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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第六章 第二都市編
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第52話 ベテランタッグ。

(さ〜てどう倒す?正直厳しいとかの次元じゃないけど)

この複製。膂力も反応速度も二人が戦ってきた中でトップクラスなのだ。


前に戦ったゴーレム然り、パワーとスピードの両立というのは厄介この上ない。


「ブレイ。あまり難しく考えるなよ、俺の[残刀]があれば肉体を切断できる」


「…!!全く…戦士っつーのはどうしてこうも脳筋なんだか!」

苦笑いをしたブレイを横目に、此方へと向かってくる複製。雄叫びを上げながら拳を振り上げてる。


「ログロ」


「ん?」


「乗り越えるぞ」


「無論だ」

振り下ろされる拳をブレイは転移で避け、ログロがその隙を斬りかかる。


不快な程の甲高い金属音が響いた。

ログロが全力で魔力を込めた剣での切断は不可能。


(くそ……鍛錬不足か)

それほど奴の肌は強固なのだろう。元々そう言う肌…と言う訳ではなさそうだ。


「隙ありぃ!」

ガラ空きとなった脇腹を全力で殴ると硬さで弾かれると思ったブレイ。


予想に反して遥かに柔らかく良い一撃が入った。

が、再び複製はブレイの方へとギロっと視線を回す。


「ゥゥゥゥ…!!」

折り紙付きの反応速度。『一度喰らったものを無効にする』と言われても納得してしまう程の…速度。

理由は全く分からない。


(不味い…ブレイが!!)

剣で突き技を試みるログロ。


[転移]を試みるブレイ。


ただそれよりも遥かに速く複製が攻撃。


「ッ!?」

高速の裏拳に何軒かの家を巻き込みブレイは飛ばされた。


(この異次元な対応速度。何か訳があるのか?)

ログロをじっと見つめ、今度はお前だと言わんばかりの咆哮。


「フッ!」

剣を複製に向けて投げ、その剣が粉々になった。


「[残刀]」

今度は剣を振らずに、能力を唱える事で攻撃スピードの上昇と防御の両立を図る。


胸元に擦り傷。あまり意味は無かった。


[残刀]を使用する際の強化方法は、残刀発動前に剣を敵に向けて振るう事。


(弱点としては発動するタイミングが読める事)

幸い、奴にレインの息子達と違って知性は無さそうだ。


かと言って……避けられる事を恐れて急襲性能の高い方を選べば……


「!!」

複製の強烈な回し蹴り。

なんとか剣で防いだがその衝撃は軽減出来ない。


ログロは上空へと飛ばされた。

「……?あいつは何処に……」


地上にいた複製は一瞬で消えた。

刹那、ログロより上空に何者かの影が覆う。


(もういる……だと)

ログロに向かって真下に拳を振り下ろす複製。

剣と背中に全魔力を込め防ごうとするが………


「…クソ……があっ…!!」

少しだけ拮抗した後地面に叩きつけられる。

魔力防御が功を奏し大したダメージにはなっていない。


はっきりしたのは、どう足掻いても力では勝てないと言う事。


「力を上回る獣と戦うのは骨が折れるな」

爆音と共に地面に着地した複製。突如高速でログロの左腕を掴み出した。


「……ッ!!??」

刹那腕に違和感。ボコボコと音を立ててグニャグニャに歪む感覚に襲われた。


「チッ…!」

左腕を即座に切断。

ログロの違和感は正しかった。


歪んだ左腕は爆散、複製────並びにレインの能力だった。


人体を専門に扱う能力、[改造]。

レインの魔力量と技術なら人体以外の物体を変える事が出来たが、複製に工夫という知能はない。


殺意に完全支配された殺戮人形は留まる所を知らず、レインによる命がない限りログロとブレイに対する殺意は終わる事がないだろう。


(人体に作用する能力?それにしても厄介さが増したな…!!)

少々の苛立ちと驚きがあったが、冷静に現状を分析する。


「………[残刀]」

今度は剣を振るう事による最大威力で頭を狙う。


「!!」

斬撃前に両腕で頭を守る防御態勢。たった一回で[残刀]の速度を見切っていたのか?


