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勇者に勝ちたいだけなのに、魔王の剣が闇堕ちした宿敵ムーブを強要してくるせいで周りが曇り始めた。  作者: 黒雪ゆきは


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13/13

013 変質する光。

 ユリス・アステルが王立聖戦学園から姿を消して、三ヶ月が過ぎた。

 その間、学園は沈黙していたわけではない。

 中央広場から消えた魔王の剣。戦技科男子生徒の失踪。残された黒紫の魔力。

 学園上層部はそれらを伏せようとしたが、伏せきれるはずもなかった。

 噂は、最初に学園内を巡った。

 魔王の剣は本物だったらしい。ユリス・アステルが持ち去ったらしい。黒い魔力を纏っていたらしい。勇者科主席が、それを見たらしい。

 噂は尾ひれをつけ、形を変え、王都へ流れた。

 

 そして――黒域外縁にて、魔王の剣と思しき遺物を持つ少年が確認された。

 

 その報せが王立聖戦学園へ届いた時、沈黙は限界を迎えた。

 臨時集会が開かれたのは、朝の第二鐘が鳴った直後だった。

 講堂には全生徒が集められていた。勇者科、聖女科、賢者科、聖騎士科、戦技科。いつもなら科ごとに整然と並ぶ生徒たちの間に、今日は落ち着きのないざわめきが漂っている。

 誰もが、これが通常の連絡ではないと分かっていた。

 壇上に立ったのは、王立聖戦学園学園長その人。

 年嵩の女性であり、銀糸を束ねたような髪を後ろで結い、深紺の正装の上に、白い外套を羽織っている。

 胸元には、剣と聖紋を組み合わせた学園長章が輝いていた。

 その立ち姿に揺らぎはない。

 勇者、聖女、賢者、聖騎士。女神の祝福を受けた者たちを育てる学び舎の頂点に立つ者として、彼女はただそこにいるだけで講堂の空気を鎮めていた。

 正しく、硬く、清らかで、揺るがない。

 学園長はしばらく講堂を見渡した後、静かに告げた。


「すでに耳にしている者もいると思うが――」


 その一言で、講堂のざわめきが細く尖った。

 アリア・ルミナスは、勇者科の列の先頭で息を止めた。

 リーナ・セレナーデは、胸元の聖紋を握った。

 クラウディア・レインベルは、白い外套の下で拳を固めた。

 エルネア・フィル・グリモワールは、何も表情を変えず、ただ壇上を見ていた。


「黒域外縁にて、魔王の剣と思しき遺物を所持する少年が確認された。当該人物は、本学園より行方不明となっているユリス・アステルである可能性が高い」


 講堂が揺れ、声が波になる。

 戦技科の列から、誰かが息を呑む音がした。勇者科の生徒たちは顔を見合わせ、聖女科の生徒たちは青ざめ、賢者科の何人かはすでに小声で情報を整理し始めていた。

 ユリス。魔王の剣。黒域。

 その三つの言葉が、講堂の中でばらばらに飛び交う。

 アリアは何も言わなかった。

 言えるはずがなかった。


 ――「俺は、お前の敵になる」


 その声が、胸の奥で蘇る。アリアは拳を握った。指先が白くなるほどに。

 学園長は、ざわめきが収まるのを静かに待った。

 怒鳴りつけることはしない。声を荒らげることもない。ただ、全生徒が自ら沈黙するまで待つ。

 やがて講堂が静まり返った時、彼女は再び口を開いた。


「本件は、王立聖戦学園が長きにわたり守り続けてきた誇りと伝統、そして女神の祝福を掲げる学び舎としての責任を踏みにじる重大な逸脱行為である」


 その言葉は、講堂の空気を冷たくした。

 誇り。伝統。責任。

 アリアの胸が、鈍く痛んだ。

 違う。そう言いたかった。

 ユリスは、学園の誇りを踏みにじりたかったわけではない。女神の祝福を侮辱したかったわけでもない。王立聖戦学園に泥を塗りたかったわけでもない。――ただ、勝ちたかっただけだ。

