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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・楽園編
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第80話 どちらが本物



「“お互い”に火が付いてきたね」

剣と剣。力任せなララの暴力的な斬撃を受け止め反撃。


ララと前戦った時は、“次なら瞬殺できる”なんて正直そう思っていたが………


しょうがない。

ララもこの──もしくは最後の戦いに備えて彼女も鍛えてきたのだろう。


「[燃焼・疾]」

風に流れる様に加速するララ。その姿はどこか流麗で美しささえも感じる。


だが。そんな加速でも───

「遅い」


ケイによって綺麗に防御される。

[燃焼]という技術においてこの世で最も詳しいのは、紛れもなくケイだ。


鍔迫り合いが起きる。

力と力のぶつかり……!!


「この金切り音がたまらないんだよね…!!」

生まれてこの方剣なんて握ってこなかったララがここまで成長し、こんなセリフを吐くまでになった。


その執念に近いものは……

(一体何が原動力なんだ?)


「グッ!?」

彼女の腹を蹴り飛ばし壁に激突、魔法は剣だけに纏うものではない。体の一部分に纏わせその部分だけ強化・加速ができる。



十秒。

崩れた物が落ちる音が暫く続いたがそれが落ち着くと恐らく静かになった。


(思ったより早く終わったな…ハウ達の所へ──)

すると首元に金属の何かが見える、この状況でそんなもの…決まっている。


「……ボクは悲しいよ!?忘れられて……ッさ!」

ケイはなんとか防御し再び鍔迫り合い。


「[燃焼・嵐]」

「ッ……!?」


ララの剣から凄い勢いで強風が出てくる。

ノーモーションで出される[嵐]。

レノアから詳細は聞いていたがあまりにも突然すぎた。


やり返し。

壁に激突し違う部屋までにぶっ飛ばされたケイ。


ハウ達がいるあのホールとは打って変わってここは狭い。技を出すメリットがそもそも薄いのだ。



「どんどん行こう!!」

立ち上がったケイにすかさず連撃。なんとか弾くも一撃一撃が徐々に重くなっている気がする……。



風を操る[燃焼]

しかし、ララ戦において一番厄介なのは……


「あらよっと!!」

剣を手放し、ここでまさかの刃先を殴った。

そこに風を纏ったおかげでスピードが増し───


「!?(速───!?)」

ブーメランの様に回転するララの剣。その速度は異様でケイの肩を大きく斬った。


ドクドクと血が流れる中、ララの最も恐ろしい物を考える。それは体術センス。飛び抜けた身体能力。


思うがままに自分の体を動かせるタイプ。

感覚で“これはこうだからこうなる”を理解しているのだ。


「チッ……」

面倒だ。


「まだまだ!」

投げた宝剣とは別にララは魔力で剣を作り、ケイに猛攻を仕掛ける。足、腕、胸と次々と斬られ気がつけば出血が増えていた。


「……………!!」

焦る中、ララも確実にケイを気絶させる為に体に風を纏いケイに迫る。


(討った───!!!)

剣が体に深く斬れると思った時、それよりも速くにケイの剣がララに深く迫っていた!!


ケイは武器耐久力の都合上、()()[燃焼]を込めるのをやめていたが、“死”が迫る直前。剣器が壊れない程度の雷コントロールに成功。


雷で身体能力の底上げに留まらず、剣速も上昇。

近すきず遠すきず、第二都市での戦いの様な『雷速』があと少しで見えるだろう。


「避けたか…!やるな」


(速い──!!あんな剣速。初めて……!!)

彼の雷か剣かどっちも同じくらい速くなっているのだ。もう簡単に間合いには近づく事が出来なくなった。


「(面白い…!!)[燃焼・疾]」

風を纏い臨戦態勢。剣にも風を纏う。

ケイもララも自身の魔力で作成した剣では[燃焼]の負担に耐えられずに一撃……打てるかどうかレベル。


勝負を付けたいと言うのだ。

「こい!![燃焼]」

ケイの剣にも雷が纏われる。もし爪や手甲剣が使えたら……こんなに苦労する事もなかったのだが。


「勝負だケイ!!」

お互いに剣を振り上げ、急接近。

速度は同等。威力は─────


ドォン!!という剣がぶつかったとは思えない音が鳴った。


近くにある小物達がその衝撃で飛び散り、衝撃波で壁にひびが出てくる。


「ッ……!!」

剣にヒビ。ララの表情に勝ち誇った笑み。

ボクの[燃焼]こそが本物だとそう強く確信。


「ボクの勝───なっ!?」

ララの剣には更に酷いヒビが入った。それを見て思わず弾いた。いや……()()()()()()()


二歩下がり剣を逆手に持ち防御態勢。

渾身の一撃を[嵐]でカウンターする!そう思っていた


ただ───


「[燃焼・斬]」

ケイが選んだ択は雷を飛ばし、ララの剣に激突。

そのまま……ララの胸を切り裂いた…!!


