1 .再会
はじめて書くので稚拙な文章ですがお許しください
『再会』
如月リナは孤児院で育った。
幼い頃、そこには一つ年上の男の子がいた。
真田心。
泣き虫で、少し不器用で。
初めて声をかけたのはリナだった。
孤児院の庭の隅で、ひとり泣いていた彼に——
「どうしたの?」
そう話しかけたのがきっかけだった。
それから二人は、いつも一緒だった。
遊ぶときも、食事のときも、叱られるときも。
家族のいないリナにとって、心は家族のような存在だった。
そして、いつの間にか——
淡い初恋になっていた。
だが。
心は十五歳になると、何も告げず孤児院を出ていった。
理由も、行き先も。
何も知らされないまま。
リナは施設長に何度も尋ねた。
けれど——
「ごめんね、教えられないの」
そう言われるだけだった。
そのとき初めて、リナは気づいた。
自分が彼を好きだったことに。
でも、その時にはもう遅かった。
心はどこにもいなかった。
それから七年。
リナは二十二歳になった。
孤児院を出て、就職し、一人暮らしをしている。
心の思い出も、ようやく過去になりつつあった。
その日の休日。
リナは買い物に出かけていた。
——そのとき。
視線を感じた。
知らない男が、値踏みするようにリナを見ている。
「ねぇ……彼女、かわいいね」
男が近づいてくる。
「俺とデートしようよ。ひとり?」
「え……」
リナは思わず身をすくめた。
孤児院では姉のような存在で、誰とでも気軽に話せる性格だった。
でも——恋愛には奥手だ。
ましてや、ナンパなど慣れていない。
男はニヤニヤしながら、リナの手を掴んだ。
「いいじゃん。ひとりなんでしょ?
行こうよ。楽しいこと教えてあげるって」
「っ……!」
声が出ない。
逃げる間もなく、腕を引かれる。
その瞬間。
「——待った」
低い声が割り込んだ。
「……ん?誰?」
次の瞬間。
マッシュヘアの青い髪。
背の高い男が、リナの腕を掴む男の手を払った。
そして自然な動作で——
リナの肩を抱いた。
「すみません。その子、俺の連れなんですけど」
耳元で、小さく囁く。
「……話合わせて」
リナは咄嗟に頷いた。
「はぁ!?男連れかよ!
だったら早く言えよ!」
男は舌打ちして去っていった。
青髪の男は周囲を見て、小さく言う。
「そのまま歩いて。
あそこのカフェ入るよ。まだ見てるから」
「は、はい……」
二人は近くのカフェに入った。
席に座ると、リナは頭を下げた。
「あの……助けていただいて、ありがとうございました」
男は少し笑った。
「いいけどさ」
そして、ふっと目を細める。
「無防備だよ。昔から変わらないな」
——え?
まるで知り合いのような言い方。
こんなイケメン、知り合いにいたっけ……?
記憶を辿る。
すると。
どこか——
懐かしい面影を感じた。
まさか……
「酷いな」
男が笑う。
「俺のこと忘れちゃった?」
「……まさか」
リナは思わず口にした。
「心くん……?」
男の笑顔が深くなる。
「よかった。忘れられたかと思った」
真田心だった。
あの頃よりずっと背が高い。
185センチはありそうな長身。
鍛えられた体。
甘い顔立ち。
昔の泣き虫な少年の面影はあるが——
今は、完全に別人のような男だった。
「ごめんな」
心が少しだけ真面目な顔をする。
「あのとき、何も言わずに出ていって」
「……」
「でもさ。
ちょっとは寂しいと思ってくれた?」
リナは俯く。
「……そうだよ」
声が震えた。
「一言くらい言ってくれてもよかったのに……」
言葉が途中で止まる。
初恋だったなんて——
言えるわけがない。
だから、笑った。
「でもよかった。こんなにかっこよくなって」
「助けてくれてありがとう」
心はくすっと笑う。
「かっこいいって思ってくれるの?」
二人はしばらく思い出話をした。
昔みたいに。
不思議なくらい自然に。
リナは気づく。
彼の隣にいると、安心する。
ふと、肩口に目がいった。
服の隙間から——
入墨が見える。
「……あ」
心が気づく。
「ああ、これ?」
軽く肩をすくめた。
「彫ったんだ。かっこいいだろ」
「……」
「気になる?」
そう言って笑う。
「あー、でもごめん。
このあと仕事なんだ」
ポケットから紙を取り出した。
「これ、俺の番号とLINE」
リナに渡す。
「登録しといて。
今度ゆっくり話そう」
リナは受け取った。
胸が少し温かい。
「ありがとう……忙しいのに」
心はウインクした。
「リナのためなら安いもんだよ」
そして。
優しく頭を撫でた。
「またな」
心は去っていった。
リナは彼の背中を見送る。
胸の奥に、淡い期待が生まれていた。
——昔みたいに。
また家族みたいに。
いられるのかな。
でも。
それはリナだけの気持ちだった。
心の本心は、違う。
遠くから。
彼はリナのアパートを見ていた。
「……やっと会えた」
小さく呟く。
「リナ」
「あの頃はガキだったからな」
「近くにいたら襲いそうで、離れたんだけど」
苦笑する。
そして、目を細めた。
「でもやっぱりさ」
「俺がいない間に、悪い虫つくよな」
リナの部屋の灯りがつく。
「まあ……」
心は低く笑った。
「可愛いから仕方ないけど」
ポケットの中のスマホを握る。
「これから」
「リナの周りの男、全部消していけばいい」
そして、静かに言った。
「リナには——俺しかいないって」
「分からせてあげないとな」
リナはまだ知らない。
この再会が偶然ではないことを。
そして。
心がずっと前から——
自分を見つめていたことを。
はじめまして、初投稿なので至らぬ点があると思いますよろしくお願いします




