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32.裏稼業

『裏稼業』


会議室の重たい扉が閉まると、

張りつめていた空気がふっと緩んだ。


廊下に出た瞬間――


心くんはさっきまでの“ボスの顔”から

いつもの表情に戻っていた。


「お疲れ様」


ぽん、と頭を軽く撫でられる。


「リナ緊張してたでしょ?」


くすっと笑う。


「借りてきた猫みたいでかわいかったなぁ♡」


「えっ…」


リナは慌てて心を見る。


「ねぇ…心くん…」


少し小さな声。


「私…完全に場違いだよ…」


「……」


「偉い人達…怒ってたよきっと…」


さっきの会議の顔を思い出す。

怖い顔。

鋭い目。

怒っているみたいだった。


でも――


心はあっさり言った。


「あいつら怒ってんじゃなくて」


肩をすくめる。


「もともとあぁいう顔なの」


「え…」


「それに」


さらっと続ける。


「あのおじさんたちより俺の方が偉いから」


リナの頭を軽くつつく。


「大丈夫」


「リナに怒らせたりしないよ」


クスッ…

少しだけ悪い顔。


「俺ここ作ったの」


「え?」


「リナを手に入れるためって言ってあるから」


「……」


「組織はついで」


「えぇ!?」


思わず大きな声が出る。


「だから」


ぽんぽん、と頭を撫でる。


「幹部クラスは俺がリナが最優先事項ってこと知ってる」


「今回はそのお披露目な」


……組織って……


言葉が引っかかる。

リナは少し首を傾げた。


「心くんって…」


「うん?」


「うちの会社の代表じゃないの?」


「……」


「他にもお仕事してるの?」


核心を突く質問。

心は少しだけ笑った。


「うーん…」


軽く頭をかく。


「リナ怖がるといけないから言わなかったけど…」


少し考えてから言う。


「簡単に言うと…」


肩をすくめる。


「マフィアみたいなもんかな」


「……」


「裏稼業だよ」


リナは一瞬黙った。

でも次に出た言葉は――


「それは」


真剣な顔。


「心くんが危なくないの?」


「大丈夫なの?」


その瞬間――


「はっはっっ!!」


心が大きく笑った。


「流石リナ…」


目尻を拭く。


「おかしぃ…涙出てきちゃった…」


「えっ…?」


リナは困った顔。


「なんで?」


「私真剣だよ…」


少し前に出る。


「心くんが危ないなら…」


ぎゅっと拳を握る。


「私が心くん連れて逃げてあげる」


「……」


「頼りないかもしれないけど…」


その瞬間。

ぎゅっ

心が強く抱きしめた。


「そういうとこだよ…」


リナの髪に顔を埋める。


「マフィアとか…裏稼業って聞いて」


少し笑う。


「怖がるかと思いきや…」


「俺の心配」


小さく息を吐く。


「もう…ほんとに可愛いなぁ…」 


少しだけ離れて、

リナの顔を見る。


「俺ね」


指で頬をつつく。


「関東…関西集めた中で一番つよいよ」


「……」


「だから俺の心配する奴なんて居ない」


優しく笑う。


「いいね……リナ」


少し低い声。


「やっぱり大好き」


リナの頬に触れる。


「もう…抱いていい?」


小さく笑う。


「優しくするから…」


心くんが口づける。

リナの手を引いて、


ベッドルームの方へ歩き出す――


その時。

コンコン…

ドアをノックする音。


「ボス」


「……」


心がぴたりと止まる。


「何?」


明らかに不機嫌な声。


「今取り込み中…分からない?」


ドアの向こうから、少し困った声。


「いや…ボスと…姉さんに挨拶したいって…幹部達が…」


「やだよ」


即答。


「え?」


「そんな強面のおっさんに囲まれたら」


リナの肩を抱く。


「リナが怖がるじゃん」


ため息。 


「鏡見て出直せって言って」


「心くん失礼だよ…」


思わずリナが言う。


「え?」


「私…」


少し恥ずかしそうに笑う。


「心くんの部下さんなら挨拶したいよ」


その言葉に、

心は一瞬固まった。


「……」


小さくため息。


「リナはほんと優しいね」


頭をぽんっと撫でる。


「分かった」


ドアの方を見る。


「入れていいよ」


こうして…

心は裏稼業を暴露したが…

リナは…

心が危険じゃなければと

すんなり受け入れた…

心は


「俺には危険ないよ」


と軽く言ったが…

心に目をつけられて

潰されたものは……

数えきれないほど

存在していた。

そして――

その幹部達が

今まさに

この部屋の前に

集まっていた。



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