致命傷と呼ぶには浅い。

だが、確実なダメージにララは自分の行いを後悔する。


(あの時ボクは…勝負から逃げたのか?)

彼女が呆けている内にケイは胸に蹴りを入れ[燃焼]でハウ達がいるところに吹き飛ばした。


──────────

[数分前、ハウとガイル]


ケイがララとの戦いを選び、残ったハウとガイルは“裏切り者”フェレターとの戦いに臨む。


「味方で良いんだな!?」


「当然だ」

少し混乱気味のガイルを諭す様に返すハウ。

それを見て彼は安心した様だ。


「あいつの剣が完全納刀時…気をつけろ。その速度は……異様だからな」

低くそう呟いた彼は完全に剣を納めたフェレターの姿。


同期だからこそ知る圧倒的な剣術とその速度に………


「(………ここまでの威圧感、村で護衛をしていた時に出会ってきた敵より遥かに強い圧───)痺れるな」

そう思いながらも“左手”で背中に掛けた大剣を取ろうとする瞬間。


「!!」

左手が血と共に宙を舞っている。奴はもう納刀しようとしていた。


成程。斬られたのか。

「チッ…!」


すぐさま右手(利き手)で剣を握り、納刀を妨害しようとする。


予想通り奴は無理やり納刀する事はせず、中途半端な状態で抜刀しハウの剣を無力化していた。


「……想像の二十倍速かったな」


「だろ!?」

陽気に答えたガイル。どうやら彼も経験済みの様だ……


「ま、もし奴が完全に納刀したら俺に任せろ」

「慣れてるのか?」


「そりゃあな」

低くそう呟いたガイルは先程の呑気そうな目から、人殺し…『殺意』の異名に恥じない顔付きとなった。


その目から受け取れるのは“殺す”以外何者でもない。

(やっぱりお前のこの“圧”慣れる物ではないな…!)


フェレターもその圧は確かに受け取っている。

彼の剣がどんどん鋭くなっているからだ。


「ハウクン!!俺に合わせろ!!」

完全納刀を防ぐ為、立て続けに攻撃する二人。

そこで目についたのは彼の剣。


ガイルの剣[鬼]

彼の筋力やスピードを研究し、剣の全てを自分で作成した。


その剣の重量は、魔力を携えたムキムキ戦士三人組で数秒持てるかどうか。


(“重い”だろ?魔力をある程度上書きしなくても武器の重さが威力に繋がる!)

脳筋なガイルらしい豪快な戦いを見せる。


「…………チッ」

最も厄介なのはそれが力任せに行われているものではないという事。確実に相手の隙を突いてくるし此方の反撃もしっかり防御。


二人はライバルと呼ばれているのはその剣術が互角だらかだ。


(今最も厄介なのは無論こいつ(ガイル)だがこの獣族の野郎も中々だな)

ガイルの動きに合わせ攻撃を叩き込んでくる。見た目の筋肉量にそぐわず繊細か一太刀。


「仕方がない」

ため息を吐くとここで能力を……そんな時、近くの壁から爆音。


銀髪の女がフェレターの方へとぶっ飛ばされたのだ。

すかさず彼が彼女をキャッチすると、彼女の腹から酷い出血を確認した。


「………おい、何をやってる」


「アァァ…痛ァ…!…いや?ちょっと…判断ミスっちゃった」

もしあの時、防御の選択をしなければ展開はまた変わっていたかもしれないと反省したララ。


壁の奥から雷を纏いつつ登場したのはララを蹴り飛ばしたケイ。


ハウとガイル、ケイはほぼ無傷に近い。

まだまだ戦える。


重傷のララを抱えながらフェレターはどこまで戦えるだろうか。


舌打ち混じりに剣を鞘に入れようとした時……

「いや、もう作戦は失敗だな。リシャウ!!ボク達を守ってくれ」


一階の窓を破り、現れた女騎士。

鎧の奴でも槍の奴でもない!


「四人目の…ララの部下か!」

ケイの下へと駆け寄るリシャウと言う女。背中と腰に掛けてある剣。


背中にある短剣を選びケイへと斬りかかる。

それは単調で防ぐには苦労しないがどうやら……


「小手調べ。か?」

「あぁ」


ケイを強く弾き、ハウの下へと一回の力押しで吹き飛ばした。


ララの下へと駆け寄った彼女は心配そうに話すが、ララは「大丈夫大丈夫」と軽く返しケイ達を見据える。


「なんだあいつ!目ぇ細ッ!」


「そこじゃないでしょ!!」

ガイルはいつまでも能天気だ。

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