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49.仕切り直し

『仕切り直し』


部屋の空気は、さっきまでとは別物だった。


さっきまで壊れかけていた男は——


今は完全に正気に戻っていた。

心はソファに座り、水を飲んでいた。

ふと。

さっきの言葉が頭の中で再生される。  


「……ねぇ」


リナを見る。


「リナ」


少し真顔。


「今」 


間。


「結婚って……言わなかった?」


リナはあっさり頷く。


「言ったよ」


その瞬間。


ブッ——!!


心は飲んでいた水を思いっきり噴き出した。  


「ゴホッ!!ゴホッ!!」


盛大にむせる。


「ちょっと!心くん大丈夫!?」


リナが慌てて背中をさする。

心は咳き込みながら言った。


「だって……!」


「それ……!」


まだ咳き込みながら。


「俺のセリフ!!」


リナ「え」


心「俺が!!言いたかった!!」


ものすごく悔しそうだった。


リナは少し申し訳なさそうに笑う。


「ごめん……」


でも。


少し口を尖らせる。


「でもね……」


小さく呟く。


「もう」


「誰にも」


「心くん取られたくなかったんだもん」


ぷくーっと口を膨らませる。

完全に拗ね顔。

心はその顔を見て。

固まった。


(……可愛いかよ)


(チクショー)


次の瞬間。


その尖った口に——


チュッ


軽くキス。


リナ「!?」


心は顔を近づけたまま言う。


「あのね……」


急に。


真剣な顔。


「リナさん」


姿勢まで少し正す。


なぜか急に。


「結婚」


「したい」


「させて下さい」


カタコト。


リナ「なんでカタコトなの」


心「わかんない今頭真っ白」


そして深呼吸。


「でも」


真剣に言う。


「一旦待って」


リナ「?」


心は人差し指を立てた。


「プロポーズ」


「俺に」


「させて」


真顔。


「仕切り直し」


「お願い」


完全に真剣。


リナは少し目を丸くしたあと——


ふっと笑った。


「はい」


優しく頷く。


「お願いします」


そして。


軽くキスをする。


しばらくして。

心が部屋から出てきた。

エントランス。

そこには。

真をはじめ警備達。

全員が一斉に見る。

そして。

一瞬で気づく。 


(……あ) 


(戻ってる) 


さっきまでの。

リナがいない間の心。 


あの——


暗くて

冷たくて

近づいた奴を全員消しそうな

地獄みたいな空気。


それが。


完全に消えていた。


いつものボス。


いや。


それ以上に機嫌が良さそう。


真は腕を組んで小さく頷く。


(やっぱりな)


隣の黒服が小声で言う。


「……ボス」 


「普通ですね」


真「普通だな」


別の警備が小声。 


「この前の拷問モードと別人です」


真「言うな」


全員が同時に思った。

やっぱりボスには

リナさんが必要だ。


そして。


もう一つ。


全員の心の中で一致した意見。


(あんな地獄の空気)


(もう二度とごめんだ)


真は深くため息をついた。


「……ほんと」


小さく呟く。


「勘弁してくれ」


遠くで。


心の声が聞こえた。


「リナー」


「ちょっと来て」


なに?」


「プロポーズの練習させて…」


真「えっ…プロポーズ?」


黒服「早いですね…」


真は天井を見上げて言った。


「……まあいい」


小さく笑う。


「平和が一番だ」


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