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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第七章 タクト編
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第68話 お姉ちゃん。

「トドメくらい待ってくれても良いんじゃないの?」

待ち合わせ場所へと向かったララは不機嫌そのものだ。レノアと決着を着けたかったと文句の一つ言いたくなったが堪える。


『彼女』ことオリアーナはかなりの上機嫌で鼻歌を歌っていた。


そんな様子に腹を立てたララだがなんとか抑え言葉を紡ぎ出す。


「ボクがわざわざ君の『やる事』に付き合ってるんだ。何故か教えてくれても──」

「妹の友人を殺したいと思う程私は薄情じゃない」


ララの言葉を覆い尽くす様に語った彼女は人の話を止めたにも関わらず話を続ける。


「君には感謝している。彼らの実力を測れたのは大きい」


「本当にあんたはリーバにケイ達が来ると思ってる訳?」

彼女は不敵な笑みを浮かべた。当然だろと言いたげな表情にこれ以上追求するのはやめた。


「じゃあもしついたら、ケイとやって良い?あの僧侶も悪くなかったけどボクとしては…ね?」

強く彼女を睨むがあまり気にしていない様子に尚更腹が立つ。どれほど人の事を舐めているんだ。


「………あなたは『永劫』を経験したいの?」


「………チッ」

聞こえない様に舌打ちをした後、笑顔でララは答える。


「それは困るな、はぁ……待機時間か」


「それにあなたはケイには勝てないよ。少なくとも…今はね」


「………そう?んじゃ頑張るわ。ボクもカミサマのお告げには従わないとね」

少々の皮肉を込めつつ、ララは一足先にリーバへと向かう。


ケイ達が道中で出くわす可能性は無くなったが、リーバで戦う事が確定した。


「妹…そろそろ行こう」

オリアーナは夕日を眺めながらとても嬉しそうに呟く。瞬間移動でリーバへと彼女も向かった。


─────


オリアーナ、ララに惨敗したケイ達。

パーティ、実力不足が今回の決定打となったのは間違いない。


これからパーティを増やそうと思うほどの時間はない、すぐさまリーバへと向かいリサ達を救出すべきだ。


ケイの目は覚めたがレノアの目が一向に覚めない。

心配そうなケイだったが、彼女の事だから大丈夫だと安心させるハウの二人。


彼女が目を覚ますまでに……丸三日かかった…。


「ん……うんん……」


「!!レノアさん!!」

彼女は重たそうに瞼を開けると視界一杯にケイが映る。


「わっ!ケイ君とハウ君…!!」

少し照れた表情を見せつつもレノアは二人の心配をした。


なにせ一回死んだものが目と鼻の先にいるのだから。

何か違和感を感じたレノアはケイの胸をペタペタと触る。


「あれ?なんか胸…というか臓器?に魔力が……」

誰かに治された跡の様なものある…?


「あぁ……それは……」

一度殺された事、タクトとリサが連れて行かれた事、

リサがオリアーナの妹かもしれない事を端的に説明した。


「死……!?ケイ君一回死んじゃったの!?」

びっくり仰天!!顔に出ている。


レノアが治癒魔法の応用でオリアーナに何か細工されたかもしれないから調べてみるが特に何もなかった。


(神レベルなら私なんかじゃ気づかない可能性はあるけど、本当に心臓から魔力を感じるから凄い不安になる……)


