんですよね? 私なんかがいいんですか?」


 「この踊りを、好きな人に見てもらい、想いを告げると、恋が実るそうよ?」


 クレハは吹いた。

 まさか、そんな意味があるなん、思ってもいなかったからだ。

 それでも、楓に見てもらうのなら、悪くないかな? そう思った。


 「ねぇ、興味ない? あるわよね。楓って好きな人がいるんだから」


 「だから、違うんです!」


 「でも、嫌いじゃないんでしょ? 仲良くなりたいんでしょ。もっと親しくなりたいんでしょ?」


 「それは……そうですけど」


 「だったら、頑張らないと! 誰かに取られてからじゃ遅いのよ!」


 そう言って、イジーは遠い目をする。

 こう、何か触れてはいけないものを呼び起こしてしまったようだった。


 「私だってね。最初はわからなかったのよ。クレハちゃんみたいに、あの人ともっと親しくなりたいなって思っていたの。でも、最初は好きだなんてわからなかった。でもね。その人にね。恋人ができて、初めて気がついたんだ。ああ、私はあの人が好きだったんだなって」


 イジーは、未だに結婚もしていない独り身の女性だ。

 完全に、婚期を逃した女性だった。

 この世界の結婚事情は、早いのだ。

 20代後半では、もう結婚するのも難しくなる。

 そんなイジーだからこそ、クレハを応援したくなったのだ。


 「私が、かわいい衣装を作ってあげるからさ。その、楓くんに踊りを見てもらいなさい。早くしないと取られちゃうわよ」


 「………私、やってみます!」


 クレハは、ブラスのことを思い出した。

 あれは強敵だ。クレハの直感が告げていた。

 ブラスは、楓のことが好きだ。

 この前も、楓に告白している。

 もし、もし楓がブラスを選んでしまって、私の目の前からいなくなったら。

 それを考えただけで、心が締め付けられそうになる。

 とても苦しい。クレハはそう感じた。

 だから、自分の気持ちがわからなくても、これからも楓と一緒にいれるように、踊ろう。そう決意した。


 「お願いします。とっても、とっても可愛い衣装を!」


 「わかったわ。お代はこれぐらいね」


 「や、安い……これでいいんですか?」


 イジーが提示した値段は、手のひらサイズのちいさなぬいぐるみと同じ値段だった。

 それは、普通の衣装を買うのよりも安いことを意味していた。


 「いいの、いいの。その代わり」


 「ごく……その代わり……」


 「結果報告よろしくね!」


 「……そんなんでいいんですか」


 「いいに決まっているじゃない。私の、私たちぽこりん大好き組合のメンバーが、大きな勝負をするんだから。うまく実ったら、お祝いしてあげる。頑張るんだよ」


 「ハイ、頑張ります」


 話が終わったクレハは、本来買うはずだった、必需品を買い揃えた。

 必需品は、楓から借りている【ディメンションリング】にしまってある。

 楓が、この世界で【ディメンションリング】の制作に成功した。

 その評価をクレハたちにお願いしていたのだ。

 使用したときは、結果報告をする。

 これは、楓と話す機会ができることを意味しており、クレハは嬉しい気持ちになった。


 そして、役所に向かった。

 理由は、踊りの参加登録のため。

 そこには、ブラスが参加登録をする姿があった。


 「ブラスも、やっぱり参加するんだ。これは、負けてられないね」


 クレハは、ブラスが参加登録を終わらせて、役所を出ていくのを確認してから、役所に入り、踊りの参加登録をした。


 「ふふ、楓が喜んでくれるといいな!」


 クレハは、嬉しそうな顔をしながら、楓たちがいるだろう、集合場所に向かうのだった。

読んでくださりありがとうございます。

ブックマークもありがとうございます。


「ブラス VS クレハ」楓はどっちを選ぶ?

今は、こんな状況ですかね……

楓の相手が決まるのは、もっと先で考えています。

今回のは、楓の好感度UPしようの話ですが……

さて、楓はどっちを選ぶか。迷い中です。


次回もよろしくお願いします!

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