15話 旅館経営を始める
旅館経営のために前に作った孤児育成機構と同じように
実務経験者を雇い、孤児や浮浪児を集めて教育
次世代まで続く経営方針を打ち立て
商業ギルドの幹部を抱き込んで優秀なものを手配してもらった
この街の領主や地主にもこの旅館の良さを説いたし無料宿泊券を10枚ずつ渡した
そして魔道師を呼んでここの良さをアピールして魔道師ギルドのお偉いさんが来たときはここを勧めて欲しいと、無料宿泊券を20枚渡したり
「あの手この手を尽くしたし、一度泊まればここの良さがわかるさ、よし」
そう言って従業員をロビーに集めた
「最初の方の客は大体、無料宿泊券で来るものが多いと思うが、そういったお客様は次のお客様を連れてくる可能性があることを心がけてほしい、この宿に客が来なければお前たちはここの職を失うということを自覚して欲しい、そして客は一回限りではないまた来て欲しいと思っていただき、何度も足を運んでもらえるようにこの宿を気に入っていただかなければならない
そこでこの宿は部屋で宿代を決めている1人部屋に4人泊まろうが20サレナだ、2人部屋に何人泊まろうと30サレナ、4人部屋に何人泊まろうと40サレナだ、しかし、食事の数は部屋のサイズと同じだそこは人数じゃないことは覚えておいてくれ、大部屋は5サレナだがしかし飯無しだが風呂は入れる
うちのサービスは風呂であり、お金のないお客様でも泊まれるようにサービスはないが大部屋を用意してある、どんなお客にも同じ接客を心がけよ、見た目の差別はするな、以上だ」
これで俺の伝えたいことが伝わるといいんだがしかし、オーナーって経営ってしなくてもいいよな、でも信頼できる経理も支配人も居ないしなぁ
10歳の子供に、指導されるのは些か可哀想だしなぁ、よし、一週間しっかり調査しよう
俺はその足で街に行き浮浪者に金を渡してこの金で宿に止まって宿の感想を聞かせてくれたら100サレナを渡すと約束をしてその場にいた全員に20サレナを渡す、その宿には風呂も付いてるから体を洗える事を伝えて、明日またこの時間に来ることを告げる
俺も全員が宿に行くとは思っていない宿に1人でも行けば御の字だ
「次は、っと」
孤児院にやってきた
事情を説明して
「スミマセンが、よろしくお願いします孤児院の皆さんで宿に来ていただいて明日また来ますので宿での感想をお聞かせください、従業員の素行調査も兼ねておりますのでいろいろお願いします」
そう言って子供の人数分の無料宿泊券と、5000サレナを寄付して孤児院をあとにした
まあどうせ5000サレナほとんどスタッフがおいしく頂くんだろうけど、これも宿のためだ
「次はここだな」
と言って宿全部を回る
宿のことなら宿の経営者に聞くべきだしな
最後の所で少しもめてしまった
「なんだい、冷やかしかい?」
「いえ、従業員の素行調査の為に、宿の先輩経営者の方に見ていただきたく、お願いしに参りました」
「うちの宿はね通りの宿に客取られてもう今月で宿辞めるんだよ」
店辞めるのか、じゃあウチに来てもらおう
「じゃあうちで働きませんか?宿の女将さん経験者として今のところ仮ではありますが女将待遇で雇わせていただきますよ」
「子供の言うことなんて信じられないね、親連れてきな」
「親には捨てられましてね、信用できる大人が居ないんですよ、なので自分の足で頑張ってますが何分
子供なので足元を見られていますよ、なので女将さんのような宿経験もある方に宿を支えていただきたいんです」
「口のうまい子供だね、しかし、親に捨てられるとはなかなかの人生歩んでるね」
「興味ありましたら、当宿までお越し下さい、もちろん無料宿泊券はお渡ししますよ、自分の働く旅館の素行は気になるでしょう?」
