第57.5話 被害状況。
[時間帯はレノアがブレイを治療中の時]
ログロはレノアの治療を断り、ある場所へと向かっていた。
行きたくても行けなかったが、今なら行ける。
戦友と弟子の遺体をそのままにしてしまった為、今この時に回収しに行く。
裏社会の地下は荒唐無稽だ。
大量の死体と血が散乱しているこの状況。
今は地下一階の一番人が少ないフロアだが、下に行けば行くほど凄惨な現場が見れるだろう。
(ロズとロズの部下達、ケイ、そしてストライドが地下で暴れていたと報告は受けた。やっぱり一番酷いのはここか)
ロズやストライドの様な任務によって人を大量に殺す任務の時は一人残らず火葬する様にしていた。
少し焦げ臭いがここに残っていると言う事は、クズ達の遺体は残っていないな。
(あいつは徹底しているからな)
まだ俺が若かった頃。
未熟なロズが剣を持ってこう言った。
───もし私が勝ったら弟子にしてくれ!!
───いや勝てるならいいだろ!
そうブレイがつっこんだ後、ログロとロズの剣戟による勝負が始まりログロの圧勝。
ついでにブレイにも拳と拳で戦いブレイが圧勝という結果になった。
その後は自分も師匠として何が足りないか、何が優れていくかを考えつつロズに様々な事を伝授した。
この街の裏社会に放り込んで、つい最近まで生きていたと思うと、不思議な気持ちだ。
「こんなにも……命とはあっけないものだな……」
そこにあったのは、胴体を切断されたストライドと首しかないロズ。
ストライドは死ぬ前に血文字で、
──かみなり、はなつ、まとわない。
と注意書きをして亡くなった…と思う。
最後までストライドのプロ精神は学べるところが多く、若手ながら尊敬している。
「お前らの仇は……ケイが討ってくれたぞ…」
だが、余計なモンを背負わせてしまった。
今のケイの心はどうなっているのだろうか。
「俺の判断ミスがここまで影響を及ぼしちまったよ……なぁ…二人とも」
もう少し、もう少しだけで良いから話したかった。
「本当にすまなかった。お前の体はちゃんと故郷で眠らせてやる、安心しろ」
ロズの首。ストライドの胴体。
どちらも元戻りに縫い合わせ、遺体をそのまま運んだ。
この行為が何故だか分からないが、贖罪になる気がして………
こうして、神の四天王レインとその息子達が起こした時間は幕を閉じた。
そこには大き過ぎる犠牲と、ケイの心に深刻なダメージを与えた。
────[あるギルド職員が書いたある資料]───
たった一日で起きた壮絶な戦い。
カミリーズの国王は別の街へ外交に行っていた為生存。
住民の死者はゼロ。
その後何人かに取り調べをすると『長い夢を見ていたかのよう』と同じ事を話していた。
この街の闇、地下裏社会には大量の遺体があった。
雷の様な物で切断された者や、銃殺された者、魔法で潰された者達の死体で溢れかえっていた。
なお、近くに地下に閉じ込められ奴隷の様な扱いを受けていたもの達を保護。
全員口を開くと、あの人は、あの人は…と呟いていた。誰の事なのかは不明。
冒険者ギルドによって派遣された二十五名の冒険者は四天王レインによる非道な実験で死亡。
中には身元の確認が出来ないほど顔や体が歪んでしまったものも含まれていた。
ログロの一味であるストライド・マーサナリーとロズ・シルバーも死亡を確認。
二人が受注していたドラゴン討伐任務は代替者を探しているが難航中。
その後カミリーズ国王は、
ケイ・タケダ
リサ・セイト
ザルツ・シッヴァカーネ
ハウ・ゲレーロ
ログロ・スロッグ
ブレイ・カラムを街を救った英雄と褒め称えたが、授与式はリーダーの一存により不参加とした。
この戦いにより、『神の四天王』という存在を一切の躊躇いなく世間へ公表。
倒すべく危険人物として世界へと発信する事をカミリーズ国王がログロとの間に締結した。
英雄達の容態は比較的安定。
マフォード家の天才僧侶によって治療する分には問題ないのだろう。
英雄の一人ケイ・タケダの容態だけは世間に公表されず彼の無事を祈る声が大きい。
大規模なこの事件は、いずれ世界に問い出される事は間違いない。
隣国のネオニィシティの国王、アルテミアはこの事に追求しない意志を貫いているのだそう。
たった数人の魔法使いと戦士が世界を巻き込んだのだ、『魔力』というエネルギーの恐ろしさは今一度再確認するべきなのかもしれない。
カミリーズ国王という名前が出てきましたが、そりゃあ国王いるよな〜くらいで良いです。




