第36話 あるのはルール。
あらすじ:
カミリーズへと遂に到着!!各々の役割で冒険者失踪事件を追う。ケイはログロの弟子且つ裏社会のボスを探しにこの国の闇へと向かう。
この街……カミリーズは円形…と言うより横に広い楕円形の様な街並みをしている。
街の内装はネオニィシティとの区別はあまり付かない。
赤レンガの家々を隙間なく埋め尽くしている。
唯一の違いは家の密度だろうか?
そんな中、ケイはこの国の闇へと早速足を踏み入れる。ここから先は混戦になる可能性もあるが問題はない。
この裏社会に加わるのは簡単、街の南西部、北部に大きな城がある。
北部は国の貴族達が辺りに住みたまにそこで社交パーティーをするらしい。
そこに向かうのはリサとザルツだ。
南西部。名目上は国……並びに冒険者の管理・運営を任されている。
問題はその城の地下に隠されている、ログロからの状況によるとそこはクズ達によって出来たクズの為の祭典。
南西部の城はトカゲの尻尾の可能性が高い。
ケイの情報は世界どころか冒険者にもあまり伝わってはいない。ネオニィシティの情報は全てセリーナが管理し、漏洩を抑えた結果だ。故に勝手に出入りできる。
ただしこのままの服装ではあまり悪っぽくはない為、ログロからは服を借りた、真っ黒なスーツに身を包み
国の闇へと触れる。
「こちらです」
笑みを浮かべる受付嬢に地下へと案内される。驚いたのはまず地下へと続く道がエレベーターによって出来ていた所だ。
無論電気で走っては居ないが、何かの力を借りているのだろう。
終始無言を貫くと思った受付嬢が突然話しかけてきた。
「本日は何をお買い求めで?」
「まだ迷ってて、オススメは?」
取り敢えず買うと言う単語を聞き話を合わせる。
「本日は奴隷の少女が安値で取引されています、見た感じあなたはまだ若いので欲を満たすには好機かと。
例えば発育の良い者や───」
「ああ、わかりました…!後はこっちで決めます」
不幸な人達を淡々と説明される事ほどしんどいものはない。ここがどれほど腐っているかもよく分かった。
「そうですか。次にオススメなのは……」
まだ喋るのか。抑揚なく喋る彼女を横目にケイは少し驚く。
「おっと、その前に説明しておく事があります。」
「説明?」
「現在は最下層へと降りていますが、このフロアの全容は地下四階となっています」
ここから先の彼女の説明を聞く事にした。
B1
違法カジノ。巨大なショッピングモール並みの広さだ。彼らが真面目にルールを守って賭けをしてるかなんて考えるだけ無駄だ。
今ここに用はない。
丁度、ガラス越しからカジノの姿が見えた。男や女達がカードや己の技術で金を掴み取ろうとしている。
血走った目をした男がイカサマがバレたのか警備に運び出されていた。
「…………くだらない」
「あら?カジノは嫌いで?」
「生憎お金には……ね」
働いて掴み取るのが一番なのだから。
B2
違法ギルド。
生態系を無視した生物の密猟、乱獲を行ったり、要人の暗殺。金さえくれれば善人だろうが悪人だろうが殺す。
目指すべきはここじゃない。
B1同様、ガラス越しからそれが見えた。
縄に縛られてた女と男の三人組が殺さないでと懇願しているが
抵抗虚しく一人一人剣で斬られた。
(………………)
B3
奴隷用の育成所。育成所とは名ばかりに人の尊厳を踏み躙る許し難い事をここでやっているらしい。
ここにも用はない。
(クソ……!)
何も出来ない。このガラスは別に防音ではない為、外の音が聞こえてきた。男の奴隷が逃げようとして手を貫かれた。
「……………!!」
女とその娘だろうか二人同時に何処かは運ばれた。それを連れ去る男の表情……どんな目的でそれを使うかは………
(後で助ける…絶対に)
奴隷を必要悪だと言う人もいる。実際ケイもそう思う事もあった。ただこうも人が人を弄ぶ瞬間を見せられると……怒りが込み上げてくる。
B4
史上最悪の祭典。生まれた頃から奴隷な者、奴隷になってしまった者が金を出し合い────買う。
売るものは人だけではなく、鉱石や薬物などの物もある。
ここにさ様々な国から来たグループ?組?が揃い祭典を見届ける。
用があるのはここだ。
奥に大きな建物。人や物などの競りはそこで行われる。
この祭典で売られる人はB3の奴隷と同じ扱いだが元々の身分が違う。
王族やその妃、書物にあったエルフの一族などの…物珍しい人を中心にあの祭典では売られる。
エレベーターの到着音がなると、受付嬢はぺこりと頭を下げ、上へと上がった。
「ふぅ………」
軽く息を吐く。全員が全員俺より強い訳ではない。
その空気感が……嫌だ。
体型とか身長とかそう言うものでもない。
たった一つの事実がケイを追い詰める。
全員が悪党という事実。
(これほどまでに不安になるのか…!)
