12.告白
『告白』
心くんに抱きしめられたまま、しばらく動けなかった。
さっきまでの冷たい目はもうなくて、
そこにいるのは――
昔の、優しい心くんだった。
「ごめんなさい…」
リナが小さく言う。
「心くんがあんなに嫌がるなんて思わなくて…」
少し顔を上げて、申し訳なさそうに続けた。
「心くんも…中華一緒に食べたかったよね?」
その瞬間。
「リナ…」
間。
「おいリナちゃん」
心が思いっきり顔をしかめた。
「違うから」
深くため息をつく。
「俺…中華で怒ってたんじゃないからね?」
リナはきょとんとしている。
心は額を押さえた。
「まったく…」
ぼそっと呟く。
「……あいつ」
スマホを取り出した。
「もう…まぁ一応…」
どこかへ電話をかける。
「俺」
低い声に戻る。
「……あいつどうなった」
少し間。
「あぁ、まだ?」
ソファに腰掛けながら続ける。
「じゃあ…口止めして」
さらに間。
「……うん、まぁ今回はいいや」
少し笑う。
「え?理由?」
ちらっとリナを見る。
「リナが可愛いから」
また沈黙。
「でも次近づいたら分かるように」
声が少し冷たくなる。
「あぁ…それでいい」
電話を切った。
――本当は殺すつもりだった。
だが。
(まぁ…協力したしな)
(今回は脅しだけで逃がすか)
心はスマホをテーブルに置いた。
そのとき。
「心くん…」
リナがもじもじしている。
「その…私…」
視線を泳がせながら言う。
「どさくさに紛れて…告白しちゃったけど…」
心が眉を上げる。
「その返事とか…」
心は数秒黙った。
そして――
深くため息をつく。
(え)
(まさか)
(俺の気持ち気づいてないの?)
頭を抱えたくなる。
(あれだけ俺のだって言って)
(あんなことされて)
(好きって言ったのに)
(まだ分からないの?)
(鈍感すぎるだろ)
心の中で盛大にツッコミが炸裂する。
(だから昔の俺苦労したんだよ…)
(あの頃一緒に住んでたら)
(絶対我慢できなくて即やってたわ)
心はリナを見た。
真剣な顔で言う。
「俺も言ったと思うけど」
ゆっくり。
「ずっと恋人にしたかった」
リナの目が大きくなる。
「リナより前から」
苦笑する。
「大好きで」
少し視線を逸らす。
「大好きすぎて」
静かに続ける。
「リナにあんなことやこんなことするの」
「止められなくなりそうだったから」
小さく笑う。
「家出たんだよ」
リナが息を呑む。
心はまっすぐ見つめた。
「リナ」
真剣な声。
「俺と付き合って」
少しの沈黙。
リナは――
「はい」
小さく笑った。
「心くん」
その言葉を聞いた瞬間。
心の胸の奥で何かが弾けた。
(ようやく)
(ようやくだ)
七年以上。
ずっと欲しかった言葉。
(リナには真正面から言わないと分からない)
心はくすっと笑った。
(まぁ)
(そこが可愛いんだけど♡)
そして――
急ににやっと笑う。
「じゃあもう遠慮いらないね!」
リナが「え?」と固まる。
「昨日はさ」
肩をすくめる。
「イラついてたのと」
ニヤニヤする。
「リナの初めて貰うのに夢中で」
耳元で囁く。
「リナの反応もっと堪能したかったのに」
ぐっと抱き寄せる。
「今日は」
低く甘い声。
「じっくり可愛がって」
「リナをどろっどろに甘やかしてあげるから」
「へっ?」
リナが目を丸くする。
「今日もするの?」
心が即答する。
「当たり前だろ」
さらっと言う。
「七年以上我慢してたんだから」
指を絡める。
「一回抱いたくらいじゃ足りない」
リナが首を傾げる。
「心くん…」
小声で言う。
「あれ一回じゃ…ない気がするのは」
困った顔。
「私が初心者だから?」
心は一瞬止まり――
吹き出した。
「リナ」
いたずらっぽく笑う。
「リナの中に」
耳元で囁く。
「たくさん注いであげるね♡」
リナが真っ赤になる。
心は楽しそうに笑った。
「らぶらぶ記念に」
さらに抱き寄せる。
「たくさんしよう」




