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20.俺のもの

『俺のもの』



カツ……カツ……


静かな靴音だけが、部屋に響いた。

心はゆっくりと歩いてくる。

視線はまっすぐ、リナの上に馬乗りになっている三本へ向けられていた。

三本が振り向く。

その瞬間――

胸ぐらを掴まれた。

「うっ……」

力任せに引き剥がされ、次の瞬間には拳が振り抜かれていた。

ゴンッ!!

鈍い音が部屋に響く。

三本の体が横に吹き飛び、床に転がる。

しかし心は止まらない。

一歩踏み出し、倒れた三本の腹へ――


ドンッ!!


鳩尾に蹴りが叩き込まれた。

「ぐっ……!」

三本の体が折れ曲がり、血反吐が床へ落ちる。

そのまま力なく倒れ込んだ。

部屋は一瞬、完全な静寂に包まれた。

心は何も言わず、リナの前にしゃがみ込む。

震えているリナの体をそっと起こし、

自分の上着を肩にかけた。

そのまま腕の中へ抱き寄せる。

しかし――

視線は一度もリナを見ない。

ゆっくりと顔を上げ、アンナを見る。


「アンナ……」


低い声。


「お前……わかっててやってる?」


その一言だけで、空気が重くなる。

アンナの肩がわずかに震えた。

心の声が続く。


「俺のに……手ぇ出すってこと……」


一歩前へ出る。

そして突然、怒声が響いた。


「意味わかっててやってんのかって聞いてんだよ!!」


部屋の空気が震えた。

アンナがびくっと体を揺らす。

それでも彼女は笑おうとする。


「心さん……これは……」


声が少し震えていた。


「私……あなたがもう抱いてくれないから……寂しくて……」

その言葉に、心はふっと笑った。


「あぁ……」


ゆっくり頷く。


「抱く?」


首を傾ける。


「そういうこと」


そしてアンナを見つめたまま言う。


「リナに聞かせて……俺をもっと怒らせたいわけね」


口元だけが笑う。


「なるほど……すごいわ」


少し間を置いて、低く呟く。


「お前……俺を怒らせる才能あるよ」


次の瞬間――

ガンッ!!

近くの椅子を思い切り蹴り飛ばした。

椅子が床を滑り、壁にぶつかって止まる。


「ひっ……」


アンナの口から小さな悲鳴が漏れる。


だがその瞬間。

心の表情がふっと変わった。

腕の中のリナへ視線を落とす。


「リナ……」


声が柔らかくなる。


「なんか聞いた?」


リナは震えながら首を振る。


「あぁ……違うんだ」


少し慌てたように続ける。


「誤解しないで」


アンナを指さしながら言う。


「あいつなんて……リナがいない時に性欲処理してたただの穴」


アンナの顔が歪む。

心は気にしない。


「オナホって知ってる?……リナ知らないか」


小さく笑う。


「とにかくさ。情報と金落とすATMみたいなもん」


淡々と言い切る。


「カードの代わりに挿れてやれば、なんでも言うこと聞くし」


その言葉を聞いた瞬間。

リナの目から涙が溢れた。

ぽろぽろとこぼれ落ちる。


「あぁ……もう」

心はリナの頬に手を当てる。


「泣かないで」


優しく言う。

「今はリナ以外に触れないから」


小さく笑う。


「もう俺……リナ以外は起たないし」


リナの顎をそっと持ち上げる。


「ねぇ……リナ」

「こっち向いて」


その必死な様子を、アンナたちは呆然と見ていた。

すると心が振り返る。


「あ?」


冷たい声。


「お前らまだいたの?」


黒服たちが固まる。


「リナが怖がるから」


床に倒れている三本を足で蹴る。


「そいつ連れて帰れよ」


そしてアンナを見つめる。

静かな声で言う。


「後日……」


少しだけ笑う。


「俺のものに手ぇ出すとどうなるか……」


「ちゃんと分からせてやるよ」


その言葉の意味を、

この場にいる全員が理解していた。


それから数日後――

裏社会の空気が変わった。

関東側の組織の資金ルートが突然止まり、

取引先が消え、

拠点が一つずつ潰されていく。

誰がやっているのか。

噂はすぐに広がった。


「心が動いた」


それだけで十分だった。



そして三本は――

逃げることはできなかった。

心は、すぐに終わらせるタイプではない。

逃げ場をなくし、

時間をかけて追い詰める。

それが心のやり方だった。


ある夜――

三本は呼び出された。

場所は、誰も使っていない倉庫。

暗い室内で、心が待っていた。

「久しぶりだな」

静かな声。

三本の背中に冷たい汗が流れる。

「俺のものに手ぇ出したんだ」

ゆっくり近づく。

「覚悟くらい……できてるよな」


その瞬間――

三本の顔から血の気が引いた。

三本の行方は

誰も分からない

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