手が震えてきたが、無視して辺りを探索し始める。
この辺りには鉄の匂いや甘ったれた酒の匂い。
すれ違う男達はケイをジロジロ見て値踏みしている。
目を合わそうとするとまるで見ていなかったかの様に目を逸らす。バレバレだが。
「にしても広……!」
地下都市……と言っても差し支えないほど横にも縦にも広い。
飲食店や拠点と思われる大きい家みたいな物もある。それらが敷き詰められているのだから迫力の大きさに拍車をかけていた。
正直探すのは骨が折れるが……やってみるしかない。
ログロから聞いた情報によると名前は、ロズ・シルバー。女性。ボスをやっているらしいから少し探ってみよう。
まずは一人目
居酒屋らしき所で孤独に出来上がってる男に話しかける。
「なぁあんた、ロズ・シルバー。知らないか?」
こう言うのはあまり単刀直入にやるのは良くないのは分かるが何か情報があれば……と淡い期待を含んで話しかけたがダメだった。
「彼女に近づくのはやめておけ。俺の組でも奴らの情報を探ったら消された。俺はそこから生き残ったんだ!すごいだろ!!」
更にそこから酒臭い男は自慢げに語り出した。
「だが俺は彼女の情報を握ったんだ…ついに…ついにな!!」
大声で話すもんだから声を抑えさせる。
「あいつら……明日の祭典をぶっ壊そうとしてるらしいぜ。馬鹿だ…あそこに裏社会の要人が全員!集まんのにな」
煙草に火をつけ、ケイを見る。
「全く何がしたいのやら……」
酔いが覚め、思考モードに入りそうな男。
猪口に酒を入れ、無理やり飲ますと完全に酔いが回ったのか寝てしまった。
もし覚えていたら厄介な為、男の胸ポケットに金貨を二枚潜ませ代価を支払った。
───祭典をぶっ壊そうとしているらしいぜ!!
(彼女はログロさんの弟子。悪の巣窟を手っ取り早く怖そうとしているわけか……)
後もう一人くらい何か知っていそうな人を探すか…
──────ケイが立ち去った後──────
すると近くに…ケイは気づかなかったが居酒屋の男の演技は完璧だった。
「姉さんの読み通り、あいつは俺たちに探りを入れてる」
能力か何かの技術で彼は情報を伝えていた。
「─────はい。分かりました。尾行を続けます」
ケイの後ろ姿を眺め、胸ポケットに入った金貨を見る。
「しっかし………お優しい事」
──────────────────
居酒屋の場所から少し遠くの酒場に来たケイ。
辺りの男達が色々話しているのを物を落としたフリをして聞いてみる。
その一グループ。二人の男がコソコソ話しているのを見つけた。
「ロズの野郎にうちのグループが全員やられた」
「おいどう言う事だ……依頼はちゃんと完了したんだろうなぁ…!」
「仕方ねぇだろ…!あいつらに目をつけられた終わりなんだ…!!」
「中立屋風情が…!!」
机を強く叩いたが、周りの奴らは大した気にしない。
酒によっているとでも思われているのだろう。
こうして探す事三十分。
先程の酒場や別の酒場の男達に色々聞いてみたが、
死にたくないならやめておけ。これ以上の情報は何一つとして入手できなかった。
(…………あまり時間は経っていないが、少し目立ち過ぎたな。一旦ここは場所を変えるか)
少しだけ辺りの殺意と悪意の気配に慣れてきた。
手の震えも収まり歩き方がスムーズとなる。
移動して、少しだけ目の付かない所で作戦を考えていた直後。背後から声が聞こえた。
「姉さんに何の様だ?」
男の声。気配を探る前に背後を見る。
────いない。
(………違う場所の声か?)
心臓に悪い。無駄な物音は出ていないはず、あまりここでコソコソするのも良くない。
路地裏を出ようと思ったら腕を引っ張られる。
「───ッ!?」
刹那。布がケイの鼻と口を覆う。
呼吸ができない
「ん………!!ん〜!!」
両腕を後ろに回されている為、大した抵抗が出来ない。
頭を振るうと試みたがその力は異常だ。
全く動けない。
「おやすみ…坊や」
低い女の声が耳元…並びに頭に響く。
(い……しきが…)
足から崩れる様にして、ケイは眠ってしまった。
「安心しろ。助けてやる」
突然の変更への謝罪──
今までのお話を冒険編とさせて頂きます。
これからのお話を第二都市編とし、分かりやすくしようと思います。
よろしくお願いします。




