2.誓い
心サイド…
「誓い」
真田心は、孤児院を出てから——
裏社会に染まっていった。
最初はただ、生きるためだった。
家もない。
金もない。
頼れる人間もいない。
だが心には、一つだけ目的があった。
——如月リナ。
必ず迎えに行く。
そして、誰にも渡さない。
その想いだけで、心は這い上がった。
喧嘩も、裏切りも、血も。
何度も死にかけた。
だが、生き残った。
力がすべての世界で。
心は気づけば——
頂点に立っていた。
裏社会のトップ。
誰も逆らえない存在になっていた。
心はソファに深く座り、静かな部屋で一枚の写真を見ていた。
そこに写っているのは——
リナ。
孤児院時代の写真だった。
幼い頃の笑顔。
心は指でその頬をなぞる。
「あぁ……」
恍惚とした表情で呟く。
「ようやく……」
写真に舌を這わせる。
「ようやくだ……リナ」
低く笑った。
その時。
部屋のドアがノックされる。
「ボス」
部下の男が入ってきた。
「例の女ですが」
心は顔も上げない。
「……何だ」
「捕まえてきましょうか?」
次の瞬間。
——ガンッ!!
鈍い音が響いた。
心の蹴りが、部下の顔を蹴り上げたのだ。
男は床に叩きつけられる。
「……は?」
心の目が冷たく光る。
さっきまでの表情とは別人だった。
マフィアのトップの顔。
「リナに何もするな」
ゆっくり近づく。
床に倒れた部下の胸を踏みつけた。
「俺の女だ」
低く囁く。
「手出ししたら殺すぞ」
部下は震えながら頷いた。
「……も、申し訳ありません」
心は足を退ける。
「二度と口にするな」
部屋に静寂が戻る。
心は机の上に並ぶ資料を見る。
そこには——
リナのすべてがあった。
住所。
職場。
通勤ルート。
友人関係。
生活パターン。
すべて。
「ふふ……」
心が笑う。
「リナ」
指で紙をなぞる。
「リナの住んでる場所」
「職場」
「交友関係」
「全部調べた」
目を細める。
「全部」
「俺の手の中だよ」
立ち上がる。
窓の外は夜だった。
ネオンが輝く街。
その街を支配しているのは——
心だ。
「そろそろ」
スーツを整える。
「迎えに行こうかな」
甘く囁く。
「待っててね」
スマホの画面にはリナの写真。
心はそれに軽くキスした。
「リナ♡」
本格的に動き始めた。
七年間拗らせ続けた執着。
狂気の溺愛。
それが——
今、リナへ向かおうとしていた。
だが。
リナはまだ知らない。
再会が偶然ではないことも。
心が七年間。
ずっと自分を想い続けていたことも。
そして。
これから——
逃げられなくなることも。
心の狂っている感じが伝わるといいです