 ユリスが何を選んだのか、アリア自身でさえ、まだ正しく分かっていない。分かっていないのに、彼を庇う言葉だけが喉の奥で震えていた。

 学園長の声は、なおも静かだった。


「現在、王国および学園は事実確認を進めている。生徒諸君による独断行動は固く禁ずる。黒域への接近、関連情報の無断調査、外部への不用意な発信も同様に禁ずる。これは、女神の祝福を掲げる学び舎の秩序を守るための命令である」


 命令。

 その言葉で、生徒たちは黙った。

 だが、沈黙は納得ではなかった。

 講堂の中で、見えない何かが静かに軋んでいた。


 ◇


 集会が終わった後、アリアは第一訓練場へ向かった。

 三ヶ月前まで、そこにはユリスがいた。

 夜明け前から剣を握り、負けるたびに叫び、何度倒れても立ち上がる少年がいた。今日は勝つと本気で言い、また負けて、それでも翌日には同じ場所に立っていた。

 今は誰もいない。第一訓練場の石畳には、朝の光が淡く落ちている。床に刻まれた聖紋が、女神の祝福に反応して静かに輝いていた。勇者候補のために造られた、清らかな場所。

 その中心で、アリアは立ち尽くした。

 生きている。よかった。まず、そう思った。

 ユリスは生きている。黒域にいる。魔王の剣を、まだ手放していない。

 

 胸の奥から、恐怖が込み上げてくる。

 黒域。魔王の剣。闇の魔力。危険なものばかりだ。ユリスが傷ついているかもしれない。苦しんでいるかもしれない。もう戻れない場所まで行ってしまったのかもしれない。

 それなのに。

 アリアは、自分の胸の奥に別の熱が生まれていることに、またしても気づいてしまった。

 ユリスは、まだ進んでいる。

 

 私に勝つために。

 私の光に勝つために。

 私の前に立つために。

 

 彼の剣の先にまだ私がいる。

 その事実が、どうしようもなく胸を締めつけた。

 怖い。苦しい。心配でたまらない。

 なのに、その奥で、どうしようもなく甘い安堵が疼いていた。


「フフ……」


 笑いが漏れた。

 小さく、掠れた声だった。

 アリアは、少し遅れて自分が笑ったことに気づいた。

 ユリスが魔王の剣を持って黒域にいると聞いて。

 命の危険がある場所にいると知って。

 心配でたまらない。胸が張り裂けそう。

 

 それなのに――安心している自分がいる。

 

 まだ見られていると。

 まだ目指されていると。

 まだ、彼の目的地でいられるのだと。


「……やっぱ最低だな、私」


 アリアは剣の柄を握った。

 指が震えている。だが、その震えは恐怖だけではなかった。

 強くならなければならない。誰よりも。誰にも届かないほど。

 ユリスが闇を掴んでまで越えようとした者として、自分はそこに立っていなければならない。

 守るためではなく。救うためだけでもなく。彼が剣を向ける先に、勇者として立つために。

 

 その考えは正しかった。

 正しいはずだった。

 けれど、その正しさの奥にある感情は、もう綺麗なものではなかった。

 アリアは静かに剣を抜く。

 聖なる光が、刃に薄く宿った。その光は眩しい。

 

「待ってるよ、ユリス」


 声は柔らかかった。


「私、もっと強くなるから」


 彼が見失わないように。

 彼がいつか、本気で自分へ剣を向けてくれるように。

 

