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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第六章 第二都市編
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第44話 理性VS本能

「話そう。ドライヴ」

結界術によって作られた日本の景色。


この技術について記されてあった本に、代償を払う事が重要とは書いてあった。


使う気は一切無かった。

が、勝利の渇望とはまた違う何かがケイの中にはあった。


(なんだ…これ?魔力を一切感じない)

[燃焼]も使えず、あまり力が入らない。

それはケイも同じ。


一般にある少し狭く、ブランコや滑り台しかない細々とした公園。


二人の男は怪我だらけのまま、ブランコに座り語り出した。


先に質問したのはケイだ。

「もう一度聞くぞ、お前は人を殺してどう思った?」


「……お前は人を殺したのか?これを話してお前は共感を得て欲しいのか?それとも俺を否定したいのか?」

それを聞いてケイは黙り込む。

正直、この質問には意味がないと分かってる。


「あぁ……殺したよ。お前の様な渇望ではない。それでも………人を殺した」

思い出すだけでも手が震える。


「どんな大義名分があろうと俺にとっては尊き命を奪ったんだ。許される筈がない」

呆れた様にドライヴは返す。


「それを否定してほしいのか?『お前は悪くない』と言って欲しいとそう言うわけか」


「…………どうだろうな」

ドライヴの言葉に様々な言い訳が頭の中に浮かんだ。


──奴隷を救う為

──やらねばならなかった

だが、口から出たのは………迷いだった。


これからも人を殺し続けるのだろうか、殺しが選択肢に入っている今の状況がとても悲しくさせる。


「それじゃあ、俺から質問だ」

ドライヴがそう言った瞬間、場所が変わった。

結界術はまだ分からない事が多い。

ケイの心情が変わると場所も変わるのかもしれない。


学校の教室。

そこには誰もいない。


椅子に座りドライヴは口を開く。


「俺は魔物として本能のまま戦ってきた。しかし、それでは完全な強さには足りない。今の……これからの俺に必要なのは理性だと悟った」


ストライドとの戦い。その時でもドライヴは自身を理性の代弁者と信じて疑ってない。


「だが、お前は(理性)と戦い俺とは違う、自分の道を切り拓いた。不本意だろうがな」

怪訝な顔をするケイを見て、軽く笑う。

その言葉に終わりは見えない。


「似た者同士だからこそ、俺達は反発できる。先へと行けるんだ」


ドライヴは続ける。

「誰よりも早く理性を得てそれ(本能)を捨てた筈の人間共が再びそれを取り戻したんだ。中々面白い」


「……………強さの先に何を得たいんだ?ドライヴ。

お前は見えたその先に何があるんだ」

ケイは聞く。

何故か分からないが聞かずにはいられなかった。


「『証明』だ」

「!?」


笑みを浮かべたまま、ドライヴは語る。

「貧弱な人間が理性を得て、俺達()と並んだ様に、強固な存在が理性を得たら誰よりも優れている、とな」


彼の考えは………意味こそ理解したものの、理解できなかった。


「………だからこそお前に敬意を払わなきゃな。ケイ・タケダ」


「敬意?」


「ああ。お前のその考え、思想全てを」

────人を殺して、どう思った?


ケイの目をじっと覗き、その表情には清々しさと殺意に満ちていた。


「俺は人間を超越した存在と思いたかったが……どうやらそうもいかないらしい。()()が俺の邪魔をした」

苛立ちを含んだ言葉だったが、ドライヴはそれさえも

自分の力としようとしていた。


「………きっと人間には………俺達(魔物)には分からない強さがあるとそう思った。目を背けて理性を語るには、少々傲慢だと考え始めた」

理性と代弁するくらいだ、様々な所まで考えが至っていたのだろうか。


今のドライヴはどこか別世界にいるような、懐かしむ様な目をしていた。


「この戦いで決まるのは俺()人類の底力。理性と本能。どちらが強いかが決まるんだ」

ケイは黙り込み、深呼吸をした。

今のケイにあるのは、憎しみでも怒りでもない。


「…………俺も認めるよ、ドライヴ。お前は誰よりも人間だ。だから俺はお前と言う()()を殺す」

拳を強く握り、ドライヴを見据える。


「お前の全てを否定するには、憎しみでも強い怒りでもない。それさえも超越した純粋な殺意だ」

そう宣言した、この学校の屋上へと場所は移った。

もうどこに行っても驚くことはない。


決着はここで着ける。


お前(理性)(本能)。俺達人間が手に入れた尊厳をぶつける」

そうすると、ケイは屋上のフェンスを壊し地上を背にして落下しようとする。


こうして笑みを浮かべながら一言。

「──来いよ」


「上等──」

二つの閃光。

ドライヴは黒色の雷を持ってケイに襲いかかる。


魔力、体力両方それぞれ限界。

故に決着は────短期決戦となる。


屋上より高い上空で、ドライヴの剣とケイの剣がぶつかる。


ガキン!!

と甲高い音の後、ドライヴは壁側に飛ばされる。


(崩した)

態勢を崩したドライヴ、狙うのは──


声を荒げるのではなく、息を吐く様にフッと、体を雷に任せ、ドライヴの右腕を切断。


二人は地面に向かって壁を走り出した。

(クッソ…膂力じゃ奴の方が上か!!)


(そのまま殺せると思ったが…速度は奴の方が上!)

壁を蹴り出し、空中で

もう一度ぶつかる。


ケイはそのままの腕と握力で

ドライヴはスピード、体重、腰の捻りを使い


剣と剣が重なる。

激しい太刀音が響き、両者吹き飛ばされる。


「ッ!?」「グッ…!」


ケイは教室へ、ドライヴは校庭へと飛ばされる。


「やるな。燃──ッ!?」

ドライヴを中心として、ケイの雷が一周した。


(今のままじゃ初速で潰されるな)

そうして、ドライヴは剣に最低限の雷を貯め、

居合の構えを取る。

レターの技が今ここで生きる。


(此処!!)

ケイがいた場所に剣を置く。


────だが、そこにはもういない。


(─────速い!!?)


「初めてだよ、敵を信用したのは」

背後にはケイ。

ドライヴは顔こそ此方に向いているが反応できない。


一切の抵抗を許さないまま、

ドライヴを…………切り伏せた。


彼はそのまま倒れ、結界が解ける。

場所は最初に会った時の広場に戻った。


うつ伏せで倒れたドライヴはそのまま語り出す。


「勝つのは……お前か。ケイ」


「勝ったとは思ってない」

少し驚いた表情を見せたドライヴは黙り込む。


「お前には仲間がいなかった。俺にはいた。お前の考えも、強さも全て否定できるほど俺は強くない」


「!!」

そうして、ドライヴは口を開いた。『殺し合い』よりスポーツに近い爽やかさを彼は感じていた。


「そうか……………理性が負けるか。俺もお前も本能の強さは侮れないものだな…」

そう言って軽く笑った後、ドライヴは最後の魔力を放つ。


その魔力で、近くにあった塔を倒す。


「じゃあな。ドライヴ」

その意図を察し、ケイは息を切らしながら足を引き摺り退散した。


「……なんだよ。アイツ…ハハ……ムカつくなァ…」

笑みを一切崩さず、倒れてきた塔に潰されてドライヴは死んだ。


その命、その覚悟、最期まで変わる事なく………




今頭の中で第三都市編が完結しました。

第四都市編がストーリーとして全く浮かばない事です。

二・三で燃え尽きた節があるかも……


頑張ります!!

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