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序章①
最初の出会いは遥か昔。
一族から伝え聞いた
愛しい僕の半身。
僕の魂はこの世界へと
再び器を得、
彼女の魂は人の世へと
生まれ変わる。
小さな僕が訳も分からぬ切なさに涙を零す夜。
優しく僕を宥める昔話。
母は、柔らかな掌で僕の頭を撫で、瞼をゆっくり閉じるまで語ってくれた
『魂に刻まれた愛しい者を呼んでいるのね…
新たな器を持った二人が巡り合うのは、まだ、私にも判らない事。
時が巡るのを待つしかないわ…
でもね、貴方のその想いが消えないならば、きっと逢える筈よ。』
涙が乾いた頬を、母に擦り付け、眠りに付いたのを時折想い出す。
静かな月夜…
さわさわとざわめく
樹々の音。
こんな夜には、我知らず零れ落ちる涙。
煌々と光る眩い満月を見上げ、僕の魂はまだ見ぬ愛しい人を呼んでいる…