第29話 登山
遂に始まった大冒険。
大きな道筋としては…
①ドラゴンが潜む山の中にあるダンジョン(ここを通る事が出来れば、二週間の時間短縮)
②クソデカい湖である、通称ビックレイク。
魔物がいるとかいないとか……
道中の名もなき村を転々としつつ、第二都市カミリーズを目指す。
大変なのはそこに着いてからが本番なのもしんどいポイントの一つ。
現在地はネオニィシティの近くの高山。
①へ向かうべく絶賛登山中だ。
「さ、酸素が薄い……」
この中で体力に自信がないレノアが最初に根を上げた。
ずんずんと躊躇いなく進むログロ達ベテランと、一歩一歩大事そうに進むケイ達初心者とでは明らかに距離に差が出来ている。
「もう少しすれば山頂だ。そこで少し休憩しよう」
リーダー、ログロの休憩という言葉に安心したレノアはやる気を出し、力強い一歩で進む。
やる気を出したのも束の間、レノアは倒れた。
リサの命令(ケイとレノアの関係を近づけたい)でケイがレノアをおぶり登山を開始。取り敢えずレノアには呼吸を優先する様に促す。
本来登山中に人が倒れたら迷わず下山だが、これさえ乗り越えてしまえば登山はない、さっさと越えてしまおう。
ケイ、リサ、ザルツ、ハウの四人は息を合わせリズム良く山を登る。
数分後、頂上に到着。
後は下るだけ…なのだが……
「レノアさん…大丈夫か?」
いつの間にか彼女は眠りに付いていた。
少し不安になったケイは少し離れた所でルートの確認をしていたログロ達を呼ぶ。
「レノア・マフォードの体調が芳しくない。何か心当たりあるか?」
そう言われると……何もない。
すると、何か考えが浮かんだのかストライドがレノアの長靴を脱がすと……
「やっぱり紋様が刻まれている───犯人はここら辺に生息する特異種のサキュバスです。従来と違うのは
男性だけではなく女性も狙う」
男性を魅了し、欲望を満たさせてやった後喰らう。
女性には隠れて特殊な魔力を送り動けなくなった所を喰らう。
そして、その顔をコレクションして男を魅了する際に使用する。
長いため息を吐いたストライド。
彼は予めこの辺りの特異種や、生態系について調べていた。
「彼女は動けなくなっただけで、命に関わる心配ない!!でしょ?」
ブレイが大仰に言う。実際その通りだ。
「さっさと動こう。ケイ・タケダ。レノア・マフォードをおぶって行くぞ。下山だ」
リーダーの命令で降ろしていた荷物などを整理しようとした瞬間。どう考えても人間の声じゃないものが頂上に響く。
「キシャャャ!!!!」
ログロの背後にサキュバスが自身の爪を用い切り裂こうとしている。
「危な───」
「問題ない」
ケイの言葉を遮りノールックでサキュバスを逆に粉微塵にした。
すると数体、ケイ達に向かってくる。
ログロは叫び、指示を下す。
「奴らを凝視すると魅了される!!出来る限り目を合わせるな!!」
「あの〜すみません」
リサの質問に、ログロは答えようと思った刹那、
全員に戦慄が走った────────
「私……女……なんですけど……」
「……………運が良かったな」
視線をリサには向けずにそう呟く。
「違う生き物と勘違いしたんじゃ───」
ハウとブレイの発言に、リサは見事な拳骨を叩き込み、戦闘開始。
ハウとブレイは何者かの手によって戦闘不能だ。
数秒後。ほとんどのサキュバスはリサが片付けた。
(多分…私怨かな)
(私怨だな)
ザルツとケイは心の中でそう思う。
野生か知性か、リサはこちらを睨んできたが無視。
言ってないものは、言ってない。
────────────────────────
[三時間後]
時刻はだいたい二十一時。
予めアポを入れていたらしく、近くの村に無事泊まれた。
ここからは暫く平坦な道が続く。
しっかり休んでいきたい。
宿の中にある広い会議室の様な所で、次の難所になりそうなところ…魔物の生息地などを話し合った。
前回は、用があったらしく会議に参加出来なかった ストライドは今回の会議を積極的に参加し、話し合いが円滑に進んだ。リサは出席せず不貞寝だ。
目指す所、最低でも夜になる前にはドラゴンが佇むダンジョン前には着いておきたい。
「ネオニィシティで、ダンジョンにあるドラゴンについて種族や能力について調べましたが情報は全くなし。当然と言えば当然ですね、そこに行った冒険者は全員行方不明になっていますから」
淡々と喋るストライドだが、ドラゴンの話をしだした時には手が震えていた。
表情には全く出ていないが。
「冒険者達の様に雁首揃える真似をするわけにはいかない。よって、最低でも二日。明日中に現地に到着し、観察する期間が必要だと考えられます」
ストライドの考えに、ケイは心の中で賛同した。
相手がよく分からない化け物な以上、慎重になればなる程いい…と思っていた所、ブレイが口を挟んだ。
「ストライド。俺たちはカミリーズに行ってからが本番だ。現地に着いてから突然、神の……なんだっけ…まぁ、神のなんとかに襲われてもなんら不思議じゃない。別の案を考えた方が良いと思うが……」
ドラゴンと戦うか、避けるか……
ダンジョンに入る=ドラゴンと戦うと言う事だ。
もしかしたらダンジョンに他の道があるかもしれないが、冒険者が誰一人として帰ってこなかった事を見るに……
「…………戦おう」
ログロが重い口を開く。
「ログロ!他に道があるはずかも……!まぁ良いや。
リーダーの命令は絶対だからな」
ブレイがニヤリと笑う。
その後ある程度調整を挟み、寝た。
────────[時刻:二十三時]───────
ドラゴンとの戦闘………怖い。
そう考えた瞬間少し怖くなったケイは夜空でも見ようと外に出た。ザルツ達は秒で寝ていた。
すると近くから一体のリズムで剣を振る時にでる、空を切る音が聞こえた。
「ログロさん!?」
「なんだ……寝れないのか?」
剣を振るうのを止めずにケイと話す。
「ストライドの奴も、先程、この辺りの森一周を五分切りするべくずっと走っているぞ」
それ聞いて、ケイも寝れるようにある程度トレーニングをしようと思ったがログロは、ケイの考えを見透かし、止めた。
「全く、俺もあいつもどうして際限なく鍛えてしまうんだろうな、体術も剣術も、槍術だろうがなんだろうが」
続けてログロは語り出す。
「これは持論だが、どの分野においてもそれだけを鍛え、最強───つまり、一番になるのは不可能だと俺は思う。殺し合いというステージにおいては。」
「それじゃなんで、ログロさんは今もこうして夜遅くまで……」
疑問に思ったケイはそう聞く。
「少なくとも俺は一番にはなれない。だが、際限なく鍛える事は良い事が一つある」
焦らす様に少し間を開けて喋るログロに、どう答えるか……今か今かと待つケイの様子を察したのか、直ぐに答えた。
「格上に勝てる。もしくは今まで格上だった奴が格下になる。当然の事に聞こえるがな。だからこそ鍛え続ける事には意味がある。それを忘れるなよ」
ログロの言葉を心に刻み、急いで寝室へ戻り、今度こそ寝た。
文書の長さはこれくらいの長さでやって行こうと思います。
(間に合えば)