「わかったよ、気が向いたら行ってやるよ」
「よろしくお願いします」
よし、うまくいけば女将さんが手に入る
女将さん候補は見つけたからあとは支配人とか番頭さんとかだな
「本日より坂の上にある宿が営業を始めました、皆様よろしくお願いします」
「20サレナでお風呂に入れる上に夕食と朝食が付いております、普段宿に泊まらない方もお風呂だけで5サレナですお風呂に使ったあとも大部屋でくつろいでから帰ってもよしそのまま大部屋で泊まってもよしですよ、ただし大部屋では夕食も朝食も出ませんのでお気を付けを」
そんなセリフを吐きながら2時間通りを練り歩き、今日は宿に帰った
宿では、何人か宿泊客が来ているようだ
「客の具合はどうだ?」
手の空いている従業員に聞いてみる
「そうですね今のところ、券を持った孤児院の団体と、ほかの宿で見たことある奴が来てますね、しかもそいつらも券を持ってました」
「オレが商業ギルドでばらまいたからな、そりゃあくるだろうさ」
「そうだったんですか、確かに朝言っておりましたね、最初は無料宿泊券を持った客が来ると」
「ああ言ったな、あと汚い格好の奴とかも来なかったか?通りで風呂付きで大部屋なら5サレナって言って練り歩いたからなそういうのも来そうなんだが」
「あぁ来ましたよ」
「追い返したりとかはしてないだろうな?」
「大丈夫です、風呂に入れると喜んでました、格安の意味が分かりましたよ、彼らが風呂から上がったら幸せそうでした、それに綺麗になったからか宿で売ってる服を買っていきましたよ」
そう、この宿には一箇所服を売ってるコーナーを設けてある、その理由は小汚いまま帰りたくないものが出るためだ、15サレナで上着とズボンと下着と肌着の一式が買える
少しいい物だと、もう少しするが、男でも女でも15サレナあればそれなりの格好で帰れるようになっている
「わかったか、最初は小汚くても綺麗になると服と合わないから服もきれいにしたくなるんだ」
「10歳とは思えない見識ですな」
「褒めても何も出ないぞ、時間を取らせたな、仕事に励んでくれ」
一人部屋20サレナとはいえ浮浪者だ、一番安い5サレナで泊まりたいはずだ、そこで余った15サレナは服に使ってもらい、結果20サレナ全部使ってこの宿の良さを知ってもらうと考えたが今のところ順調なようだ
そして翌日
「昨日お願いしたことは実行してくれたかな?」
集まった奴らの格好が昨日と明らかに違う
服も体も綺麗になってるやつ、体だけ綺麗で服は汚いままの奴、その辺で体を洗ったのか少し誤魔化してるやつ、ここで金を貰った者を襲うつもりなのか、汚いままの奴
「昨日の宿がどうだったか一人ずつ並んでくれ、感想を伝えてくれたものから約束の金を払う」
いろいろな感想が聞けた
格好を見ていやな顔をした店員がいた とか
風呂から出たあとに服も買って着替えたのを見て関心したように見た店員 とか
風呂の感想を聞いた店員も居た とか
あからさまにウソ言ってる奴にも100サレナ渡して帰ってもらった
最後に残ったのが汚いままの奴らだが、俺に金を寄越せと言って来たので、全員の腕の骨を折ってやった
「報酬ってのは仕事をした奴に払うものなんでね」
そう言って俺はその場をあとにした
それから孤児院、宿にも聞いて、最後に女将さん候補のところにもいった
「どうでしたか?宿の感想は」
「すごい良い宿だったけど、本当に私が働いていいのかい?」
「はい、是非、お願いしますよ女将さん」
「仕方ないね、この宿すぐに畳んで行ってやるよ」
「ありがとうございます」
来てくれるらしいので給金の話を後ですることになってしまった
まあ満足出来る金額を用意するだけだな
俺の旅館経営は始まったばかりだ
さあ宿を切り盛りだ
読んでいただいた方に感謝を




