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半端者の戦い方  作者: 柑橘系
第四章 第一都市編
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第16話 ザルツの覚悟。


ザルツとリサはセリーナを暗殺しようとした奴を捕まえようと、人をかき分け探したが人どころか痕跡さえも見つける事が出来なかった。わかった事を一つ。

相手は相当手練れと言うことだけだ。


一度、セリーナが知っている事を全員に知らせる為、城で作戦会議だ。いつ狙われるかわからない状況。窓際にケイとリサ。入り口にはザルツが座るようにし、セリーナを囲い込むように会議を進める。


これだけ見れば、中心で園児に読み聞かせをする保育士のような感じだが、今できる理想のフォーメーションだ。


セリーナはケイに伝えた事をそのまま伝える。

神の四天王。その一人がザルツの弟ノアである事は確定ではないが、条件や状況的にほぼ確実だろう。


「今は間違いなく後手に回っている状況。ならどうするか、それは……私が囮になれば良い事ね」

「ちょっと待って下さい!リスクがあまりにも大きすぎます!」


リサが冷静さを失う。無理もない、ケイ達の敗北条件はセリーナの死。


ケイ達の中で、自分ならどうやって囮になるかまで考えていた中でのセリーナの発言は度肝を抜いた。


「王となる存在がこんな所で神に屈してたまる者ですか、大丈夫、私はあなた達を信じて……」

これを言い終わる瞬間、外から爆発音が聞こえた。

かなりの爆発だ。被害は相当だろう。


「なにが…!!」

「セリーナ様は窓に近づかないで」

予想外の出来事に遭遇したものの、狙われた訳ではない、少なくとも今は。


リサは即座にセリーナの近くにより防御体制。

ザルツとケイで確認。

爆発…と言う訳ではなさそうだ。見るからに……

()()()()()()と言うべきか?


砂埃が消える。そこには…


「…………チッ!!」

「なっ………」


「久方ぶりだな、ケイ」

神の四天王、ノアである。あの異形の姿を見てザルツは確信した…してしまった。あれは弟か?本当に?、だが…気配がそっくりだ。


─────い!

──────ぱい!!

───────先輩!!!

「ザルツ先輩!!!」


「はっ!!」

意識がここに戻った感覚。怒りと悲しみで満ちた感情が少し薄まったような気がする、あんな相手でもここにいる。


「ザルツ先輩、今街で暴れられたら困る……

止めますよ!!!」

「了解!!!」


城から飛び降り、上から襲う。


「かかってこい!!」

ノアが大声を上げる、その声に押されるがやる事は決まっている。援軍が来るまで時間稼ぎだ。


「強爪!!」

右腕で魔力の爪を作りノアの頭を狙う。


「フンッ!!」

ノアの持つ二本の剣。魔力で作られた者で間違い

ない。一つは軽くしなやかな短刀、一つは重く豪快な

一撃を放てる大剣。この二つの大袈裟な緩急がノアの持ち味だ。


実際、今も大剣で軽く弾かれて終わった。


「ザルツ先輩!!」

俺は囮だ。メインは…!!


「火魔法!!」

火球を作り連発する。魔力量が圧倒的なザルツは

絶え間なく威力を下げずに畳み掛ける。


ケイはノアの剣を踏みつけザルツの元へ戻る。

せめて…ダメージくらいは与えられていれば…!!

そう思ったのは良くなかったか。こう言うのは欲張ってなんぼなんだと思う。


ノアは……無傷だ。


「ケイはともかく、ザルツ?だったか?」

「………なんだ」


こいつは…()()()()()()だと兄か……フフフ!!


「そうか、この体の兄か!!お前が兄!?

ハッハッハッハッ!!!無様だなぁ!!!魔法使いだから騎士になれないと!」


なんの話だ…?とケイはザルツの方を見るとザルツは怒りをギリギリで抑えていた。いつも冷静な彼がここまで…!


「弱い兄よ、かかってこい」


「うるさい!!弟を……ノアを……返せ!!!」

奴の挑発にザルツは飛び出して、剣を作る。


ザルツは剣の鍛錬を怠っていない。

だが、奴に勝負を挑むのは……


「クソっ!!」

速度だけでは、ケイはザルツ先輩に勝っている。

すぐに追いついて援護を始め……な!!


「ザルツ先輩!!!ダメだ!あいつ完全にカウンターの構えに…」

あいつの一撃なんて取るに足らない。そんな意思が透けて見える。


「マジかよ!!間に合え!!!」

ノアが剣を振るう、ザルツは切られる瞬間気づいた。

誘い込まれたのだ。死ぬ、逃げ場はない。


「死ね」

短く、重くそう告げるノアの一撃。

血飛沫がザルツの目に映る。

ただ痛みはない。


「ケイ…?」

ザルツを守ると言う点においては間に合った。

だが、自分事守る事は出来なかった。


「無事か…よかった」

血を流しながら倒れる。僕の余計な行動のせいで…

酷く損傷した胸からは血が流れる。止まらない。


「フッ、本当に無様だな。ザルツ。」

ザルツを鼻で笑う。当の本人はその場に立ち尽くし、

ショックそうな顔のまま何もしない。


「三日後だ。まだお前は助かるだろう。その時にもう一度ここで戦おうケイ。今度こそ足手纏いがいない

所でな」


その目線はザルツを見ていない。才能で言えばザルツの方があったはず、いや、あったのだ。

そうなのに、ザルツは焦った。


心のどこかで諦めていた弟の出現、感動とは言えなくても、再開できるかもしれないそう思ったザルツの心を悉く打ち破った。もう、ザルツは………


────────────────────────


「ここは?」

「目が覚めましたよ、みなさん」

僧侶と思われる女が他の人に目を配る。

遅れてきたのはザルツ、リサ、そしてセリーナだ。


「ケイ…」

言葉を紡ごうとして、何も言えないザルツだったが、リサが背中をかなり強く叩く。その痛みにザルツの頭がクリアになったのかもしれない。


「ごめん、僕のせいで君を殺す所だった」

頭を下げる。深く、更に深く。


「俺は別に大丈夫っすよ」

「ごめん…」

涙声で声が掠れる。もうザルツの心はもう限界なのかもしれない。


「本当にごめん……結局、君の様に冷静にはなれなかった…」

これ以上声が出ない、涙が出るのを全力で堪えているがもう無理だろう。


リサ達は黙る。黙ってしまう。あれに挑むのだ。自信を無くしてしまう気持ちが分かる。

だが、一人だけ黙らない人間はいる。


「弟弟言いながら、結局は怖気つくのか?ザルツ」

「…えっ?グッ!!」

ザルツを殴り飛ばす。我慢の限界だ。ここはザルツ抜きで作戦を進める方が合理的なのだろう。

だが、ザルツを諦めたくなかった。


「ケイ!!!」

リサの言葉を無視して、ケイは歩む。

吹っ飛ばされたザルツは唖然としている。


「立てよザルツ。こんな所で諦めるのは俺が許さない」

もう無茶苦茶だ。







男には一発殴った方が良かったりします。

難しいですが、友情は綺麗であるべきです。

皆様には腹を割って喧嘩できる仲の人はいますか?

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