 勇者は、誰もいない第一訓練場で剣を振った。

 その剣筋は、昨日よりも鋭かった。

 まるで、誰かに見つけてもらうための光のように――。


 ◇


 リーナ・セレナーデは、治療棟に戻っていた。

 白い床。薬草の匂い。聖魔法に使う香油の柔らかな香り。棚には包帯が整えられ、窓際には治癒用の聖水が並んでいる。いつもと同じ治療室だった。

 けれど、リーナには何もかもが遠く見えた。

 魔王の剣を持つ少年。ユリス・アステルである可能性が高い。

 学園長の言葉が、何度も頭の中で繰り返される。

 黒域。そこは、自分の光が届かない場所。

 リーナは手を見下ろす。掌に、淡い聖なる光が灯る。傷を塞ぎ、痛みを和らげ、誰かをもう一度立たせるための光。

 それは確かに、今も綺麗だった。

 けれど、その光は黒域には届かない。魔王の剣を握ったユリスには届かない。

 彼が今、どこかで傷ついていても。血を流していても。痛みに顔を歪めていても。

 自分は、その傷に手を伸ばせない。


「意味がない……」


 声が落ちた。

 治療室には誰もいない。患者も、後輩の聖女科生徒もいない。白い椅子だけが、窓際に置かれている。

 ユリスがよく座っていた椅子だった。

 彼はいつも、そこに座ると少し不機嫌そうな顔をした。大したことはないと言う。放っておけば治ると言う。けれど、リーナが手を伸ばせば、最後には黙って治療を受けた。

 その傷を癒やすのが、リーナの日常だった。

 彼が明日も剣を振れるようにすることが、リーナの役割だった。


「届かないなら、意味がない……」


 掌の光が揺れる。

 治癒魔法は発動している。

 けれど、癒やす相手がいない。

 癒やしたい相手には届かない。

 淡い光はただ椅子に吸い込まれた。


「ユリスさんを癒せないなら……」


 意味がない。

 意味がない。

 意味がない。

 意味がない。

 意味がない。

 

 小さな声が、白い治療室の中に落ちていく。

 リーナは自分が何を言っているのか、半分だけ分かっていた。

 聖女は、一人のためにあるものではない。

 傷ついた全ての者へ手を伸ばすために、聖女は光を授かる。ユリスだけを癒やすために聖女科にいるわけではない。そんなことは、分かっている。分かっているのに。

 ユリスを癒やせない自分は、ひどく空っぽだった。

 彼が傷ついた時、自分が必要とされないことが怖かった。彼が自分の知らない傷を抱え、自分の知らない痛みに耐え、自分の知らない力で立ち上がってしまうことが怖かった。

 それは、聖女として正しい感情ではない。

 分かっている。

 けれど、止まらなかった。

 リーナは椅子の前に膝をつく。

 誰も座っていない椅子に、そっと手を置いた。

 掌の光が、白い木目を照らす。

 当然、椅子は傷ついていない。

 癒やすべき傷など、どこにもない。


「ユリスさん……」


 名前を呼んでも、返事はない。

 それでもリーナは、光を消せなかった。

 消してしまえば、本当に何も残らない気がした。

 聖女候補の少女は、空の椅子に手を添えたまま、小さく同じ言葉を繰り返していた。


「意味がない……」


 その声は祈りではなかった。

 祈りと呼ぶには、あまりにも暗かった。


 ◇


 クラウディア・レインベルは、第二訓練場の端に立っていた。

 朝の訓練は終わっている。聖騎士科の生徒たちは既に引き上げ、白い外套の影も、盾が地面を叩く音もない。残っているのは、整えられた防御陣形の跡と、壁際に並んだ訓練用の盾だけだった。

 クラウディアは、自分の盾を見下ろしていた。

 守るための道具。誰かの前に立ち、刃を受け、危険を遮るためのもの。

 その意味を、彼女は疑ったことがなかった。

 だが、今日の集会で胸の奥に別のものが沈んだ。

 王立聖戦学園が長きにわたり守り続けてきた誇りと伝統を踏みにじる重大な逸脱行為。

 その言葉は正しい。組織としては、きっと正しい。

 魔王の剣を持ち出し、黒域へ向かった生徒がいる。学園の威信は傷ついた。王国への説明も必要になる。生徒たちを動揺させないためにも、秩序を示す必要がある。

 

