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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第六章 第二都市編
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第59話 次の街へ

進んでる様に見えて全然進んで無かったので今進みます。

ケイはレノアとのやり取りを得てまた一つ余裕が出来た。


そうだ、ここで立ち止まっている場合ではないのだから。


「レノアさん、一階まで運んでくれない?体が…全然動かなくて……」

しょぼんとした表情でケイはレノアに頼む。

あまりにも情けない。


それに少し可愛さを見出したレノアはケイをひょいっと持ち上げ一階へと運んでいった。


(本当だったら()がかっこよく決めたかった…)

完全にお姫様抱っこされているこの状況。恥ずかしさがどっと押し寄せる。


どこか上機嫌のレノアに不服な顔を見せるケイだが今の彼女には何を言ってもこの姿勢から変えてくれる事はないだろう。


階段を一段降りる事にスープやバターの匂いが強くなる感じがする。


「リサちゃんとログロさん、あんなに料理できるなんて知らなかったよ!」

レノア鼻歌を歌いながら部屋に入る。

驚くことにみんな座ってケイ達を待っていたのだ。


「遅れてすみません」

ケイの微笑みにみんながほっとした様な顔をする。


彼はこの街で何度も心を乱され続けていたのにまだ前を向こうとするケイにログロは少なからず感動していた


「ケイ。本当に……俺のせいで…」

謝ろうとするログロをケイが制止。


「それがなかったら俺は強くなれませんでした。それに……人は救えたので」

ブレイの方を向きそう答えると、ふっとブレイが笑う。


「お話は食べながらでもいいでしょ!?冷めちゃうよ!」

リサが急かすと各々が食べ始めた。


この一週間で街の復興は順調らしい。

この国の中枢を担う政治家達は全員…とまではいかないが無事。


政治は特に問題なく機能している。

大きいのは働き手である住民達の犠牲をゼロに出来たこと、壊された城や家々は続々と回復。


「それは良かったですね」

ログロの状況報告にケイは安心した。ドライヴやカイザル、アドラスなどは街で暴れた。


失ったものを直ぐに取り返せたのなら、本当に良かったと思う。


ある程度食事は終わりに近づく時、再びログロが口を開く。


「で、ここからが問題なんだが……」

あ〜と面倒くさそうにログロは話を続ける。


「俺達はパーティを抜ける」

そう重々しく告げたログロ。

ブレイが天を仰ぐ、余程面倒なのだろうとケイ達はある程度察した。


「ストライドとロズを故郷へと届け、今まで起こったことをギルドに報告する。ある程度の情報は出回っていると思うがな……」

ギルドに戻るのが億劫なのだろう。かなり面倒くさそうにしている。


食事中にブレイがログロに向かって、本当に帰るの?え?マジで?と何度も確認していた。


「お前らはどこに向かうんだ?もしかして…」

ログロかそう言う前にザルツが突然席から立ち上る。


「すみません、ここで話しておくべきかと思って!ログロさん良いですか?」


驚いた表情のままログロはああと答えた。

ザルツは申し訳ない表情をしながらも話し始める。


「僕も、『一旦』このパーティを抜ける」

ログロと同じ…もしくはそれ以上の重い空気…にならと思ったがみんな冷静だったのだ。


ただ一人を除いて。

「え…?なんで…?」

弱々しく告げたケイ、その様子を見てもザルツの意志は変わらない。


「ケイ。最後まで聞いて欲しい、僕はネオニィシティにある武器を預けたんだ。それをとりに行く」

心配そうな目で見つめるケイにザルツは続ける。


「だからねケイ。僕達は本当に一旦別れる。だけどまた会えるから、絶対」

仕事に行く親を止める子供の様なケイの様子に微笑みながらザルツは答えた。


少し寂しそうにしたケイだが、そう言うことならと安心した様子に戻ったと思う。


「ま、実のところみんなには言ったんだかけどね」


「え?」


「買い出し前に堂々と。みんなに抜ける旨を説明したら、驚くことにみんな冷静な様子だった」

それにザルツは悲しさを覚えたがそれで良かったと思っている。


「そんな事より、ザルツ先輩買い出しに行こうとしたら女の子達に囲まれたんだよ〜それに逃げ出すのに時間をかけて結局何も買えずにおわってさ〜」


「すみませんでしたぁ!!」

当時の出来事を思い出し、リサの愚痴に真摯に謝罪したザルツ。


その様子で部屋が笑いに包まれた。


こうして楽しい食事は終わり、夜の星空を一人で眺めていたケイ。


星に詳しい訳ではない。

だが、時間を忘れて星を見る事がこれ程落ち着くものだとは思わなかった。


「明日から忙しくなるな」

