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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・楽園編
92/111

第83話 絶対助ける

[現在のループ数:27]

見つからない。

全然見つからない。


もしかしたら少女は幻覚だったのだろうか、そう言う事なら合点がいく。


残念ながら、この缶バッジはどこまでも本物で確かに貰ったものだった。


(みんな………)

彼らをオリアーナから近づけさせない為にわざわざこんなやり方を貫いたと言うのにたった二七回のループでもう心が折れそうになっている。


「まだだ……必ず……探してみせる」

誰もいない所で、ケイはそう呟く。俺はどうなっても良いんだ。


[ループ数:35回]

南地区はもう全体的に回った。彼女が『知覚者』じゃない可能性について否定できる事を完全に忘れていたのだ。


ループは時間が戻ると言うのに、フレアやガイル、ハウやレノアはみんなバッチを携帯している。


次に持ち越されない筈なのに、こんな可能性の為だけに時間を無駄にしてしまった。


『知覚者』だろうがなんだろうが、出会う可能性は変わらない。


次は西地区だ。

[ループ数:52回]

半分は回ったか?正直な所ここらへんの土地勘は皆無に近く、フレア騎士団の居場所しか知らない。


全体的に効率良く回るのに中々苦戦した。

いつ俺は死ぬ?


[ループ数:57回]

とんでもないものを見た。


レノアの死体だ。

斬られた後がある、綺麗な太刀筋、これはフェレターか。


(何も感じないと思ったが、悲しい……かなしいよ……れのあ……さん)

涙が彼女の頬に当たり地面に伝った。それでも、時は戻る、死ぬ事はない。


[ループ数:58回]

空虚な心のまま、今日も街を回る。

街の中を元気に走り回る少年少女を見掛けると、俺が探しているのはこの人なのではないか。


という思いが押し寄せてくる。

間違えて話しかけて謝る…という事が頻発してしまった。



[ループ数:64回]

西地区はだいぶ回った。もうこれ以上何が起きるだろうか?


それでもまだ歩み続ける。


「あの!!」

「はい…?」


剣を持った女性に話しかけられる。

その女性は見覚えしかない。


「どこかで……会った事…ありますか?」

後ろにいる獣族の男が怪訝な顔をしてケイを見ている。会った事なんてないと言いたげだ。


「………ないと…思います」

もう彼女らとは旅をした事も何も……覚えていないのだと痛感させられた。


「え!?あれ……本当にないですか!?」


「おい…レノア…すまん。少し疲れているみたいだ」

獣族の男が金髪の女性の代わりに謝った後、遅れて彼女も謝罪。


謝罪はしたが心の底から納得した様子ではなく、どこかケイに向かって疑いの目は最後まで消える事がなかった。



[ループ回数:70回]

ララ達は今頃どうしているだろうか、自分に襲いかかる様子もない…


彼女もオリアーナに挑むと言っていたし、恐らく調べているのだろう。


だが、ゼロからやるのは手詰まりに近い。

裏社会の人間なら何かと伝手があるだろうが……一回一回のループでは時間的余裕もないだろう。


「……………………」

ふと水溜りに自分の顔が映った。希望を感じられない顔だと自分でもわかる。


何故ここまで頑張っているのか分からなくなった。

元の世界に帰る意味を見出せず、自分は人殺しだからと中途半端なまま今、こうして…いる。


レインを倒した事により、家族との記憶が元に戻った。それがなんなのかは………


自分より半端になっていく感覚が今のケイを生かしている……のかもしれない。


(俺は……助けるんだ…!!)

心にどんなヒビが入ってもこれだけは忘れていない。

作戦が上手くいけば、後はレノア達がやってくれるのだと。


そう信じているから!!

─────────────

[レノア視点:西地区]


私はリサちゃんとタクト君を助ける為にハウ君と一緒に今ここで仲間を探そうとしている。


それで…先程すれ違った人に変な事を言って恥ずかしい思いをしてしまった最中だった……


「レノア大丈夫か?」

ハウが心配そうにレノアを見つめる。ただ彼も先程の事が不可解だった様子だ。


(そう言えば私……どうしてここまで冒険しに来たんだっけ?)


学園で勉強して…立派な僧侶になる事が夢だったのに……今こうして不思議な剣を持って……


──── 俺さ…おれな…人をころしちゃってさ、心が重くて……


「…!?」


何かが頭の中に流れ込んできた。

男の人を抱き寄せて……人を殺した…?何が……


「…………なんだ…!?」

それはハウも同じ。ある男に信頼した目を向けて隣にいた……そんな相棒みたいな存在が……


───── 了解だ!!参謀!!


(こんな事……言ったか…?)

強大な敵に向かってそう叫んだのを覚えている。いや覚えていない。いや!覚えている…!?


不思議な頭痛に襲われたが、特に気にしなかった。

何が大切な事を忘れてしまった様な───そんな虚無感が二人を襲ったのだった。


──────────


[ループ回数:80回]


東地区に到着。ここら辺りもガイル騎士団辺りの居場所しか知らない為、騎士団周りを調べたら時間がかかるだろう。


ここから先も根性で回っていく。

レノアとすれ違って、見失いそうになった目的が再燃した様に感じた。


彼女達を英雄にするのだと。

忘れてはならないものを思い出したのだ。


勝負はこれから……!!


[ループ回数:113]

結果から言うとここもいなかった。

南地区にも東地区にも西地区にも、なんとなくだがもう行った所の地区にはいない気がする。


缶バッチを渡したのは恐らく、“強く正義感の強い人物”


重要なのは“強い”という部分だ。

『五傑』やケイ達。死線を潜り抜けた者達ばかりで実力はしっかりあるのだ。


そして、他の人物が缶バッジを身につけている所は見た事がない。


ここに来てまた一つ少女の法則を掴めた。

最後───北地区に全てを賭けてやる。


[ループ回数:135]

北地区を念入りに、一つ一つ溢さず見ていた中、ある少女を見つけた。


その少女は花を買って欲しそうだが、人々はそれを無視。酷いものだ。


この長いループの中で、彼女に対する怒りは不思議と全く湧かなかった。


むしろ………


「あの……お花……おはなを…かって…ください…銅貨一枚で……かまわないので…!」


一人一人を寂しそうに一瞥しているが、一瞬だけ人の実力や内面を見定める様な目をしたのを見逃さなかったケイ。


「お花、一輪くれる?」


「!!ありがとうござい……ます…?」

ケイの微笑みを見て少女はハッとした顔を見せる。

心の底から驚いた表情をしていた。


「俺の予想が正しければ…なんだけど、君……結界術について…なんか知ってるでしょ?」


知らなければ知らないでそれで良い。

こんな女の子が戦いに関わるなんて言うのは気が引ける。


ケイの発言に、少女は黙り出して…目を瞑った。

その言葉が───とても嬉しかったのだろう。


「はい……やっと……来てくれたんですね?()()()()()を止めてくれる人が」


「お姉ちゃん!?」

ループで置き去りにした感情が戻った…と言うよりも強制的に戻された感覚に陥ったケイだった。



展開早いよ!!という声もあると思います。

すみません(土下座)

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