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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
98/120

第89話 1vs1vs1vs1

書いててめっっっちゃ楽しかったです!(幼稚園児以下の感想)

即死の可能性。

それは卓越した剣豪達に走る鋭い“緊張”


最も深く充実していたのは元“五傑”フェレター。

最速の居合を見切る男が目の前にいるのだ。

楽しくない筈がない。


「やっと火が付いてきた」


「そりゃ良かった」

所々に発動する『完全居合』を避けながらも剣戟を味わう両者。


ザルツ達もそれは同様だった。

(この人さっきからあまり戦意を感じない……)


リシャウの目が綺麗に閉じている為、目から見て取れる覇気を感じないのだ。


実際今の彼女の頭の中には“早くララと合流したい”という思いが強い。


「………うざい」

「光栄だ」

彼女の剣を弾きながら、ザルツは手に雷を纏い始める。


「[雷魔法]!!」

雷の衝撃でリシャウを本棚ごと奥へと吹き飛ばした。


本来、雷と風魔法を扱う際には[燃焼]を使うか、自然の雷や風を利用するしかない。


[魔石]を除けば。

燃焼と比べて威力は大きく劣るが自然を利用しなければならない欠点は消える。


(あ〜もうこいつの才は魔法使いか……)

面倒くささを味わいつつ受け身を取ると背中に衝撃。

その男はフェレターだった。


「はぁ……なんでこんなおじさんと背中に合わせにならなきゃいけないのよ」


「……悪かったな」

ザルツとガイルがこちらに向かって走ってくる。

二人が考案した作戦はシンプルだ。


()()()()だ」

二人は入れ替わった。ガイルの相手をリシャウ、ザルツの相手をフェレターに。


研ぎ澄まされた二人にとってどんな相手でも変わらない。


(居合!!)

剣が鞘に完璧に納まった。『完全居合』が来る───!!


ザルツはここで[炎剣]を発動。二刀流だ。


キン!!という耳障りな甲高い音が響く。

正直生きた心地がしなかった。


「その背中に掲げた剣は飾りか!?」

特に驚いた様子もなく、フェレターは口を開く。自分はまだ本気を出していないと言うのに相手に手を抜かれるのは嫌なのだろう。


「…………まだその時じゃない」

ここにいる全員、まだ本気を出していない。

本気を出さないのは恐怖かプライドか、少なくともザルツは前者だが。


ちょっとした刺激で崩れそうな力の均衡と緊張。

こちらが本気を出した瞬間、一気に負ける感じがするのだ。


「なら…もっと“速く”しよう……!!」

彼の声にザルツの集中はもう一段階深く落ちる。


──────────────

[一方その頃、ガイルとリシャウ]


本来図書室は本を読む場所だが、二人の大暴れで更地同然。



「本気出さないのか!?」

ガイルの剣『鬼』の重さを受けても彼女は表情も変えずに彼の剣を受け続けていた。


「………フェレターに封じられているから」


「そんなに強いのか?」


「…まぁまぁ」

完全に成人女性の筈なのに、どこか幼い子供と話している様だ。


ただ閉じている目からでもその“殺気”をはっきりと感じる。


本気で来ないだけで油断があったら殺すと言いたげな無駄のない剣技。

「こっちもこっちで…痺れるな」


剣を振り上げて真下に振り下ろす。

彼女は姿勢を低くし片手で受け止めた。


「…あなたも」


「あ?」


「見せてよ…『殺意』のガイルを」


「………その時になったらな」


各々目指す所が同じで、神の打倒。

こんな所で致命傷を負ったり、体力・魔力を使い果たす可能性がある以上本気は出せない。


「二対一ならどうだ?」

背後からフェレターの声。

背中にあった筈の味方がいるという暖かみが消えた気がする。


「…クソッ!」

急いでリシャウを吹き飛ばすが遅い───奴の居合で彼の胸が斬られた。


深い──致命傷……ギリギリ違うか。

「ザルツを……斬ったのか…」


「ローリスクでここまでダメージを与えられたのは幸運だったな」

彼女が頷くと、膝をついたガイルの首に剣を置く。

死───それが色濃く真っ暗に視界を覆い尽くした時。



()()()向ける一人の男の殺気。

この縦も横にも広いこの図書室で壁に張り付いた男が此方を見ている。


────────────

[数分前]


フェレターの居合に対応しきれず、左肩を斬られたザルツはドクドクの流れる血を見て溜め息を吐いた。


(ここまで……クソ……ようやく僕の番だと思ったのに…足を…引っ張っちゃ…不甲斐ないな…)


