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カオティックアーツ  作者: 日向 葵
第一章
16/74

16:戦う意思

本日はすごく少なめです。

本日もよろしくお願いします。

 「俺は、俺は戦えない。すまない。子供達の救出なら手をかせると思う。だが、戦闘……」


 作戦を考えている途中に、ブラスがそんなことを言い出した。

 俺はまだ戦えない。本気でそう思っていることを、この場にいる全員が強く感じた。

 楓以外は……


 「おい、ふざけたこと言ってるんじゃない。おまえは戦えないんじゃない。戦いから逃げているんだよ。いい加減気がつけ!」


 「……そうかもしれない。だが、俺は戦えないんだ」


 再び俯いてしまうブラス。

 どうにもならない気持ちを、どうすればいいのかわからなかった。

 そして、前に問われた楓の質問。


 「なんで騎士を目指したのか」


 この質問が、ブラスの中をかき乱す。

 俺は戦えない、でも、子供たちも救えない。

 そんな考えに飲み込まれそうになっていた。


 話し合いは進んでいった。

 ブラス、フレア、ティオ、カノンが誘拐された子供たちを救出することになった。


 楓とクレハは山賊の討伐。

 フレアの見立てでは、カオティックアーツを持つ楓と、魔女であるクレハがいればなんとかなる。そう思っていた。


 相手は、人数は多いが、ただの山賊。

 聖騎士のように、警戒するべき相手ではない。

 そう考えていた。


 「よし、これより【ライトワーク】は山賊に攫われた子供たちの救出作戦を決行する。行くぞ!」


 山賊のいるところに行く途中、楓はブラスに話しかけていた。


 「おい、まだおまえは戦えないのか?」


 「正直怖い。怖くて仕方がないんだ」


 「それは……戦うことか怖いのか」


 楓の質問に対し、ブラスは答えが出せなかった。


 (たしかに恐怖を感じている。

 怖いって感じている。

 行きたくないって思ってしまう。

 それは戦うことが怖いから?

 いいや、違う。

 では何が違いう)


 ブラスの中で、考えがまとまらず、時間だけが過ぎていく。

 もうすぐ山賊のアジトがあると思われる場所に到着する。


 「やっぱりな。お前、戦うことが怖くないだろ」


 「戦うことが怖くない?」


 「おまえは、守れないこと、助けるべき対象を傷つけてしまうこと、それが怖いんじゃないのか。だから、だから戦えない」


 「守れないことが……怖い」


 「この仕事のなか、ちょっと考えてみろ。なんで騎士になりたかったのか、戦うことの何が怖いのか。一歩ずつ進んでいけばいい。一回立ち止まったっていい。だけど、絶対に諦めるな」


 ちょっと照れくさそうにブラスに言った楓。

 そんな楓にちょと笑ってしまった。


 「そんな、笑われること行ってないよな」


 「ああ、言ってない。でも、考えてみるよ。たしかに、俺は逃げていたからな。前に進むためにも、この仕事の中で考えてみるよ」


 そんな話をしていると、クレハがやってきた。

 ちょっと心配そうにしていたが、楓とブラスの様子を見て、安心したようだった。


 ブラスは、クレハが来たことに気がつき、フレアのもとに行く。


 楓も、これからを相手にするのに、険悪な雰囲気を作ろうとは思っていない。

 それでも、ブラスが立ち直れるように、そう願ってついつい言ってしまう。


 「ふふ」


 「なんだよ。クレハ」


 「楓らしいなって思ったの」


 「ん、俺らしい」


 「すごい技術を持っていて、なんでもできて、とても仲間思い。大切な仲間のために何かしてあげたいって思っていること、すごく感じ取れるよ?」


 「そんなわけあるか、って言いたい所なんだけどな」


 クレハの言っているとこは的を射ている。

 楓は自分のためにカオティックアーツを作りたいとは考えていない。

 自分の技術で誰かの助けになる、そんなカオティックアーツを作りたいと考えている。

 そんな楓は、クレハにとても似ている、お人好しだ。

 だから、ブラスにも大切なことを気がつかせてあげようと接している。


 そんな楓を知っているクレハはちょっと微笑んで……


 「きっとブラスなら大丈夫よ。私だっているんだから。これがダメでも次、次があるよ!」


 「仲間のためだ。よろしく頼むぞ!」


 「うん」


 いつかの夜のように、拳を合わせる二人。


 楓の持っている魔道具。

 フレアから借りた、通信道具から合図があった。

 子供たちを救出するために、フレアが動き出したらしい。


 フレアの合図で楓とクレハも動き出す。

 フレア達がしっかりと子供たちを救えるように。

 山賊をかき乱すため、動き出した。

読んでくださりありがとうございます。

また、ブックマーク、評価ありがとうございます。


次回もよろしくお願いします!

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