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何もかもかもつまらない…  作者: さゆっ。
0章
9/11

ドンッ!!




龍輝は足元に生い茂る草に足を掬われ木に肩あてた。

白く光かっていた木はその振動によってか、赤、青、緑、黄、紫へと次々と色を変えて最終てきに水色の光りを発して落ち着いた。


その光景を見て「むやみに触ると危ないですよ?色のついている木の半数には毒があるらしいですからね?毒に侵されたら一瞬であの世行きでしょうね?」と華早は楽しそうに笑った。


笑いごとじゃねぇよ…と龍輝は思った。。


そんな龍輝を見て羽流都はくっくっくっ…と喉の奥で笑って前を見て明らかに顔をしかめた。

「ちっ。あいつ森にしやがっておかげで進みづらいじゃねぇかぁ!」ぶつくさと文句を呟いてから彼は足を前へ進める。



龍輝は彼の後に続いた。



やがて3人は開けた場所に出た。

緑色の短い草が足元5センチくらいでひらひらしている。

牧草地帯のような開けた場所だ。

その草原の真ん中に小さな小屋が立っていた。

老朽化が進み、蔦が小屋を覆い隠し、その重みに押しつぶされそうになっている。


「バル、ヨウはどこにあるんです?」と華早が羽流都にそう尋ねた。


「ヨウ??」


「貴方の力です」と華早はすかさず言った。


―俺の力??


「あ?ここだなぁ!」と羽流都は自分の足元を見ながら言って舌打ちをした。

「ちっ。なぁんでこんなとこに隠したんだよ!」と足元に明らかに人工的作られたように立っている石の前に座り込みその石を倒し文句を垂れる。



「龍輝。お前に力を返すなぁ?」と羽流都は片手に何かを握って立ち上がり、龍輝の右胸に手を当てた。



「お前の父から預かったものだ!大切にしろよ。なぁ!!」

手を当てたところから光が溢れだす。



「な、なんだよこれ!なにするんだ!!」

慌てふためく。


「龍輝。落ち着いて大丈夫です。これはヨウです。危害は加えません。」


危害は加えない??

明らかにこの光、熱そうなんですけど…。


「いやいや、これどうみてもこれヤバイでしょ!!」


「うっせぇ!!お前の力だなぁ!!」と羽流都は手を離した。


光は龍輝の胸の中へ吸い込まれるように消えていった。



「力?」と光が消えていった所に触れながら龍輝は羽流都を見上げた。

胸に光が入って行ったのに痛みも不快感もなかった。


「別に痛くなぁいだぁろ?元々、お前の中にあったもんだからなぁ!」と羽流都はあきれ返った顔でそう言った。


「はぁ?」

俺の力?

まったく訳が分からない。


この羽流都という男は本当にむかつく。

上から目線だし、話すたびにそんなこともしらねぇのか?と言うような口調だ。


溜息をつきながら羽流都の隣の華早が言った。

「ヨウは貴方が元々持っていた力ですよ」


「俺が…元々??」



「そうです。そして龍輝を守ってくれる力です」


「力ってなんだよ!」と龍輝は怒鳴ったがその声は別の声にかき消された。

「おい!華早!!!」と羽流都が何かに勘づいたように突然、空見上げた。



「来ましたか…」と華早も空を見てそう呟く。



「おい!何が…」と羽流都に怒鳴ろうとして辺りが暗くなり、龍輝も彼らと同じ様に上を見上げた。



そしてそれが赤い鳥の影だと分かったころにはもうすでに遅い。


その赤い鳥は鮮やかな赤ではなく血を被ったような暗褐色でまるで図鑑で見たことのある鳥の祖先だと言われる恐竜プテラノドンに似ている。


「くそっ!バドルかよ!!龍輝!俺の前から一歩もでるなよ!!」


どうやらこの鳥はバドルというらしい。


まるで鳥が虫を捕まえるようにバドルは龍輝を捕まえようとした。


冗談じゃない!!

龍輝は必死でその攻撃を避けた。

そして自分だけしか襲われていないことに気づく。


ふざけている…。


「やはり、彼が狙いか…」

と華早がこんな場面にも関わらずのんびりとそんなことを言う。


言う暇あったら助けろよ!!と思うがそんなことを言う暇もない。


「ふん!やっぱラシの子だなぁ?そんくらいじゃやられないよな?じゃないと困る」と羽流都がそんな龍輝を見てニヤリと笑った。


いやいや、笑っている場合じゃない!!!


