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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第七章 タクト編
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第69話 冒険再開

三人はリーバにてリサとタクト救出の為、世話になった村を出ようとしていた所。


「本当にあなた方のお陰で若いもん達も帰ってきて…」

村長である老婆は何度も何度も深く頭を下げて感謝を伝えていた。


「あ、後これはお返します」


「宝剣……あなたが使った方が……」

ケイに返そうとしていたが彼はそれを拒否。


「大切なもの…ですよね?」

老婆を目を見開く、一番最初の頃に老婆がボスの子分達と話していたころ宝剣の話をしていた。


その話には「宝剣を差し上げた」という話もあったしその時の老婆の顔はとても悔しそうだったのだ。


「主人の……形見なので」

ぎゅっと剣を抱いた老婆の表情を見てこうするのが正解だった思う。


すると奥から……誰か走ってきた。

「あの……ハウさん!」

娘のマリはハウに惚れていたのをケイは思い出した、口説ききれなかったのは見てわかる。


「また会おう、そして今度こそお前の思いを聞かせてもらうぞ」

優しく微笑んだハウにマリの顔は真っ赤となった。


「はい!!一人前の花嫁になれるよう頑張ります!」


「え?花嫁?」


そんな事がありながらも、村の人達に見守られてケイ達を手を振りながら森の奥へと消えた。


パーティは四人から三人。

一人減っただけでここまで変わるのだとどこかしみじみとしたケイ達。


「リサって……めっちゃお喋りだったんだな」

ハウの呟きに二人が頷く。パーティの『陽』そのものだったのかもしれない。


このまま真っ直ぐに進めば船着場に着く。

数十キロ…掛かるが。


道中魔物に襲われたらレノアさんを前線に出すことにした。


ここら辺りはあまり魔物は出ないとの事だから仮に出ても大したものは……


「グルルルルル!!!!」

出た。


ウルフの群れだ。数は数十体。

冒険途中大した魔物が出ないから忘れていたが……まさかここまでの数だとは。


と言うかあんなに群れる事があるのか?


「やるか!?参謀!」


「こいつら放っといたら村に影響出そうだしさっさと倒すぞ!」

どのみち強くなる必要があるんだ、こいつらくらい簡単に倒してみせる。


「レノアさんは待───いや……行くぞ!!」


「うん!!」

剣を抜き、三人は応戦。


ハウの大剣を用いた雄々しい攻撃で狼達を一掃。

ケイはスピーディーな剣捌きで狼の反撃を許さない。


何匹かレノアに向かい、彼女は剣を振るう。

が、あまり斬れずに腕を噛まれた。


「ッ……アァァ…!!」


「レノアさん!!」

魔力で作った剣を持つ以上、ケイは[燃焼]による加速はできるが威力の増幅はできない。


今まともに燃焼を使えるのはレノアのみ。

なんとか腕を噛みちぎられずに口から離し、残った五匹の狼がレノアを襲う。


レノアは突然、ある“出来事″を思い出した。


───()()?燃焼の雷を?


時間としてはレノア治療中の時。ケイとレノアは二人きりでドライヴよ技を振り返っていたのだ。


───あぁ。俺が見たのは二回。[燃焼・放]と奴は呼んでいた


───[放]?


───燃焼で纏った雷魔法を全部外に放つイメージ…だと思う。


奴のセンスはピカイチ。奴が出来ると思ったら出来ると思うし、出来ないと思ったら出来ない。


───でもそんな事したら、雷魔法を一身に受けちゃうんじゃ?もしかして自爆技?