軽く笑った彼に一つの想いが浮かぶ。

この剣を正しく扱えるだろうか。


ネオニィシティで、初めて戦った神の四天王であるノア(ゴースト)が使ったこの剣。


その街の鍛冶屋に託し、今こうしてこの武器を掲げてきた訳だが…一度もこの剣は応えてくれなかった。


(もしかしたら“人を殺す覚悟”が今の僕には足りないのかも知れない)

ケイはその業を背負ったのだ。僕もそれに続かなくてはならないと覚悟したザルツ。


背中に掲げたこの剣を持ち、ザルツは狂気的な笑みを浮かべる。


「もう良い…!出し切る!!」

オリアーナが待ってるとかどうでもいい、いい加減我慢の限界だ…!!


────────────

[時は現在]


壁に剣を突き刺し、剣越しに立つ彼は三人の剣豪を睨みつけた。


各々が死線を潜り抜けた猛者共。

これを潜り抜けてこその漢だ。


「この“死線”潜り抜けてみせる!!」


息を吐き、

一言。


その一言は剣の名であり『起動合図』



「[無燼禍神ノ剣むじんまががみのつるぎ]」


ぞっ…!という背筋に重りを加える様な恐怖が三人を襲った。


背中にある剣を勢い良く引き抜き、殺意に満ちた表情でリシャウを斬る!!!


「なっ!?」


防御を取った彼女の短剣ごと、胸から腹にかけて切り裂いた。そのスピード、火力、全てが底上げされている。


ザルツの能力である[強化]と更にそこから剣の特性である身体能力の底上げ。


[強化]は本来人体を覆っている魔力を更にそこから、密度の高い魔力で二重に重ねがけする事でパワーを増大している。


あまり長くは保たない為、完全な切り札。

本気モードだ。


「……ザルツ」

心配そうに見つめるガイルだったが、少しだけ考えた後、彼もニヤリと笑う。


「はっはっはっはっ!!そうだな、本気ださねぇのはおかしい話だな!!」

背中をバシバシと叩き、豪快に笑う。ガイルも本気モードだ。


ガイル自身、能力を持たない人間。

魔力による身体強化と戦士としての才でここまで来た。


「良いぜ見せてやるよ、『殺意』の称号に見合う…剣豪を…!!」

自身をより深く、集中へと沈ませ、無理矢理ゾーンに入れる彼の“特技”


力と怒りに身を任せ剣をこれでもかと力強く握る。


本来怒りとは視野を狭め、繊細さを無くすものだが無理矢理入れたゾーンにより視野の縮小を防いでいた。


「リシャウ!死んだフリはいい。こいつら、惜しみなく俺たちを殺すつもりだぞ」


血を流しながらも表情を変える事はない彼女。

ただ目が開いていた。


透明感の強いサファイアの様な目だ。

息を切らしながら、腰に掛けていた剣を抜く。


「ザルツ…と言ったか?お前の言う通りだ…こんな楽しい戦いを消化試合の様に行うなんて大損だァ」

鞘に剣を納め二人の間あたりに剣の柄を向け握る。


「………私の本気見たいんでしょ?良いよ見せてあげる(ごめんララ…あなたの所には行けそうにない)」


彼女は剣を強く握りしめ、ザルツ…そしてガイルに目を向ける。遂に開眼した彼女の目。


その目には“濁りなき殺意”を感じる。

「[黒宴]」


彼女の純白の剣が漆黒に染まった。

ただの身体能力と剣の強度の増幅。この能力で至ってシンプルだ。


黒剣、禍々しい剣、大剣、居合と四人の剣豪が遂に本領を出す。


(お腹痛……こいよ…斬ってやる…)


(燼滅で斬り尽くす!!)


(お〜怖、大剣のコントロールミスったら終わりだな)


(俺よ……この居合に!全てを乗せてみろ!!)

 




何を合図と見たかはわからないが、同時に四人は構え出す。


水面の凪の如く静かなこの図書室。


一秒、


二秒、


三秒、


外の音が聞こえる。

夜の鳥がどこかへ飛び立つ刻────


「!!」

ガイルの剣がリシャウへと、

リシャウの剣がザルツへと、

ザルツの剣がフェレターへと、

フェレターの剣がガイルへと向かった結果──


衝撃波を生む程の剣と剣のぶつかり合い。

誰か一人は斬られていそうな中、各々の剣が首筋へと迫り


「ッ!!」

「チッ」

「クソ…!

「………!!」


四人同時に回避。

本筋の戦いはこれからなのだ。


無燼…?まががみ?と思った人は22〜23話をチェック!


次回:第90話 殺意四人


お楽しみに……!

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