第33話 再びトレーニング!!
燃焼という新たな技術を覚えたケイ。
それまでに至る経緯や、燃焼という技のデメリットを話した。
魔力消費が半端ない。
唯一のデメリット且つ最大のデメリットだ。
今までの冒険で少なからず魔力量は増えてきている。
最初の頃この技を使ったらおそらく、一発使えるか使えないかくらいだ。
そこでケイは自分に問う。
──何故魔力消費が多いのか?
挙げられる理由は二つ。
① 移動・攻撃・相手の反応を踏まえて精密なコントロールが必要と言うこと。
② 雷魔法の放出による肉体への負担を防ぐため、
魔力で全身を覆う→高出力の雷により削られる→それを補う。それを繰り返す。
一連のやり取りは無意識で行う都合上負担の軽減は込めない。
恐らくドライヴは絶大な魔力量でそこをカバーしている。厄介な相手だ。無論、魔力総量を増やす為細かい基礎トレーニングは欠かせない。
先日レノアにある事を教えてもらった。
負担はかかる代わりに魔力総量を効率よく伸ばす方法。
数日前にレノアとの話を思い出した。
ケイは森の中で俊敏性を鍛える為、(できる限り)ノンストップで森の中を駆け巡る鍛錬をしていた。
その時、やけに動物が集まっている所を発見する。
そこにいたのは正座をして、三つ……いや四つの魔力の球を宙に浮かせ、動物囲まれたながらも集中しているレノアの姿。
そこで揺らしても大きい音を鳴らしても全然ブレずに
魔力球を維持し続ける事が重要……らしい。
それを実行してみる。
森の中で実行してみる以上様々な音がなる。
木の葉が揺れる音。
鳥の鳴き声。
魔物の鳴き声………
「魔物!!??」
いたのはスライム。
すぐさま切り伏せた。
レノアが言うには魔力が揺れ動かなければ敵として視認されないらしい。
魔力球は無事、壊れた。
悔しさを鎮めもう一度、もう一度──と頑張り続ける。
ケイは魔力総量の底上げと筋トレ。
ザルツ、ハウ、リサは剣術と筋トレ。
レノアは魔力総量の底上げ。
各々やる事は決まっていた。
何故こうしてトレーニングを重ねているかと言うと、ゴーレムという予想外の接敵。これだ。
もしゴーレム級、もしくはそれ以上の難敵がダンジョンで現れたらどうしようもない。全滅する可能性も出てきてしまう。
その為ログロ達大人組は、ダンジョンの周りの敵の確認、並びに別の可能性の検討を考えていた。
どの道ストライドの意見の一つ、ドラゴンの観察がダンジョンにすり替わっただけだ。
能力が探索向けのブレイが先にダンジョンへ突入。
トラップはそこそこあるが情報を伝えれば全然対象できる。
(やけに魔物がいないな…オレの恐怖を返してくれよ)
少し愚痴りながらダンジョンの奥地へと着いてしまった。
最深部と先程言ったが、最深と言っても入り口の地上から上がるわけでも下がる訳でもない。
個人的には隠し地下とかあったらいいなくらいに思っていたブレイだったが、特に何もないのならそれで良い。
「…………扉?」
少し重たいものだったが、全体重をかけ開けてみると…
「嘘だろ」
次の道へと続くであろう門がもう見えた。なかなか広い闘技場を通って、だが。
ドラゴンの噂はどっから来たのやら。このダンジョンのトラップに殆どの冒険者がやられた…にしては随分と簡単すぎる。
(最初の門、即ちゴーレムに蹂躙された話が大きくなってドライヴの話に?いや、にしてはデカくなりすぎじゃねぇか?)
疑問が尽きなかったが、取り敢えず拠点に戻った。
────[数時間後]────
「ドラゴンがいない」
帰ってきたブレイの言葉にケイは驚愕した。
いや、いないに越した事はないのだが…
「なら、さっさと攻略してこの薄気味悪い場所から脱出しよう」
ログロがそう言うと全員が頷く。
ドラゴンの有無が確認出来たのならそのまま行ってしまおう。
「ま、翌日丁度いる可能性もあるけどね」
ブレイがそう言うと、高まった指揮が下がった。
やる気と言うか…なんと言うか…
そんな事がありながらも、取り敢えず行ってみる事に決めた。
全員ダンジョンへ行く為準備は重ねてきた、問題はない。
───[翌日]───
ダンジョン突入前に、厄介なトラップについてある程度の説明。
先頭はブレイ、トラップを教える役としてそれは絶対だ。
ケイ達は身構えて進んだが、大した障壁なく先日ブレイが到達した所まで無事着いた。
「……………何か嫌な感じがするな」
と言っても誰かに向けた言葉ではない、元護衛としての何かが働いた。
聞こえたのはケイだけだ、今ここでそれを共有するつもりはない、小声でハウに話しかける。
「嫌な感じ??」
「ああ、まるでそこに何もいないのにずっしりと何かが構えているような感じだ」
ハウの勘…と言うよりハウを信用したケイは、取り敢えず信じてみる事にした。
ブレイが扉を開くと……
またしても誰もいない。
無駄に広い闘技場。
(ハウの勘が外れたか…?)
外れた方が間違いなく良いに決まっているのだが、胸のつかえが取れぬまま、闘技場の中を歩いていた。
『人の子よ待て』
全員の背筋に衝撃が走った。何故背筋?いやそんな事はどうでも良い。
完全に相手に背後を取らせてしまった。それはログロもブレイも同じ。武器を取るか、相手の出方を伺うか、この二択を迫られた。
『戦うと言う選択は取らない方が良い、今の私なら君らに振り向く隙も与えず皆殺しにできる』
聡明そうな女性の声が、頭の中に響く。
ケイが最初に振り向く。
察しはついていた、自分達を軽く影で覆ってしまう巨体。そしてここらの噂。
考えられるのは一つしかいない。
「噂に過ぎないと期待させておいての……噂通りか〜」
もう笑っちゃう。
白…と言うより白銀に近い体をし、そこからは冷気が出ている。賢い生き物。
ドラゴンだ。しかも遥か昔から生きるとされる冷銀竜。
『ふふ、まぁそう怯えるな、私は戦うのが嫌いだからね』
圧は消えぬまま、今もケイ達を圧倒し続けている。
背中には彼女?に似たチビドラゴンが頑張って飛び続けている。
知恵あるドラゴンって……いいよね。