───それが驚くことに奴は燃焼の雷を奴は完璧に無効化していた。


レノアはそれを聞いて驚く。

相手だけに雷を与えるなんてどんな神技だ…と思ったが種を明かせばシンプルだったらする。


───奴は雷魔法の性質を自身の魔力性質を合わせた…か、雷の威力を上回る魔力で自身を守ったか。


ケイはそのまま続ける。彼の中では答えは出ていた。


───恐らく前者だ。魔力性質という超曖昧なルールをカミリーズ(第二都市)の中で奴は完璧に理解していた。


ドライヴの卓越した魔力コントロール。レノアやリサも負けてはいないが、剣+自分の体+魔法という三つの厄介な工程が加わるとどうだろう。


かなり複雑になると言うのにそれを二回連続でケイに放った奴は化け物だ。


その話をレノアは思い出した。

自分にこれが出来るかどうかは分からない。


ただやってみる価値はある。

レノアの[燃焼]は火力不足。それを補う技があるに越したことはない。


(一か八か!!)

今にも頭を噛もうとしてくるウルフ達を一瞥し、剣を地面に突き刺す。


「[燃焼・放]」

『天才』レノア・マフォード。僧侶一家であるマフォード家の四姉妹の中で一番の感覚派。


その才は人を癒すだけに留まらず、敵を殺す事にも長けていた。


「!!ハウ!下がれ!!」

「了解だ!」


放による大規模放電をなんとか躱した二人。

雷が消えたころにはウルフ達は黒焦げになっていた。


「………ふぅ………できた……」

力を使い果たし地面に倒れようとしていた時───


「おっと!!」

地面とレノアの間にスライディング。ギリギリ間に合った。


まさか言葉だけで実行し成功するとは……度肝を抜かれたケイは驚きで声が出ない。


(剣を握って数日。ここまで上達するとは……これで剣術も覚えたら怪物になるな……)

少しだけ悔しくなったケイ。だが、力を使い果たし嬉しそうに眠る彼女を見てそんな気持ちはなくなった。


「運ばなきゃな」

彼女の回復を待つほどの時間はない。前衛はハウに任せて彼女を抱え船着場へと向かった。


かなりのハイペースで向かった事により、目的地までもう少し。


道中魔物に追われたり、レノアさんがまだ戦えると言い張って戦おうとしたら更に悪化したりと色々あった。


「レノア…自分大事に……な」

「はい……」

呆れ気味にハウは呟くと深く反省したレノアが頷く。

彼女がぶっ倒れた時ハウが助けに行かなければ更に悪化していただろう。


「ま、剣握って数日でそれなら全然問題ない」

もう戦力として数えられるだろうし、ケイはあまり心配していなかった。正直な気持ちとしては後ろで守っていたかったという思いがケイの本心だ。


「でも……まだ…足りない」

ケイに抱えられ全然動けない状態になっているのが現実、それはリーバに着いてから鍛えれば問題はないだろう。


「………これからだ」

何もリーバに入った瞬間接敵…はないと願いたい、時間が許す内に三人一緒に鍛錬すればいい話。


数時間後、レノアも動ける様になり早足で進む。

すると長い森を抜け、ケイ達の目には広大な青い海が見えた。


この世界に来てから海らしい海は見てこなかった為ケイは懐かしい気持ちになる。


もしかして次記憶が戻ったら友達と海にいった記憶もあるかもな…と。


「さて、俺達が乗る船は……これか」

巨大な船。ちゃんと帆船で揺れが酷そうだ。


「みんな船酔いするタイプ?」

一応ケイが聞くと


「私は大丈夫!」

むしろ楽しみそうな顔をして彼女の目はキラキラしていた。


「………………」

ハウが青ざめた表情をして返事をしない。

まさか………


「なぁ、参謀」


「?なんだ?」


「俺だけ泳ぐのは……ナシか?」

「なしだよ」「なしでしょ!」


ハウは船酔いが酷い。

獣族で護衛を行なっていた時、船に乗ったことがある。


その時ハウはまさかのダウン。

ただ護衛としての責務を放り投げる為にはいかないので根性でやり遂げたらしい。


彼は重い足をゆっくり上げ、船へと乗る。

「俺が倒れたら……頼む……」と遺言を残して───








タクト編:完

次章 第八章 第三都市・永劫編

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