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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・反撃編
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第88話 反撃開始!!

[夜十九時、オリアーナ大聖堂前]


「なぁ……」


「はい?」

ガイルが小声でレノアに話しかける。


「ララってどんな奴なの?」


「強固な剣を作る為に、近くにあった村の人達を人体実験した人です」


はっきり言ってクズ。

殺された五傑、イリス・グラファイトが妊娠中の時を狙い、腹を何度も刺して殺した……


という報告は同じ五傑のガイルもフレアも聞いていた。イリスと親友だったフレアは仇討ちに行きたい気持ちを抑え、任務を遂行する。


「レノア、頼んだぞ。イリスの仇を取ってくれ」

フレアがそう言うとレノアは驚いた表情で見返す。


「なんで私なんですか?」

「なんとなく」

ララに対する殺気が溢れていたか?なんて思ったレノア。理由は勿論それである。


話は戻りオリアーナ大聖堂前、入口には結界が貼られている。


ルティアの分析によると、これは転移の結界。


ランダムな場所に飛ばされる為、バラバラになるかもしれないと二日前の作戦会議で話した。


ここから先はフレアなしの四対五。

一気に押される可能性は十二分にある。


「準備はいいですか?」

レノアを掛け声に皆が頷く。


「突入!!」

一斉に結界へと突入。各々が結界に吸い込まれランダムに転移した。


オリアーナ大聖堂は大きい部屋四つと沢山の廊下。

大きい部屋は図書室と三つのホールで構成されている。


建物としては八階建てのそこそこな大きさだ。

ホールがあるのは一階〜三階。


図書室は四階、その他の階は全て聖職者や僧侶などの神を信仰すら者達の宿代わりになっている。


リサが転移したのは一階ホール。

廊下と庭に繋がっていて、大きい噴水が見える。

その廊下は建物を支える非常に大きい柱が多い。


ハウが転移したのは二階ホール近くの廊下。

特に何もなく真っ白とした空間で……静かだ。


レノアは八階の廊下。沢山の部屋に囲まれている。


ガイルは四階図書室へと転移。

今まで見てきたどの図書館よりも広い。


──────────

[視点はレノア]


(………大きい宿屋さんみたいな感じだから少なくとも三階以上!)


かなりの高い所にいた。

防音が効いているだろうから静かなのは分かるがあまりにも静かすぎる。


背後から物音。

「助けて……下さい…!!」


頭から血を流した僧侶がレノアの方へと這いずってきた、なんとか階段を上ってきた様でヘトヘトだ。


「!!今助けます!」

駆け寄ろうとした時、僧侶の短い悲鳴と共に血飛沫がレノアの頬に掛かる。


吐血───ではない。

“外部”による出血だ。


銀髪の女はゆっくりと階段を上がり僧侶の背中に刺さった剣を抜いた。


「あぁごめん。うるさかったよね?今黙らせたから安心して───ボクと()るか!!!」


「ッ…ララァ!!」

そんな怖い顔しないで〜と軽く返すララ。フレアの予感は見事的中。


[燃焼]を完全には使いこなせていない両者。

これを極め決着を着けるにはあまりにも丁度いい。


「ま、()()()()ないけどね〜」

ララの声に後ろの扉が、ゆっくりと開いた。

そこにいたのはリシャウ。


“推定”五傑級の女だ。

「!?」


挟み撃ちの態勢。

二人同時の剣をなんとか躱し、廊下による二対一。


(今の私には関係ない。防戦で蹂躙する!!)


「ララ、私に合わせて」

「はいはい」

呆れた様子なララと良いところを見せたいリシャウ。

死闘はもう始まっているのだ。


────────────

[ガイル視点]


「チッ、図書館かよ」

オリアーナ大聖堂において、こんな所で接敵した戦い辛いったらありゃしない。


(取り敢えず、誰が探すか?つってもな〜んか気配探りにくいな……これも“妨害”か?)


オリアーナには詳しいルティアだが、ララ戦において作戦会議のほとんどは沈黙を貫いていた。


姉の事で頭が一杯だったのだ、他の人間なんてミジンコかなんかに思っていただろう。


ララに詳しくないのは仕方がない。


「………?(今天井が揺れ……)」


ドガン!!という爆音と共に登場したのは最高戦力であるフェレター。


「やっぱりお前と戦うと思っていたよ」

溜め息混じりに答えるフェレターにガイルのテンションは上がる。


「運命の出会いだな」

「黙れ」

即答したフェレター。


現時点での剣戟の頂点同士の戦いが始まる。


─────────────────

[視点はレノア:八階廊下]


「はぁ……はぁ…」

廊下の端まで追い詰められたレノア。

流石に二人かがりでこられると反撃は厳しい。


ララがリシャウのスピードについていけてなかったのが不幸中の幸い、運良くダメージはなしだ。


「終わり?」

下手に動けば両断される、リシャウの圧は物凄い。

“剣豪”としての圧。これほど………


(どうする[燃焼]で突破できるか?)

────…ん!!


(いや、それじゃあ近すぎる…!ならララを狙えば…!)

────…ノアさん!!


(こう言う時、ケイ君なら、ケイ君なら何を…!)