 分かっている。

 分かっているからこそ、クラウディアは歯を食いしばった。

 学園は、ユリスを守ろうとしていない。そう感じてしまった。

 学園が守ろうとしているのは、秩序と伝統。そして女神の祝福を掲げる学び舎としての体面。

 ユリス・アステルという一人の少年が何を思い、何に傷つき、何を選んだのか。

 そのことを、誰も問おうとしていないように見えた。


「――違う」


 クラウディアは小さく呟いた。

 違う。ユリスが、自分の意思で黒域へ行くはずがない。

 そうだ。魔王の剣が、彼を歪めているのだ。

 あの黒い力が、彼から正しい判断を奪っている。

 そうでなければ、ユリスが自分の身を危険に晒してまで黒域へ向かうはずがない。

 そうでなければ、自分が止められなかったことになる。

 自分が、彼の苦しみを見落としていたことになる。

 彼が壊れていくのを、ただ見ていたことになる。

 

 そんなこと――あるわけがない。


「今度こそ、私が守る」


 声は静かだった。

 敵からだけではない。黒域からだけでもない。

 魔王の剣から。学園の裁きから。

 

 そして――自分自身を壊してでも進もうとするユリスから。

 

 守らなければならない。

 たとえ、彼がそれを望まなくても。


「君を、必ず連れ戻す」


 剣も、闇も、魔王の声も届かない場所。

 黒域の風も、学園の断罪も、誰の視線も届かない場所。

 傷つかなくていい場所。

 もう無理に立ち上がらなくていい場所。

 そんな場所があるのなら、そこへ連れていこう。

 

 たとえ――そのために彼の自由を奪うことになったとしても。

 

 そこまで考えて、クラウディアは息を詰めた。

 今、自分は何を考えた。

 守るためなら、自由を奪ってもいいと。

 そう、思ったのか。それは守護なのか。それとも、支配なのか。

 答えは出なかった。

 だが、否定もできなかった。

 ユリスが壊れるところを見たくない。

 その気持ちだけは、あまりにもわかりやすい真実であった。


「君に憎まれても構わない」


 クラウディアは盾を持ち上げる。

 その盾は、いつもより重かった。


「生きてさえいてくれるなら」


 白い外套が、静かに揺れた。

 守護者の祈りは、少しずつ形を変え始めていた。


 ◇


 エルネア・フィル・グリモワールは、集会が終わるとすぐに資料棟へ向かった。

 講堂で告げられた言葉を、彼女は頭の中で並べ直す。

 黒域外縁。魔王の剣と思しき遺物。聖王国出身の少年。

 ユリス・アステルである可能性が高い。

 誇りと伝統を踏みにじる重大な逸脱行為。

 エルネアは、最後の一文を記録しなかった。

 評価として不適切。事実確認が不足している。

 本人の意思、魔王の剣の影響、黒域へ向かった経路、闇の魔力の性質。いずれも未確定。

 それにもかかわらず、学園は価値判断を先に置いた。


「……不正確」


 資料棟の扉を開けながら、エルネアは小さく呟いた。

 中は相変わらず古い紙と埃の匂いがした。高い書架。索引盤。閲覧用の長机。三ヶ月前、ユリスが最後に訪れた場所。

 エルネアは学生証を認証盤にかざす。

 賢者科の研究補助生には、一般閲覧資料の利用記録を確認する権限がある。もちろん、本来は研究資料の重複確認や貸出管理のための権限だ。特定生徒の足取りを追うためのものではない。

 だが、今は必要だった。

 

 ――必要。

 

 エルネアはそう分類し、索引盤に指を置く。

 ユリス・アステル。という名前に紐づく閲覧記録が浮かび上がる。

 失踪当日の記録を確認する。

 

 魔王戦役概説。

 黒き魔力に関する基礎記録。

 封印遺物目録、第三分類。

 旧魔王領および黒域に関する地理記録。

 

