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半端者の戦い方  作者: 柑橘系
第四章 第一都市編
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第23話 信じるものは

Q.ザルツとケイ…弟のこと忘れてません?


A.いいんだよ忘れて


ノアの切り札───

無燼禍神ノ剣むじんまががみのつるぎは二百年前に訪れたある転生者によって作られた名剣である。


魔力ではなく、この世界のあるとあらゆる素材を集め奇跡的な配合で作られている為、対魔のナイフを使った所で剣に含まれている魔力を霧散させるだけ。


そんな情報は一ミリたりとも知らないザルツだが、無意識の内にナイフは使わない。そう判断した。


ノアとは距離がある。数値で表すと三十メーター辺り。


先程と同様二人は歩き出す。だが、今度は違う。

距離を見誤った方が負ける。

先制攻撃が大切だ。


歩いて


歩いて


早歩きとなり

走って

近づく。


「(…速い!)」

「先手必勝!!」

先制を制したのはザルツだ。

ノアの右脇腹に一撃。


ガキンと不快な高音。


「クソッ…」

今の…今までの身体強化じゃノアの鎧に傷は付けられない。ただ、可能性については考えていた。


「…なら!!」

三歩下がり、下半身と腕に魔力強化を集中させ突き技で対応。ノアは剣を構えず素手で弾く気だ。


無数で対応なんてできやしない。そう見えたザルツの突き技を両手で弾き切る。


驚いて一瞬の隙ができたザルツに一回転フェイント込みの回し蹴り。


建物に吹き飛ばし、爆発音にも近い音が街中に鳴り響く。


「…………………十分か」

タイムリミットはもう近い。現在、ザルツは能力で身体強化効率を戦士レベルより更に上げていた。こっから更に上げたら────


「相手が切り札切ったんだ、ここでやらずに誰がやる」

今のザルツの切り札。それはシンプル、全魔力を能力により燃焼させ爆発的な強化を得る。


これでやっとノアと互角だ。

タイムリミットが大きく進むが問題なし。


タイムリミット(魔力切れ)まで残り三分───


「目が…変わったな」

その変化についてノアは理解。これから繰り広げられる一撃は素手や鎧で防御不可と断定。


「避けんなよ」

「安心しろ」

フェイントなしの剣と剣のぶつかり合い。

両者、遅れなし。


短刀を振り回す如く軽そうにその剣を振るうノアと

それを軽々返し反撃するザルツ。

それだけを見ているならとても心地が良い。


意思と剣のぶつかり合い。

何度も…何度も何度も何度も甲高い音が鳴り響く。

一旦距離を置き一呼吸置こうとした瞬間───


「ゴボッ!!」

吐血。迫っているのは魔力切れと、肉体の限界。

三分持つかも不明だ。時にすると一瞬…遅れが生じる。


ノアはそれを見逃さず大剣を大きく上に振り、ザルツを上空へと飛ばす。


「ッ!?」

鋭く尖った破片がザルツの足を掠める。

極限にも及ぶその身体強化により…ノアを()()()


「(こいつ!!兜を潰してぶん投げたのか!!)」

驚きはしたが速いだけだ。全てを弾きノアは着地狩り体勢。


「どっちが良いかな…」

①着地狩りをあえて誘い出すか

②正面で戦うか…

いや……①は面倒だな


ザルツは不敵に笑い剣に強い魔力を流し込む。

そのまま、今ここで味方する全てでお前に勝つ。


「ここまで来たんだ!!叩き斬る!!」

ザルツの発言にノアは少し驚いた様な顔をした後剣に力を貯める。


渾身の一撃がぶつかる。大規模な爆発と今まで一番の剣戟の声が聞こえ、地面がクレーターの様に穴が空く。


二人は爆発をもろともせず、生存。

渾身の一撃は(出せたとして)残り一発。こんなに

昂る戦いは今までなかった。


「(あの時ケイに殴られて、最初は、えっ?は?って思ったけど、今は違う。あの時僕に本気で向き合ってくれて本当に…ありがとう)」

そう心で感謝し、ノアと向かい合う。鎧は壊れ再び上裸の姿に。


これが本当の──真っ向勝負。

タイムリミットは二十秒──


「勝つのは…僕だ。ノア」

「それは俺も譲れん」


一撃に全てを賭ける。驕りは不要。

お互い、最も力が入りやすい姿勢で力を溜め……

ぶつける!!!


「「あ゛あ゛あ゛!!!」」

声を荒げ、二度目の渾身の一撃をぶつけた。

両者は背を向け膠着。

長い様で短い。そんな矛盾した時間の流れで

先に口を開いたのはザルツの方だった。


「勝ったのは僕だ、ゴースト」

「何を…」


言い返す前に、ピキビキと音を鳴らしノアの剣が折れる。ノアは心底動揺し信じられない様子だ。

「なに!?剣が………ガハッ……!!」


ノアの胸部から激しい血吹雪。

この戦いを制したのはノアではない───ザルツだ。


「ありえ…!な……い!!」

地面に倒れ、死亡した。


神の四天王の一人。ノア・シッヴァカーネ…に憑いていたゴーストが死んだ───


「見てるか?ノア。やったぞにいちゃん。お前が憧れてくれた騎士のすがた……に…」

すかさず剣を地面に突き刺し倒れるのを防いだが

魔法を改良した炎剣を維持できず結局倒れた。


「っと…すんませんザルツ先輩。最後らへん、援護はできなかったすけど…」

肋骨が折れた痛みを根性で抑えながらケイは

倒れそうになったザルツを支えた。

ボロボロで、血だらけだ。


「感慨に浸ってる場合じゃねぇか。リサとも連絡取れてねぇし…取り敢えず…僧侶様でも探すか」

ザルツを抱え、教会へと向かう。


昏睡中のザルツはある夢を見た。


───にいちゃん


───ノア…?僕は…死んだのかな?


───そんな訳ない…とは言えないね。けど、今は大丈夫。それと……


───それと…?


───あいつに勝ってくれて。お陰で僕もスッキリした!


───あぁ、そっか…


───あの時僕が負けなきゃ今頃にいちゃんに会えたのかな…


───でも今こうして会えた。それだけは良かった。


───ノア………


───にいちゃん。


ザルツは我慢できずにノアに抱きついた。涙を隠すのがザルツは下手くそだ。


────ごめん!!こんな事になって、にいちゃんなのに!!本当に……ごめん!!お前に全部背負わせて…ごめんよ…!!


────………にいちゃん。ありがとう。そしてまたね。


────あぁ……また。そっち(天国)で待っててくれ。


────…!!うん!!


これは都合の良い夢なのか、それとも呪縛が解け会いに来てくれたのか、どちらかはわからない。

ただそれはザルツを安心させ活力となるには充分だ。


「ん……天国…?」

「現実です」

ザルツは目を覚ましたのだから。








第四章、第一都市編:完

次章:第五章、第二都市編。


次回は後日談と次章に繋がるお話をやろうと思います。

この章で兄弟の隔たりをなくす事が出来たのは幸運でした。

ここまで読んでくれた方ありがとうございました。

年が明けてから書こうと思いましたがなんやかんや書いてしまいました。

もうちょい続きます。この作品と作者をどうかよろしくお願いします。



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― 新着の感想 ―
質問板から来ました。 個人的に少し漢字が多い気がしました。でも各エピソードに沿って自己成長を感じられる作品に見えます。考えることも沢山あるけどもこれからもマイペースで執筆活動を続けて欲しいと思います。
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