廊下の奥から男の声、奥から見えるその姿は真っ暗のスーツを身に纏い背中に剣を持った──


「レノアさん!!」

ザルツ・シッヴァカーネだ。


「ザルツ先輩!!」

リサの思惑通り、一番助けて欲しいタイミングで来た!


「こっちは任せろ!!」

彼はリシャウの方へと飛び移り、斬りかかる。


すぐさま彼女も対応し、ザルツの剣の重さで下の階へと沈んでいった。


「……あちゃ〜」

これで状況は一対一。タイマンだ。


「んじゃ……決めよっか?今度はちゃんと殺れよ?」

レノアが雷速でララに斬りかかりララもそれを受け止める。


大将戦の開始だ。


──────────────

[ガイル視点:四階廊下]


フェレターの居合を受け、此方も反撃を絶やさないガイル。


戦いは互角。本来ライバルと呼ばれている彼らだ、万全で戦えばどちらが勝つなど想像つかない。


「[加速]」


フェレターの能力は前のループでフレアを殺す際に使用した。


能力の内容としては一つの“動作”を加速させると言うもの。


現に加速させているのは“剣を振ってから鞘に納めるまでの動作”の速度を増やし居合抜刀を振れる回数を増やしているのだ。


「ッ…!!!」

一発目はなんとか防御したが二発目で肩を斬られた。

フェレターにとって最も恐ろしいのは鞘に剣を“完全に”納めた場合に起きる居合。


その速度は圧倒的で反応できる者は少ない。


(不味いな…)

なんとか防御を続けているが状況は良くない、あの居合にカウンターを入れたいのだが……


「!?」「なんだ?」

背後から爆音、瓦礫と共に落ちてきたのは……

ザルツとリシャウ。


(あいつか!!)

リサが言っていた切り札!!

彼は一目散にザルツの下へと駆け出し、二対二の構図となった。


呆れた様子で溜め息混じりにフェレターはリシャウに話しかける。

「おい……何をやってる」

「ごめん、手強かった」


彼女の細い目が開く事なく、ただ淡々と返した。ララ以外にはこんな塩対応なのだから腹が立つ。


ザルツとガイル、そしてフェレターとリシャウ。

四人とも、各々の道を極めた剣豪。


名を馳せた訳ではないザルツとリシャウだが、この二人についていけるという自負はある。


「お前がザルツか!!」

背中をバシバシ叩き、嬉しそうに語るガイル。


「初めましてガイルさん、僕はケイのパーティの一人。ザルツ・シッヴァカーネです」

ペコリと頭を下げたザルツ。

少しの間の後、お互いに敵を見据える。


彼の手はとても分厚くなっていた。

ここに来るまでの間に休む事なく剣を振ってきたのだろう。


「まずはお互いの剣戟を…味わっておこう」

楽しみと言わんばかりにフェレターは口を開く。

斬り合い…対等な人間との殺し合いを夢見てきた奴が今まさにそれが叶いそうと言うのだ。


ワクワクしない理由がない。

「リシャウ。その腰にある剣は使うなよ」


「喋りすぎ、黙ってやれないの?」

仲間にも辛辣な彼女を無視して、剣の柄へと触れる瞬間──!!


「!!」

ガイルの大剣がフェレターの首筋に迫っていた。


「何やってんの」

彼の大剣を弾き、彼女の短剣で事なきを得たフェレター。戦いは始まっているのだ、油断は禁物。


ザルツも彼に追撃するが居合が間に合った。ザルツが使うのは火魔法を剣の形にした[炎剣]ではなくただ魔力で使った剣。


背中に背負っている剣もあるがひとまずこれで戦う。

するとザルツの剣から“風”が溢れる。


「[風魔法]」

リシャウとフェレターを近くの図書室へとぶっ飛ばした。


「ザルツはあの女を頼んだぞ!」

彼の呼びかけに頷き、リシャウへと斬りかかる。


「そんな短剣じゃ僕は斬れないよ!」

「……フェレターに本気を封じられているから」


ザルツの連撃をいとも容易く返す彼女。

剣術は互角だ。


(リーチは僕の上かな)

一歩下がった所に先端を彼女の胸を狙い──突く。


「ッ!!(鋭ッ…!)」

…がこれも弾かれた。短剣である以上、ザルツのリーチを押しつければ自然と防御態勢にさせる事ができる。



一方近くの場所では、

ガイルとフェレター。


奴の完全な居合態勢。

(“味方として”あいつの剣は何度も見てきた、“敵として”は初めてだ、こんな獰猛な感じなんだな……)


後数秒で、まともにくらったら死ぬ───

背中に突き刺す様なプレッシャーが何度も危険信号を訴えてくる。


(まぁでも……)

頭を狙った斬撃を一.五歩後ろに下がり寸前で回避、

頬に剣が掠るが一番ロスのない回避だ。


「流石に見慣れたぜ」


「!?(馬鹿な──)」

ガイルは先程のやり返しで、剣の先端を使いフェレターの肩を少し浅いが確実に斬った。


四人の剣士がここで悟る。

もし一瞬でも隙を見せたのなら………


      『即死』は免れない!!


重苦しく鋭い緊張が四人に走るのだった。






次回はコテコテな剣戟アクションです……胃がもたれるかも……と言う事でいつも通り12時20分に投稿しますね!!

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