 エルネアの指が止まった。

 ユリスは調べていた。

 偶然、黒域へ流れ着いたのではない。追われて逃げ込んだだけでもない。少なくとも、彼は事前に黒域という場所を知り、地理記録を確認し、その上で学園を出た。

 つまり、本人の選択である可能性が高い。

 エルネアは、記録板にそう書いた。

 胸の奥が、わずかに重くなる。

 彼は選んだ。誰にも告げず。自分にも告げず。――黒域へ向かった。

 それを知った瞬間、エルネアの中で何かが静かに沈んだ。

 怒りではない。悲しみでもない。

 まだ、そう分類するべきではない。

 感情を分類するには、情報が足りない。

 そう考えた。そう考えることにした。


「……確認する必要がある」


 エルネアは資料を取り出す。

 黒域地理記録。旧街道。外縁集落。黒都ノクスガルドへ続く経路。三ヶ月前の閲覧情報と、今回の噂が届いた方角を重ねる。

 線が見えた。

 ユリスの足取りは完全には分からない。だが、彼が向かった可能性の高い経路は絞れる。

 さらに、第三訓練場で検出した黒い残滓。魔王の剣の気配。

 それらを基準にすれば、追跡術式を組めるかもしれない。

 精度は低い。危険もある。黒域で術式が乱れる可能性も高い。

 それでも――


「――確認しなければ、分からない」


 エルネアは淡々と言った。

 淡々と言わなければならなかった。

 そうしなければ、胸の奥にあるものを直視してしまいそうだったから。

 彼女は記録板を閉じる。必要な資料を書き写し、最低限の魔導具を選び、追跡術式に使う媒体を準備する。行動は速かった。迷いはなかった。

 ユリス・アステルを見つけるために。そう書きかけて、エルネアの筆が止まる。

 違う。対象者の所在を確認するため。

 彼女はそう書き直した。

 ユリスの変化を観測するため。魔王の剣と闇の魔力を調査するため。危険因子を把握するため。聖王国側へ正確な情報を持ち帰るため。

 理由はいくつもあった。

 だから、これは必要なこと。誰かがやらなければならないこと。必要な確認作業。

 エルネアは、その結論を記録板に書き込んだ。

 

 そこから一週間、エルネアは資料棟に籠もった。

 講義には出た。食事も最低限は取った。

 だが、それ以外の時間はほとんど全て、追跡術式の構築に費やした。

 魔導書を開き、地図に術式線を引き、魔王の剣に由来する黒い残滓の記録を組み込む。黒域の地脈は、聖王国の術式と相性が悪い。加えて、相手は魔王の剣だ。通常の追跡術式がそのまま通るとは思えない。

 だから、時間が要る。精度を上げる必要がある。

 痕跡を絞り、経路を重ね、閲覧履歴と地理記録と噂の流入方向を組み合わせる。

 誰に問われても、必要な確認作業だと答えた。

 誰にも相談しなかった。

 

 アリアにも。

 リーナにも。

 クラウディアにも。

 

 一週間後。

 賢者科の教室に、エルネア・フィル・グリモワールの姿はなかった。

 机の上には、一枚の記録板だけが残されていた。

 そこには、短くこう記されていた。


 ユリス・アステルの所在確認を行う。

 期間、未定。

 理由、調査上必要と判断。

 

 ――その日、王立聖戦学園から二人目の生徒が消えた。

 

 彼女の行動には理由があった。

 だから、エルネアはそれを調査だと判断した。そう判断できてしまった。

 

 その奥にあるものの名前を、彼女はまだ知らない。


 【あとがき】

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 今さらながら、本作では初めてのあとがきです。

 皆さまから頂いた、フォロー・評価・応援、本当に励みになっています。

 物語はここからユリスだけでなく、彼を取り巻く少女たちの想いも少しずつ変わっていく段階に入ります。

 楽しんでいただけましたら幸いです。

 今後とも『曇りゆく勇者へ捧ぐ闇堕ちの美学』をよろしくお願いいたします。

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