「華早、バドルを引き離せるかぁ?」という言葉に華早が動いた。


「できるよぉ?でも、もったいないなぁー龍輝が焦っているの見るのすごく楽しいのに…」と華早はしぶしぶそう言うと目にもとまらない速さでバドルと龍輝の間に舞い出ると鳥の化け物に向かって手の平を向けた。



華早の手から鋭い閃光があふれ化け物の目を貫く。

ギヤッという不気味な悲鳴を上げると龍輝から離れる。



「すきを作りましたよ」



「さすが!!」

と羽流都が空に手を向ける。


龍輝は逃げ回り息を切らし地面に倒れ込んだままその様子をみていた。


羽流都が手を上げると空気が変わった。

さっきとは何か違う。

それが防御壁のせいだとヨウを知らない龍輝には知るわけもなかった。



ドドドドド・・・。と地面が揺れ、羽流都が大声を上げた。

さっきの余裕な声とは一変、声に緊張が走っている。


「マズイ…おい!!華早!!これゴルゴリの音だ!!あれの力はこれを砕く。砕かれたら俺達は終わるぞ?」


「何分?」


「はぁ?」と羽流都が怒鳴り声に似た声で返す。


「何分持ちこたえられますか?」


「お前俺を殺す気か?」という羽流都の言葉に華早は意地悪そうにニヤリと笑った。


「3分。」


「充分!」と華早はそう返すと地面に転がっている龍輝の体を起こしながら言った。


「時間がありません。龍輝、あそこに小屋があるの見えます?」と草原の中に立つ今にも崩れそうなあの小屋をカサは指さす。


「ああ。」と龍輝は震えながら頷いた。

なぜならカサの後ろ、バルトの前に大きな2mほどあるだろうか?

黒い狼が4匹ほど立ちふさがっていた。

あれがゴルゴリなのだろう。


口からは長く鋭い牙が上と下に両側に2つ生えている。

ゴルゴリは狼のように声を上げた。その声は低く地面と空気を揺らしていた。



「あの小屋がここの出口です。入る必要ありません。ノブに触れるだけでここを出ることが出来ます。これを…」と龍輝に黒い布に巻かれた1mほどの長さのある棒を渡した。



「これは貴方のお父様のものです。おそらく貴方とも相性がいいので役に立つと思います。」



「うぉい!!」と羽流都が狼の方を向いたまま声を上げる。



「長くもたねぇぞ」そう言った羽流都の腕が突然、切り裂かれる。


赤い血しぶきが宙を舞う。


「くそっ!!なんでゴルゴリなんだよ!!」とイライラした羽流都の声が響いた。


「早くしろ華早!!」



「いいですか?龍輝。私が後ろを向いたらあの小屋に向かって走りなさい。彼らは君を狙っています。」



「彼らって誰だよ」と龍輝のその言葉にカサは一度目をつぶると「話している暇はありません。とにかく俺らは貴方を送り届けることが第一優先事項です。予定していた場所とは離れたところになりましたけど、上手く逃げ切れるはずです。」



「お前らは大丈夫なのか?」


その言葉にカサは笑う「俺達は大丈夫です。龍輝、ついたらまず、街に行ってヨウジュツシを探しなさい」


「ヨウジュツシ??」



「はい。エルフ族のヨウジュツシです。貴方を助けてくれるはずです。」



「カサ!!もう耐えられねぇよ!!」と羽流都の悲鳴に近い声が聞こえる。


「さぁ、行きなさい」と華早は後ろを向き背中に手を回す。


「我、ラシに仕えしものニンギョノイコツちからをかしたまえ!!」華早の手から大きな剣が姿を現した。


刃渡りはカサの身長をゆうに超え、剣の先が地面にめり込んでいる。

相当重い剣の様だ。しかし、さっきバルトのからだを切り裂いた剣とはどこか違う。それはうすく水色に輝きまるで川のようにサラサラと刃の先端へ水が流れている。


羽流都の叫び声と血しぶきが剣の向こうに見えた気がした。



「龍輝!!早くいけ!!」とさっきまで穏やかだった華早に怒鳴られ龍輝は慌てて立ち上がり小屋に向かって走った。



後ろから大きな爆発音がし、やがて爆風が龍輝を襲う。

爆風に足元をすくわれながらよろけながら小屋まで必死に走った。

小屋は今にも崩れそうだった。


崩れたりしたらもうここから逃げられないと思うとすごく怖い…。



後ろからは爆発音と誰の声か分からない声が響いている…。


ドアは思ったほど分かりやすかった。

なぜならドアは今にも崩れ落ちそうなのに備え付けられているドアノブだけが異様にキラキラと光り輝いていたからだ。

それは壊れそうな木の家とは対照的で…。



龍輝はそのノブを必死に掴んだ。


はい!ここから異世界ー♪

パチパチ(o´艸`)

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