第19話 着くのは決着
覚悟は決まった。これ以上ダラダラやっても確実にただ殺される。なら…
ケイの覚悟が暗殺者姉弟に伝わったのか、雷魔法により吹き飛ばされ砂埃で相手が見えなくても警戒を解くことはなかった。
中々晴れない砂埃。先に油断したのは────
弟の方だった。
「はぁ〜長ぇ…ッ!?」
弟の頭上にナイフ、それもかなりの速度だ。
しかし彼は動揺はしない。速いと言ってもされどナイフ。だが、弟の思考に一つあるものが浮かぶ。
[これは…!対魔のナイフか…!?]
魔力で身体を強化するこの世界、対魔のナイフは全人類の天敵。これが浮かんだ以上、避けないと言う選択肢はない。
「クッ…ソが!!」
ギリギリで回避が間に合う。右目の損傷は避けられなかった。そのナイフは壁に穴を空け消えた。
軽いため息。それは油断と言うにはあまりにも短い。だが、一瞬の気の緩みを見過ごさなかったケイに軍配が上がった。
「大丈夫か?」
姉が弟を心配し、後ろを振り向く。
「問題ねぇ!!」
完成にムキになり、目が少し血走る。
砂埃が消え、今度こそ油断をしないと意気込んだ弟だが…
「な…!!」
いねぇ!どういう事だ!?いや……チッ。あの時か!
───大丈夫か!!
姉の振り向きによりケイを視線から外してしまった。
弟も姉に応えてほんの一瞬、ケイを見なかった。
「何処に……上か!!」
姉が急いで上を見ると、見えたのは巨大なシャンデリアに乗ったケイの姿だった。
あまり気にはしなかったが、ここは巨大なシャンデリアが沢山ある。全て光っておらず、月明かりが部屋を照らしているこの場所。大した警戒はしていなかった。
「まずは…一人だ!!」
足に魔力を集中させ、超人並みの速さを得る。
前に弟をジャンプキックで奇襲したのも同じ手口だ。
「はぇ…!」
二度見ただけじゃケイの速さに対応は出来なかった。
だが、タダでやられるほど彼も素人ではない。
「防ぐ…!絶対に!!」
弟は知っている、ケイの対魔のナイフは持っていない事を。防御姿勢を止めナイフで反撃を取ろうとした。
────────だが、予想が外れた。
「それ。持ってんだよな〜俺もね!!」
服の袖からナイフを取り出し弟のナイフを弾く!!
「こ……いつ…!」
唖然とした弟の腹部に膝蹴りを喰らわせ気絶させた。
カマル先生に特別に習った三つの事。その二つは油断せず相手を騙せというものだった。
そして……最後の一つ。それは気絶技をミスなくやる事だ。綺麗な型から効率の良い場所に当てる技。
わざわざ殺す必要などないのだから───
「貴様ッ!!」
姉が怒り狂ったかの様に突進。ナイフの一つは弟が、もう一つは俺が持ってるから姉に武器はない。
そして…その上には…
「ここまでだ、暗殺者。火魔法」
ケイは火魔法を上手く扱えなかった。魔力量が少なく
火球にしたり、火炎放射器の如く魔法を出すのは不可能だった。
その為イメージしたのは魔力の凝縮。魔力を小さい球体にし、指で…弾く!!
「上。気をつけな!」
「?なっ!」
上からシャンデリア。当たったところで大した事はないが、[ケイなら何かを仕組んでいる]その先入観な姉を回避という思考に働かせた。
「当たる訳……チッまた…!どこに…」
姉が上を見たのを見逃さなかった。
落ちたシャンデリアを盾にしつつ背後に回る。
「案外、後ろにいたりね」
「なに?ガッ…!」
手刀を首へ当て一撃、気絶完了。
最後は彼女らの兄弟愛に助けられたな。
「ふ〜!なんとかなったー!」
声に出して言ってみる。達成感と生き残った安堵感は堪らない。それでも二度とこんな戦いはしたくない。
最初は殺そうと考えたのだが、そこの覚悟は出来なかった。いつか殺そうとした時に躊躇いが出てしまうかもな。そんな事を考えながら部屋を出ようとした時。
背後から、声が聞こえる。
───流石だな……………ケイ・タケダ!!!
何か来る。頭がそう認識する前に強爪でガード。
大剣の重たい一撃に吹き飛ばされる。
「グッ…」
ガードする為、本来全身に漂らせるべきの全魔力を爪に集中させたが想像以上の一撃に頭から壁に激突。
「や……ば…い…」
頭からの出血とダメージを確信した瞬間、鈍い痛みがケイを襲う。間違いなくダメージを受けちゃいけない所に受けてしまった。
魔力の爪に集中させたのが裏目に出る。
「な…んで…ここに…いんだよ」
気絶はしない。何故か分からないが。
「久しぶりだなケイ。本当は俺と正々堂々戦って欲しかったのだが、事情が変わってな。◼️◼️◼️◼️◼️の依頼で…あぁ、別に言ったところで聞こえないか」
「ノ……ア」
神の四天王は一体何が目的なのかが分からない。
ただ、ろくでもない事なのは分かる。
「く…そ」
遂に気絶。ケイは力尽きた。放っておけばいずれ死ぬ。
そんな中一人の女が起き上がる。どうやらノアの気配を感じたり気絶したふりをしていたらしい。弟も同じだ。
「ノア様、兄は…どこに?」
心配そうにノアな聞くだが、その答えは依頼関係を断ち切るには十分な一言だ。
「ん?あぁ…あいつは…殺したぞ」
兄というのは、ノアのつきっきりで忠順に命令に従っていた男がいた。男とは、姉弟と血の繋がった家族。
他人のふりをして、彼女らを雇ったが彼女らは四天王達を人間の範疇で収めてしまった。人ならこう考えこうする、こう思うからここが強く、弱いなど。
それがミスだった。
「……………!!」
姉と弟は深く深呼吸をする。現実を受け止め次する行動を決める。
「残念だぁ、四天王サン。俺たちの味方になれなくて」
弟の発言に、ノアが振り向くと姉はナイフでノアの胸を刺す。
「!?」
大量の魔力に覆われた俺の胸を刺す!?と言わんばかりの顔だ。彼の弱点は自分の想定を上回られると動揺し観察と思考に走ってしまう。
「弟ォ!!」
これだけで二人は連携が取れてしまう。
「雷魔法!!」
壁に穴を空け、ケイを回収。去り際に一言。
「この借りはいつかぜってぇー返すからな!覚えておけ!!」
姉と弟は素早く、大時計から撤退した。
説明!!対魔のナイフとは!
簡単に説明すると…
・体内に刺すと抜かない限り魔法使用不可。
・魔力で作った武器は簡単に破壊可能。
…ができるただのナイフっす。




