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カオティックアーツ  作者: 日向 葵
第一章
20/74

20:力を合わせて

昨日はすいません。

本日もよろしくお願いします。

 「GAAAAAAAAAAAAAAAA」


 触手の化物が、容赦なく襲いかかる。

 その攻撃を、クレハとブラスが防ぐ。


 楓とクレハは、ブラスに化物が山賊のお頭であること、これから助ける事を伝えた。

 そして、ブラスが協力のもと、激しい戦闘が繰り広げられていた。


 激しい攻防の中、どうにかして【インパクト・マークⅡ】を食らわせる方法を考えていた。

 それが、あの化物を救ってあげる第一段階。


 聖呪痕によって変質してしまったものは、体に備蓄されているエネルギーを、体外に排出させることで、元の姿に戻すことができる。

 フレアが提唱してくれた理論であり、カノンの親を元に戻すことができた実例もある。


 しかし、【インパクト・マークⅡ】は攻撃のための、カオティックアーツではない。

 相手に備蓄されている、エネルギーを発散させることを目的として作っている。

 そのため、攻撃力、防御力、共に皆無だった。


 そこで、クレハと、ブラスに道を開いてもらい、隙を見て、楓が【インパクト・マークⅡ】を食らわせる、という作戦を実行することにした。


 この作戦の成功率を上げるため、楓は二人に、カオティックアーツを渡した。


 クレハに渡したのは、リング型のカオティックアーツ【ブーストリング】。

 クレハの協力のもと、魔法技術と、楓の技術によって生まれた、新型のカオティックアーツだ。

 楓がはっきりと認知できない力、魔力を用いて稼働する【ブーストリング】の効果は、魔法強化だ。

 リング内に魔力を蓄える。その魔力を、放った魔法に上乗せして、魔法の威力をあげるカオティックアーツだ。


 「己の影に苦しみ、束縛されよ【シャドウ・リストリクションズ】、ブースト」


 クレハが「ブースト」といった途端に、【ブーストリング】が輝き出す。

 【シャドウ・リストリクションズ】に追加の魔力が加わり、強化される。

 強力な、影によって、化物を束縛しようとする。

 しかし……


 「AAAAAAAAAAAA」


 触手によって、影たちが弾かれていく。

 どうやら、あの触手は、魔力、もしくは聖法気によってコーティングされていた。


 そのため、魔法として使用している影を簡単に振り払うことができていた。


 【ブーストリング】がなかったら、影は一撃で消滅していただろう。

 それぐらい、化物は強敵だった。


 楓にも触手が襲いかかった。

 そこで、前に出てきたのが、ブラスだ。

 襲いかかってきた触手を、盾で弾いて、剣で切り裂く。


 楓が、ブラスに渡したカオティックアーツは二つ。

 一つは【インパクト・アブソープション・マークⅡ】、盾型のカオティックアーツだ。

 盾を使うなら、騎士として使い慣れているブラスが適任だと、楓は思った。

 そのため、持っていた【インパクト・アブソプーション・マークⅡ】をそのままブラスに渡した。

 そして、もう一つ渡したのは、【ヴァイブロブレード】だ。

 これは、俗に言う【高周波ブレード】である。

 架空の武器とされていたが、楓の技術によって、再現した。

 もし、ブラスが立ち直った時のために作成したカオティックアーツである。

 ブラスは、それを用いて、楓を守っていく。


 触手の攻撃は強力だ。

 でも、防げないレベルじゃない。

 攻撃も食らわせられる。


 本当のことを言うと、楓たちは、この化物を倒すことが可能だった。

 楓のカオティックアーツ、クレハの魔法、ブラスの戦闘技術、これらが組み合わされば、討伐は可能だった。

 しかし、今の目的は、あの化物を救うこと。

 そのために、行動すると、さすがの楓たちも厳しいところがある。


 「楓! 私が、あの触手をなんとかするわ!」


 「できるのか、クレハ!」


 「多分できる。広範囲魔法で、化物ごと吹き飛ばせばいい。本体は硬いから吹き飛ばないけど、触手だけならなんとか」


 「わかった、タイミングはクレハに任せる!」


 「オッケー。任せなさい」


 クレハは触手攻撃をかわしながら、少しずつ、少しずつ、後ろに下がっていった。

 そして……


 「風よ。嵐になりて、我が敵たちを切り裂け【ヴァン・シュナイデン・シュトゥルム】、ブースト」


 魔法によって生成された風が、嵐となって吹き荒れて、触手の化物を切り刻む。【ブースドリング】の補正によって、更に強力になった超広範囲魔法により、触手がズタボロになる。


 本来なら、楓もブラスも離れていないと巻き込んでしまう、危険な魔法。

 しかし、今回は少し違う。


 楓に傷が無いように、ブラスが盾に立って、魔法の衝撃を耐えていた。


 楓の考えでは、触手は再生すると考えていた。

 あの化物の姿は、体内に蓄えられたエネルギーによるもの。

 触手を切れば、触手の生成にエネルギーが使用される。

 つまり、触手が再生してしまうことになる。


 「こっからは、時間の勝負。俺が打ち込むのが早いか、触手の再生が早いか」


 嵐が止むと同時に、楓は、化物の方に走る。

 化物の触手は、楓の予想どうりに再生していった。


 予想外だったことは、触手の再生が一瞬だったこと。

 無数の触手が楓を襲う。


 「か、楓!」


 「っち、これじゃぁ。よけられない」


 「ここは俺に任せろ!」


 楓の後ろから来たのはブレスだった。

 クレハの魔法から楓を守ったブレス。

 クレハの魔法が強力だったこともあり、だいぶ、力を消耗していた。

 だが、ここで倒れるわけにはいかない、ブラスはそう思った。

 だからこそ、だからこそ立ち上がり、仲間の力になるために、走った。


 「みんなで力を合わせれば、どんな人だって助けられる。俺が道を開く。楓は、あの化物を元の姿に戻してくれ」


 「任せろ!」


 楓は、化物の懐に入り込む。

 【インパクト・マークⅡ】を装備した手を掲げて……


 「インパクト」


 その場に、すごい衝撃が走った。

読んでいただき、ありがとうございます。

ブックマークもありがとうございます。


本当は、山賊お頭との戦い終わらせたかったんですが……終わりませんでした。

ちょっと、中途半端ですいません。


次回もよろしくお願いします。


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