心臓を治すには膨大な魔力消費が求められる。

自動で魔力回復をする武器を作れるくらいだ、神の魔力というのはやはり異質だった。


「取り敢えず、次の目標が決まった」

リーバへと行く。元々行くつもりだったが、前とは意志が違う。


リサとタクト、両方救ってみせる。

残念だが温泉に寄るのは断念した。


レノアの頼みで、彼女はボロボロのまま作戦会議に参加。ハウとケイの三人でリーバへの道のり会議だ。



温泉はみんな帰ってきてから行こうと三人はそう決めた。


温泉ルートはまんべんなく探す為に超遠回りだったが直進するには何十キロも短縮できる。


カミリーズからここに至るまでだいたい三十キロくらい。


そうしてここからリーバへと向かうには四十キロくらいだ、温泉ルートを進むとかなり時間がかかってしまう。


「船必須だから、実際は船着場までなら二十キロくらいだな。ハウ…船酔いするなよ?」


「安心しろ。俺は強い」

歩かなくて済むならそれで良い、時間はできる限り短縮したい。


道のりはだいたい決まった。

次は第三都市に着いてからの行動だが、好きに暴れるにはあまりにも……


「広いな!!リーバ!!」

画家が書いたリーバの全体像の村の人に持ってきてもらい確認すると驚きに包まれる。


上から見ると四つの都市に囲まれていてかなり広い。

城塞都市と呼ばれる理由は島国である事と……


ハウがぽつんと呟いた。


「騎士団…か」

広い街を護る為に『五人』の優秀な騎士達が各々軍を持ち、街を護っているのだ。


彼らにオリアーナの危険性を示せるならもしかして協力を頼めるかもしれない。


「てことはもし!その人達に協力をお願いできたら実質国を味方にできたと同じ…って事だよね!!」

レノアが嬉しそうにそう話すと、ここで一つ疑念が湧いた。


「まぁ必ず直面する問題だ、今話してしまおう。オリアーナが国のトップにいた場合の話だ」

重く呟いたケイに二人も同じことを考えていたのか真剣な表情になる。


「レインの様に実質的な政権の掌握を可能としていた場合。俺たちは国が味方どころか敵に回る可能性だってある」

それが最悪の可能性だ、少なくともこうなってしまった場合は英雄の名声などはゴミ同然。


あれこれ対策を考えたがそうなったらそこまでの話。

もしそうなったらその時考えよう。


そうならないことを心から祈るケイ達だった。


[同時刻]

別の場所でリサとタクトはオリアーナへ捕らえられ、おそらく彼女の家である所で目を覚めた。


「ここは……」

広い部屋でふかふかのベッド。ピンク一色の部屋には大量のクマさんなどの動物人形が置いてあるこの部屋はどこか“女の子の部屋″そのものだ。


リサも幼少期にはこういうファンシーな部屋に憧れたが今はどこか男勝りの脳筋。彼女の知る理想の女の子像とは遠くかけ離れている。


(もしかして彼女の部屋!?あんなに強いのにこんなにピンクな部屋で寝てるの!?)

場違いな考え……案外そうでもないが、今考えるべきはそこじゃない。


「……………私は」

負けた。もしかしてケイ達も近くに連れて行かれたかもしれないと考え、ベッドから出ようと思ったが……


「!?出れない!」

いつからそうだったかは分からないが魔力も感じられない。極め付けにはベッドから出れない。


すると近くから足音。まさかと青ざめたリサの予想が見事的中。


「起きた?おはよう♪」

嬉しさからか語尾が上がり、テンションが高い。

戦闘モードと家族モードでここまで切り替えるものなのか!?


「私は……私は…!!アンタの妹じゃない!」

できる限り強く、殺意を以って彼女を見つめるが、どうやらあまり意味はないようだ。


嬉しそうにリサを暖かく見つめるオリアーナ。その様子を見て悪神と判断できる材料は一切ない。


「…………!!全く!いつからそんなイタズラ好きになったのか!」


(まただ……)

頭の中に直接ノイズが走る感覚。戦いの時はあまり気にはならなかったが今この状況だと思考が掻き消される様な感覚に陥る。


「やっと会えたんだから私も気合い入れて……ほら見てこのパジャマ!!私の髪に似合う白!」


「…………ッ……グッ………」

もはや頭に、『私はオリアーナの妹だ』と強く認めたくなりそうになってしまう。意識を強く保つ必要が…


「あ、そうだ…………。明日朝ご飯何食べたい?お姉ちゃんが腕によりをかけて色々作ってあげる!!」

リサの頭を優しく母親の様に撫でる。不味い…本当に思考が………


「ぎゅー!!」


「………なっ…!」

いちいち名前を呼んでから行動するせいでリサの理性はどんどん脆くなっていく。


「私ね、本当に…………のお姉ちゃんになれて…本当に良かった…だって…こんなに可愛い妹がいるんだもの!」

優しく子供を寝かせる様な優しい手つきに理性はもうボロボロだった。ノイズによる思考の掻き消し、これさえも神の力と言うのか。


(ごめん……みんな……私……は…もう……!)


「愛してる、大好きよ」

リサは暫く黙った後、口を開く。






「うん…私も大好きだよ。()()()()()





彼女の微笑みに負けないくらいに可愛く微笑む。

愛の勝利だ。






          愛ってなんすか?(賢者モード)

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