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半端者の戦い方  作者: 半端者の柑橘系 
第六章 第二都市編
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第43話 開戦

説明するタイミングを完璧に逃したので、今言います。

ドライヴは左利きです。

「クソッ!どこだよログロさん!」

ケイ達は現在地上で、ログロ達と合流しようとしていたが中々会えなかった。


この街に突入時、ログロは冒険者達には顔が割れているから隠れる。


と言っていたが本気で隠れたログロを探すのは困難だ。


今の状況、彼らも動いていると思うのだが……


ここでハウが口を開いた

「参謀、アドラスが言っていた兄弟って本当か?」


「そうらしい。何人兄弟かは言ってなかったが」


「なら、他に兄弟が……」

レノアの言葉を被せる様に───

背後に気配。


それを感じた瞬間、家が一つ潰れた。

上から誰かが降ってきたのだ。


「正解。でも戦闘要員は俺とドライヴだけだがな」


すると男はレノアとハウ両方を睨む。

初めからケイを見てはいなかった。

(僧侶くらいは俺以外でも殺れるかな?まぁ、今戦うべきはあの獣族の男(ハウ)!!)

男は足に力を入れ、ハウに急接近。


「ッ…!」

すかさず防御。

元護衛としての反応速度。


「いいね!!遊ぼうぜ!!」

強く拳を握りしめ、防御中であるハウの腕を全力で殴る。


「!!」

ドガァン…!!と

打撃音とは思えない音が響く。


ハウはそのまま吹き飛ばされ、

一つ、

二つ、

三つの家を貫通。


男はそれに続き、ハウを追いかける。


「ハウ!!!」

ケイの声は届かない。


ケイは先程の速度には対応出来なかった。レノアによって怪我は回復したが体力は全快ではない。


レノアはパーティ唯一の僧侶。

一応温存させた。


「レノアさん、ログロさんとの合流の件は任せた」

ドライヴが援護に来る可能性もある。

今彼女を一人にするのは不味いが、二人でやれば早く終わる。


「うん!!任せて!!」

力強く頷いた彼女の肩を軽く叩き、ハウのもとへと行こうとした瞬間。


「よぉ」

聞き覚えのある声。

低く、ドスの効いた声。


強さを求める奴にとって、ケイとの戦いを後回しにして今ここで会いにきた理由。


何故ストライドやロズ、その部下達が一人でも地上へ上がって来ないのか。


今目の前にいるこの男が少しボロボロになった服を身に纏い、息を切らしながらここにいるのか。


全て────合点がいった。


「お互い、()()との戦いを終わらせ、[燃焼]を磨いた訳だが……」


「ストライドさん達を殺したのか」

奴が言い終わる前にケイは言葉を被せる。

自分でも驚くくらいに淡々と言った。


それを聞いたドライヴは、高揚そのままに口を開く。


「強かったよ、あの二人は」

初めて会った時の飄々とした感じはない。

静かで……怖い。


「お前が[燃焼]を指向性を決め放った様に俺も武器を手に入れる為あいつらと戦った」

そのまま奴は続ける。自慢気に話すというより事実を説明している感じだ。


「やっぱりお前の様には出来なかった……それで一つ考えが浮かんだ。貯めた雷をそのまま放電させた。

大規模な放電は、あいつらを殺す武器になったよ」


軽く深呼吸したドライヴは笑みを浮かべながらケイを強く睨む。


「話の続きだ。お互い怪我は治ってるが体力はまだ戻ってはいないだろ?」

奴はケイの手の震えを見抜いた。その震えに含まれるのは恐怖ではない、疲労なのだと。


「…………そうか、そうだな」

自身の判断ミス。強い後悔と苦しみに襲われる。

が、今はそれさえも糧にする。


動きの障壁となる怪我はなし。

残った体力と魔力総量を考慮し、『逃亡』という選択肢、それを両者は外した。


「[燃焼]」

「[燃焼!!]」


二つ閃光がぶつかり合う。

燃焼を用いたパワー勝負では互角。


「ッ!!」

「!!」


反動でどちらも軽く吹き飛ぶ。

(雷の『放出』これがストライドさん達を殺した技…)


距離を詰めたい。

だが、放出は恐ろしい。

奇しくもドライヴも同じ考えを持っていた。


ドライヴが再び先行。

「[燃焼・放]」

剣がみるみる発光する。

完全に防御耐性だったケイは一歩…遅れる。


「何ッ!?」

貯めがある大技じゃなかったのか!!?



