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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第八章 第三都市・楽園編
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第79.5話 助っ人二人。



ノクシアとレノアの戦いは終幕。

彼女の想いがノクシアの剣と意地を切り伏せた。


「フフフ……やっぱり勝てないか……」

ログロみたいにはいかないな、とノクシアは呟く。

彼女の想いが全て吐き出されたのかもしれない。


(『知覚者』を殺す方法だなんて嘘をついて無理やり戦った甲斐が……あった……ね)


地面に横たわり、ドクドクと流れる血を見て悟った。

(致命傷……ま、袈裟斬りなんて喰らえば当然か)


深い傷を見て死を感じる。

するとレノアがゆっくり彼女の下へと近づいてきた。


「レノア……あんたの言った通り……ワタシのしがらみも……悲しみも…全て斬られた。凄い…良い気分なんだ」


「………………」

こんな彼女にかける言葉がなかった。今のレノアが何を言っても侮辱になるとそう感じたのだ。


「だから……ワタシの残った魔力を……上げる。[転送]」

レノアの手を握る事で、彼女の残り少ない魔力がみるみる回復していく。


ノクシアの能力[転送]

自身の魔力を相手に[貸す][渡す]の二択。

[貸す]事で利息が生じる。期限を設け、破れば強制的に回収する仕組みだ。


[渡す]は文字通り全ての魔力を渡す事。そこに利息は存在しない。


今までノクシアが貯めていた魔力を全てレノアに預けたのだ。仮に生き残っても暫く戦えないだろう。


息も絶え絶えだが彼女は喋り続ける。

「お前……僧侶だろ?さっさと治してケイの下に行きな」


「ノクシアさんは?」


「ワタシは大丈夫……頑丈だからね……傷の治りは…誰よりも……速い…んだ……よ」

走馬灯の様にログロとブレイの三馬鹿で数多な場所を冒険したのを思い出した。


もしあの時逃げなければ………

(まぁ……いいか。死ぬ前に…こんな馬鹿どもと会えて………良かった……)


ゆっくりと目を閉じたノクシア。

最期まで“治療しない”という事で彼女に敬意を払えた……と思う。


さっきまでうるさく感じた風も、金属がぶつかる太刀音も全てが過去になった。


今は……静かだ……



レノアは貰った膨大な魔力を治療に使い、自身の腕と傷全てを治した。


(十五分くらいかかっちゃったな………ノクシアさん。必ず弔いはします…待ってて下さい…!)


そんな事を思っていたら奥のホールから爆発。

天井が崩れ、倒壊物だらになっていくのが見えた。


「嘘……ケイ君!!」

雷速で爆心地へと向かうレノア、その時何があったのか…?


──────────

[時はレノア達の戦いが始まる前まで戻る]


ケイとハウは、レノアに彼女との戦いを任せた。

本当だったら二体一で戦った方が良いだろうがそうするべきだと強く思ってしまった。


「ハウ!!戦闘準備だ!ララの部下は全員“剣豪”だ」

後何人部下がいるかは知らない、その一人であるディアンを殺したのは確認した。


分かっている部下は槍の男?女?と鎧を着た女騎士。

後もう一人くらいいてもおかしくはない。


そして裏切った『五傑』フェレターとログロの幼馴染ノクシア。


(まだララ達の全容は明らかじゃない。誰が来ても対応する…!!)


