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50.作戦会議

『作戦会議』


夜。

組織のビルの一室。


豪華すぎる執務室のソファに——


真が呼び出されていた。


(……嫌な予感しかしねぇ)


理由は一つ。

さっき部下から聞いた。

ボスがリナさんにプロポーズするらしい。

そして今。

目の前にはそのボス。

ソファに座り、腕を組み、深刻な顔。


(……なんでそんな世界情勢みたいな顔してんの)


沈黙。

数秒。

心が口を開く。


「真」


「はい」


「相談がある」


(相談?俺に…)


(嫌な予感しかしない)


真は覚悟を決めた。


「リナへの」


間。


「プロポーズ」


「…………」


(やっぱそれかよ)


心は本気の顔だった。


「俺」


「今までいろいろ経験してきた」


「情報もある」


「金もある」


「人脈もある」


真(知ってる)


心は指を組む。


「だから」


「わからない」


「……はい?」


「リナに」


「どういうプロポーズが」


「一番いいのか」


(なんで俺)


心は続ける。


「豪華すぎるのはどうだ」


「軽すぎるのも違う」


「場所」


「タイミング」


「演出」


「全部考えた」


机の上にはタブレット。


そこには——


プロポーズ案資料。


(資料作ったの!?)


心はページをめくる。


「例えばこれ」


画面。

夜の海上クルーズ貸し切り

花火

オーケストラ

ドローンで指輪演出


「すげぇ」


「でも違う気がする」


次。

ヨーロッパ古城貸し切り

ヘリで到着

城の中でプロポーズ


「映画ですか」


「違う」


次。

無人島プロポーズ

砂浜に巨大ハート


「いやもう」


「これも違う」


真は頭を抱えた。


(なんで俺がプロポーズ会議してんだ)


その時。

心がふっと笑った。

そして。

突然。

惚気モードに入る。


「そういえばさ」


(あっやばい)


「リナが」


「結婚してくださいって言ってきたんだ」


「聞きました」


「先に言われた」


「聞きました」


「俺のセリフなのに」


「聞きました」


心は机に手をつく。


「口膨らませて」


「もう取られたくないって」


「可愛くない?」


「可愛いですね」


「世界一」


「はい」


「俺死ぬかと思った」


(胃が)


数日前。

この男。

血まみれで拷問してた。


「リナ見つからなかったら」


「街ごと潰す」


とか言ってた。

それが今。


「可愛くない?」


(ギャップで胃が死ぬ)


心はさらに続ける。


「でさ」


「瞼にキスされた」


「はい」


「瞼」


「はい」


「やばくない?」


「はい」


「俺あの時世界救えた」


(胃薬ほしい)


心は満足してから本題に戻った。


「で」


「プロポーズ」


「はい」


心は急に真剣。


「リナは」


「どんなのがいいと思う?」


真はしばらく考えた。


そして言う。


「ボス」


「はい」


「正直言います」


「言え」


真は腕を組む。


「莫大なお金かけたやつ」


「たぶん」


「リナさん」


「困ります」


「……」


「むしろ」


「いつものボスが」


「普通に」


「指輪出して」


「花とか」


「綺麗な景色のとこで」


「結婚してくださいって言う」


「それが」


「一番喜ぶと思います」


心は黙る。

真は肩をすくめた。


「だって」


「リナさんですよ」


沈黙。

数秒。

心が小さく頷いた。


「……それな」


(同意早)


「俺も」


「なんか」


「そう思ってた」


「じゃあそれで」


「うん」


二人はうなずいた。

……が。

次の瞬間。

心がゆっくり真を見る。


「でも」


「はい?」


「なんで」


少し目が細くなる。


「そんなに」


「リナのこと」


「分かるの?」


空気が冷える。


「いや」


「普通に考えて」


「普通?」


「リナさんの性格的に」


「へぇ」


(やばい)


心は笑った。

にこやかに。

でも目が笑ってない。


「真」


「はい」


「死ねば?」


「理不尽!!!」


「リナ理解してる男」


「この世に俺以外いらない」


「友達枠です!!」


「いらない」


「ひどい!」


心は立ち上がる。


「まあいい」


「プロポーズ」


「準備する」


「頑張ってください」


心は扉へ向かう。

そして最後に振り返った。


「真」


「はい?」


「リナが喜びそうな花」


「調べとけ」


「俺がやるんすか」


「当然」


「プロポーズ誰のですか」


「俺」


「仕事誰」


「お前」


「ブラック……」


心は満足そうに去った。

扉が閉まる。

静寂。

真はソファに倒れ込んだ。


「……胃が」


天井を見上げる。

小さく呟く。


「でもまあ」


少し笑う。


「平和だな」


数日前の。

殺戮ボスを思い出す。

そして確信する。

リナさんいないと世界終わる。

真はスマホを取り出した。

検索。


「女性 プロポーズ 花」


そして呟く。


「俺なんでこれ調べてんだろうな」



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