ログロとブレイを含めた作戦会議が明日開かれる、次の街、近くにある村などの確認。


ストライドやログロなどの頼れるリーダーはもういない。最初みたいにルートや気象なども自分達で調べなくてはならない。


「あ、ケイ。まだ起きてたんだ」

後ろから話しかけてきたのはリサ。彼女にも迷惑をかけた…と言うか全員に迷惑をかけた。


「どうした?」


「レノアちゃんと女子会してたの、レノアちゃんもう眠っちゃったからこうして夜空を眺めようとして」

彼女との話は楽しかったのだろう。どこか名残惜しさもあった。


「ザルツ先輩が抜けるって言った時のケイ。レノアちゃんと話して命名したんだ!選択肢として……

ヤンデレケイ。

激重ケイ。

子犬ケイから悩んで、子犬ケイに決定しました〜!!」

煽る様に拍手をしたリサ。その様子にムッとしケイは宿に戻ろうとする。


「重くて…悪かったな…」

ザルツの時の様に弱々しく返したケイ。そんな所を見せれば追撃は避けられまい。


「いや〜?可愛いと思うけど?」

ここでリサは禁断の切り札を使う。


「レノアちゃんにさ……『一緒にいて欲しい』って言ったんでしょ…?キャ〜!!愛い奴〜!!」

みるみる赤くなるケイを肘で突きながら彼を揶揄う。

恥ずかしさが頂点に経ったしたのか、勢い良く立ち上がり部屋へと戻ろうとする。


「なーによ!仲間をそんな大切にしてくれるなんて私感動だけど〜?」


「うるさい!」

喧嘩しながらも二人は宿に戻った。


[翌日…]


どこへ行くかの作戦会議が始まった。神の四天王との接敵が記憶回収の為重要だ。


一体何故記憶が戻るのかは不明だが、今はいい。

奴らを追う事が元の世界へ戻れる為のカギになるとなんとなく信じている。


「ケイ、次は何処に行くの?」

昨日のテンションは何処へいったのやら、リサがそう聞くとケイは深く悩む。


この世界には街が沢山ある。

が、所謂大都市と呼ばれるものは四つ。


一つはネオニィシティ。

神の四天王ノアと戦った。


二つはカミリーズ。

現在地であり、神の四天王レインと戦った。


三つはリーバ。

海の都とも呼ばれ、地図上では海を越えた先に島がありそこには城塞都市。


四つはヴィーダー。

なんとそこには(噂な範囲だが)最強の『剣聖』がいるらしい。


地図のおおよその中心にセイト学園。

北がネオニィシティ。南がカミリーズ。

北西がリーバ。東にヴィーダーと分かりやすい街の場所は分かりやすくなっている。


リーバかヴィーダーか。

この二つのどちらかが第三都市となり第四都市となるが……


「う〜む。どちらにすべきか……」

そろそろ十二月、冬だ。あまり海は行きたくない。

そして場所で言うとヴィーダーの方が近い。


「みんなどう?」

ケイはリサとハウ、レノアに聞く。ケイの判断に準ずるつもりだった為慌てて考え出し始める。


「私は、リーバがいいなかな!」

リサが元気に言う。


「海…見たいでしょ!?」

「次ハウ」

「最後まで聞け!!」


ハウは暫く考えて……考えて…答えを出す。

「俺もリーバだな。そこまでの道のりに温泉が沢山あるらしいぞ」


「温泉!!?」

リサとレノアが目を輝かせる。

ハウとブレイはやれやれと言った様子だ。


「どうやら……そこが良さそうだな」

苦笑いしながらケイが答える。どうやら異論は無さそうだ。


「リーバに行くなら俺の[転移]は使えないな、行った事ないし」

道のりを(だいたい)計算した所……百キロくらいとなった。


ケイは狼狽える。

「ログロさん!ネオニィシティからここまでおおよそ…?」


「おおよそ四十キロ」

+六十キロ……長い道のりになりそうだ。


「あの時のお前らはヒヨッコもいい所だったし、今のお前らじゃ百キロも大した苦難じゃないだろ?」

安心させる様にブレイは皆を鼓舞。全員強くなった。

それは間違いない。


「それじゃあ、次の目的地は……第三都市リーバだ!」

高らかに宣言しリサ達が頷いた。この長い道のりも悪くないと思う。


道中の村や街、魔物の特色などを徹底して調べる。

ここを怠るとベテランで余裕で死ぬ。


[またまた翌日…]

ログロとブレイ、そしてザルツの三人は馬車を雇い荷物を乗せ、同じく出発の準備をしているケイ達を見据える。


「ケイ!!リサ!!レノア!!ハウ!!世話になった。ありがとう!!」

そう言ったログロと手を凄い速度で振るブレイ。

初めて会った時な昨日の様に思い出せる。


「『また』会うぞ!」

「はい!」

ザルツはケイの肩を叩き、微笑む。ケイは強く頷き別々の道を進む。


次の目的地リーバ。歩いて歩いて…更には海を越えて行き着く先には何があるのだろうか……


ケイ・タケダの記憶を取り戻す旅はまだ、続く。

今のケイの精神状態をちょ〜簡単に言うと…

       ヤンデレ彼女。

以上!

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