剣の発光が完全になった時、

落雷が落ちた様な爆音。


衝撃波と雷が家を巻き込み、

家中を煙が覆った。



ケイはあの剣が爆発する寸前、時計塔が目に入った。

[放]から避けたケイ。が───


「いッ……!クソ……」

避けようとした瞬間、ドライヴはケイの背中を確かに斬った。

狙っていたのは[燃焼・放]から出される回避前の隙だったのだ。


停止した時計の針の上に降りて、ドライヴを探す。


もう煙は晴れた。

見つけられるはずなんだが……

「何処に………」


「上だよ」


「なっ!?」

見上げた先には

帯電中の剣を振り下ろすドライヴ。


「グッ…!!」

なんとか受け止め、地面に落下しようとしていた。

地面に落下した瞬間奴が呟く。


「[燃焼]…!」

「!!」

落下の速度から更に雷の速度を加算させ、地面に激突。


見渡す限りに砂埃。

ドライヴは真下に剣を突き刺すが手応えはない。


(………いない。なら、もう一度雷を貯めてやるよ)

剣に雷がチャージされ、輝きや増していく。

チャージがMAXに到達する瞬間───


目の前に剣。すんでで防御をしたが剣が弾き飛ばされる。


「丁度良かったな」

ケイはドライヴの腹部を手甲剣で突き刺し蹴り飛ばす。


「グッ……アァ…!!」

ドライヴは壁にぶつかり、血が止まらない腹部を抑えていた。


だがそんな状況でも、ケイは油断しない。

(これで勝負が決まったとは思ってない。トドメを…)


手前に、刺さった剣。

無視してケイは進む。


血を出し、満身創痍のドライヴ、

その表情は────笑っていた。


「[放]」



前の様にジワジワと光るのではなく、爆発寸前の輝き。



「ッ!!!」

強い発光で、ケイの視界は光で埋めつくされる。


[放]による爆発が再び発生。

先程よりは爆発は小さいが至近距離で喰らえば大した変わらない。


「…………これで…どうだ…!?」

二回の爆発を耐える為、ドライヴは魔力を全身に覆った。


流石に限界が近い。

魔力総量はケイの方が少ない。


仮に生きていたとしても魔力を残っていないと踏んだドライヴは剣の確保を急ぐ。


「………おし」

剣を入手。全身に雷を纏い最後の勝負に出る。

すると背後から声。


「[燃焼・斬]!!!」

居合の構えをしたケイが、家の壁を壊して剣に籠った雷を弾く。


リアクションを取る前にドライヴは魔力で飛ばす、

[斬]を受け止める。


だが、飛ばされることなく、

鋭い斬撃を最後の力で弾き飛ばす。


「………考えたな。[放]を耐える為に」


「……耐えてはない」

痛みと息を切らしていた為、呼吸を整えて小さく呟く。


「左腕に取り込んだ」

腕にあるのは鈍い痛み。繋がっている感じはしないのに痛みだけは来る。


最後の一撃で、ケイの左腕は完全に動かす事が出来なくなった。


「流石に利き腕でそれをしてもお前は倒せないと思ったし、そもそもあの雷を耐えられない」


ケイの笑みに、ドライヴもつられて笑ってしまった。

馬鹿か。そう言い残し両方歩み寄る。

最後の戦いだ。


だが、不思議と剣に力が入らなかった。

このままじゃ、真の決着はないのかもしれない。


体の力がふっと抜け、一つ──質問した。

「一つ聞いていいか?ドライヴ。人を殺した時どう思うんだ?教えてくれ」


お前ら(人間ら)は余計な事を考えるよな。大して何も思わん」


ケイは暫く黙り込み、

口を開いた。


「………そうか。やっぱりお前とは色々と……ハッキリさせなくちゃな」


「ハッキリ??何を言ってんだ」

ドライヴがぶっきらぼうに返すと、ケイは手甲剣を

左指に当て、薬指と小指を斬った。


「結界術ってさ。こう使うんだろ!?」

瞬きの間に二人は転移した。

移動するまでに音も、振動も、痛みもなかった。


ドライヴが驚いた様に呟く。

「どこだよ…ここ」


二人がいた場所、

それは───────


「俺の前いた所……日本だ」


「……日本?」

少しも知らない所に飛ばされたドライヴは驚きと苛立ちを含んでいたが、不思議と落ち着いた。


「話そう。ドライヴ」

ケイの問いかけにドライヴは笑った。

戦いを焦らされた筈だが、どちらも本心では同じ事を考えていた。


この結界は無駄に広いが人は誰もいない。

話すのも、決着をつけるのも適している。


『矛』を置くケイ。

自身の心が『逃げ』か『向き合う』かどちらが含まれているかはケイが一番、分からなかった。



次回:第44話 理性VS本能


得るべきは純粋な殺意。


お楽しみに!!

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