予想外の行動。先刻と同じく腕だけが切断された。

ジリジリとゆっくり……しかし確実にログロ達を追い詰めている。


「俺の事さ〜忘れてんだろ!!!」

複製の背後からブレイが踵落としの姿勢で転移。

その威力は複製の頭から大きく鈍い音が鳴る程の威力だった。


ブレイの姿は頭から血を流しボロボロで、服が破れたのか上裸になっていた。


「ハッハッハッ!!余計なモン()が流れて良い気分だァ!!」

その言葉に嘘はなく、複製と互角の格闘を繰り広げていた。


「(……こいついま笑って…?)うおっ!?」

複製の笑顔。その悦楽は果たしてなんなのかは分からない。今は戦いに集中だ。


ブレイの怪我は治った訳ではない。心の中にあったポテンシャルが更に上がったのだろう。


拳や蹴りを紙一重で避け的確な反撃。

驚く事にブレイの転移からの反撃速度がヒートアップしている事だ。


「ガァア!!」

低く唸った後複製は高く跳躍。ヒットアンドアウェイの完成系の様な戦いをするブレイに回避を選択した。


「チッ!!(着地する瞬間に特大の威力を喰らわせてやる…!)」

拳に全魔力を込め、確実に仕留める。ログロの[残刀]でもやれないと言うのなら俺が…!

と『勝ちたい意思』を込める。


ただ、ログロはそれに満足していない。

(俺の[残刀]が効かないのなら……恐らく着地を狙おうとするブレイを見守るのが正解なのだろう…だが!!)


的確な判断能力や、要所要所の強さはログロの売りだ。その為よく戦いでは温存を求められたり最後の切り札として扱われる事がほとんど。


(俺もう()()()じゃない。一人の戦士として……出し切る!!)


ログロの中にある無意識に付けていた強固なリミッターを今、外す。


それはログロのポテンシャルそのもの。

業の名は変わらず、ただそこにブレイの様な『勝つ意思』。そして、ログロの『仲間を守りたい意思』を重ねるだけ。


地面に剣を突き刺しその剣が折れた事を確認。

能力発動の条件は整えた、照準を複製に合わせる。


「[残刀・撃]」

更に速く、更に鋭く磨き上げた殺意は───────

透明な弾丸が……複製の心臓を貫通させた。


「フッ……流石だ!!ログロ!!」

足に全魔力を込め、呆気に取られていた複製の背中を

全力で地面に向かって蹴り飛ばした。


ログロの『意思』とブレイの躍動が複製の命に届いたのだ。


「ハァ……ハァ……ハァ…!!」


「(こいつまだ生きてるのか…!)ブレイ!!まだだ!!攻めるぞ!!」


「ウ…ガァァァァ!!!」

ここで予想外の択。地面を破壊しログロとブレイを地下に落とす。


浮遊時間は少しだけで砂煙が少しずつ消えるとそこには驚きの光景。


「マジか!!」

「こんなものが…?」


ブレイとログロが目にしたもの。それは………

「研究所…か?」「研究所…だと」


圧倒的な広さ。研究用具が辺りに置かれているだけであって、中心はガラ空き。コロッセオの様になっていた。


そこには様々な魔物と人間が巨大で謎の液体に満たされた筒状のガラスに閉じ込められていた。


人間の方には屈強な冒険者が実験用のモルモットとして扱われていたのを瞬時に察した。


実験により頭や体が変形し魔物となったもの。


一見頭の形状は綺麗だが、そこから下は全て魔物の体になったもの。


改造魔物は恐らくこの技術の逆を成功させたものに違いない。


だが、今の問題はそこではない。

「最終ラウンド。とでも言いたげな顔だな」


複製は怪我を癒す術がないのか、意図的に治していないのかは分からないがそのままの怪我で拳を構え出した。


感情なく己が主の為に殺戮を尽くす人形な───筈だった。


戦いによる成長、その悦楽。

予想外の行動を阻止する為に余計な感情をプログラムしなかったレインの想定を超えた複製。


一人は[燃焼]を

一人は無からの『感情』を


本来得る筈ない『心』を以ってログロ達に戦いを申し込んだ。


「良いだろう。かかってこい!!」

ログロも服を脱ぎ上裸へとなる。これで三者全員同じ条件となった。


最終ラウンドは目前。『心』も『力』得た三人。

果たして勝つのは………





もっとかっこいい説明・プロローグが書けると良いなと常々思っています。ハンター×2とか呪い合う戦い系の漫画を見るとそれに影響されがちな男。

それが私。



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