こうしてコンサートホールに着くと、騎士団の一員と思われる男達が斬られて死んでいた。


遺体からは綺麗な太刀筋が確認できる。

まぁもう誰が殺したか。なんて明白だ。


「フェレターか……!!」

わざわざ殴り込みをしに行ったのか。今ここでガイルさんまで殺されるのは不味い。とっとと向かおう。


最も広い部屋へと近づけば近づく程、剣戟による金切り……太刀音が強く鳴っているのを感じる。


そして、言い争っている声も聞こえた。

この壁に先にある事を察知。丁寧に回り込もうと思うほど二人は馬鹿じゃない。


「参謀、俺に合わせろ…!同時で壊す!!」

一、二の三で同時に同じ力で壁を破壊。そこから見えたのは、フェレター相手に互角な戦いを見せている“ガイル”の姿が。



「フェレター!!!なんで……何故裏切った!!」


「何度も言わせるな……俺は良い殺し合いがしたいんだよ」

呆れた口調で語るフェレターに怒り心頭のガイル。

戦いで生まれた隙を突こうとしているのを理解。


二人の剣がぶつかり鍔迫り合いをしている時にケイ達が乱入。


「誰!?」「チッ……ノクシアめ」

フェレターの剣を受け止め、その“重さ”を実感した。

もはや体の一部になっていると言われてもおかしくない。


「ッ……!!」

奴の脇腹をハウが蹴り飛ばし、距離を離した。


「気をつけろ参謀、こいつ……とても強い…!!」


「分かってる。“経験済み”だ」

こいつの太刀筋は速く鋭い、三体一で抑え込めるといいが……


そんな時、天井からガラスが割れる音が聞こえた。

上から誰かが降って……


「久しぶり!!ボクの事覚えてる?」

「ララ!!!」


三体二。ただララがいるだけでも状況は大きく変わる。


適材適所、今ここで優先するべきはガイルの命。

その為ケイは、


「ハウ、そいつを頼むぞ」

「了解だ!!」


ケイはララの方へと斬りかかり、奥の部屋へと蹴り飛ばした。これで状況は一対一と二体一。


わざわざララが来た理由は………?

「いい加減手が尽きたか?ララ」


「まぁね」

あっさり認めた彼女に少しだけ驚きつつもケイは平常を保とうとする。


「…………お前に提案が──」

「手は組まないよ」

ケイの言いたい事などお見通し、と言わんばかりに彼女はケイの言葉を覆った。


まぁ此方としてもララみたいな奴とは手を組むなんて嫌、という気持ちもあるし丁度いい。


「ボクと君、お互いにオリアーナを狙う狼」


「?お前はオリアーナ側の人間じゃなかったのか?」

状況が変わったんだよと返し、彼女は続ける。


「けど、ボクとしても君……ケイを叩き潰したいという思いがあるんだよね」


「…………俺もお前達に“勝ってから”次に進みたいと思っていた」

お互いに次の策はない。


『知覚者』が多いララ陣営のメリットは、

次のループに進む際の“記憶の保持”が非常に強い。ただ、死んだら終わり。


『知覚者』が少ないケイにとって記憶の保持はない。

その代わり、ケイ以外の人物が死んでも次のループで蘇られる。


言葉を必要しない連携が強いケイ達にとってはあまり前者のメリットは強く機能しない。


しかも国の最高戦力『五傑』は必ずケイの味方をするだろう。正義の味方として。


この盤面、今最も追い詰められているのは……ララで違いないのだ。


(此方の戦力を徐々に削られる事が今の状況で一番不味い。かと言ってルールを破れば……死ぬのはボク)


(“ルールを破る為”にどうすれば良いか分からない。ただ……今この瞬間状況が良い方へ傾きつつある)

ルールの範囲内で戦う為にはどうしても即死以下致命傷以上を求められる。


相手を倒すにはさっさとケイ(知覚者)以外の人物が倒すしかない。


そんな事ができたら。の話だが。

「ま、ボクとしてもケイとやりたかったし……始めようか!?」


「そう言えば、俺の──うちの…!レノアさんに手を出したよな?倍にして返してやる」


雷と風。

特殊な魔法を二人は纏い、呟く───


「[燃焼・疾]」

「[燃焼]」


ほぼ同じタイミングで二人の剣がぶつかる。

[疾]による加速と[雷]による加速。


どちらが強いか、ここで決まるかもしれない。

(重い……これが“本物の”[燃焼]!!)

(剣術が前より上がっている……ララも鍛えてきた訳か)


万全な『五傑』同士の戦いと、[燃焼]を極めた者と[燃焼]に“憧れた”者の戦いの火蓋が切って落とされる。


明日間に合わなかったら……すみません!!

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