第13話 貴族アルテミア
第一都市編、始まり始まりー
「……………」
「………………」
「…………………」
学校を出て、三人は困った事が起きた。今は雷雲が空を覆い、とてつもない大雨が降っている。だが今問題なのはそれじゃない。今の問題、それは……
「囲まれたな」
ケイがぼそっと呟く、囲まれた。と言うのはグリフォンの群れである。鷹の様な頭にライオンの様な体が着いている。見た目は最高にカッコいい。生態については協力して狩りをする事は知っていた。まさかここまで群れる事は知らなかった。
「数は……5…いや、6だな。こんなにも群れるとは。」
冷静にザルツは数え始める。するとリサが素っ頓狂な声を出す。
「おかしくない!?グリフォンって、こんなに群れるの!?」
「あまり調べなかった俺が悪いな」
後悔し、反省する時間はここまで。次はどうやって
ここを乗り越えるかだ。
「ザルツ先輩!!能力で俺たち以外の重力を変えられませんか!?」
「無理だ!俺たちごと重力負荷がかかってしまう!」
ケイ達を穴にしたグリフォンだけ重力負荷を掛ける行為、イメージで言うとドーナツの形が近いが、
そんなイメージを簡単に行える程、ザルツの能力は簡単じゃないし、ザルツの重力変更は数秒使うだけで魔力を8割方持っていかれる最終奥義。今使うべきではない。
いつ攻めてくるかわからない状況。だが、作戦はもう一つ思いついている。これは条件を一つだけクリアできれば勝ちだ。
「ケイ。どうやってこの群れを突破する!」
「そりゃあもう派手に!リサ!!能力解禁!!
頼んだ!」
「りょ〜かい!」
リサの能力。それは、投げた武器のコントール。飛ばした魔力を動かせる、彼女の鎌はその為にもある。
そこから魔力を送り回転量を増す事も出来る。
「よっと!」
リサはいつもの大鎌ではなく、小さい鎌を二つ取り出す。武器に魔力を込め、グリフォンに投げる。
「ザルツ先輩、俺の合図に合わせてください」
「……わかった!!」
ケイ、ザルツ、リサはその合図を待つ。
「ギュイイイィィィィ!!!」
相当な速度を誇る彼女の鎌はグリフォン達を数回切り刻む。鎌は俺たちの周りを回転し、グリフォンは危険を察知し一歩下がる。
賢い生き物は、危険には絶対近づかない。機を今か今かと待ち続けている。その待ちの姿勢を彼らは見逃さない。
「今だ!!バラバラに飛べ!!」
俺達は北、東、西と高く飛ぶ。グリフォン達は着地を狙うつもりなのだろう、俺達と言うより、その足元を鋭く見ている。
「それが敗因なんだよ、グリフォン達!」
ちょっとだけイキる。
この生憎の天気を使う!!
手の甲から指を絡ませて魔力を空に向け、放つ。
「雷魔法!!」
魔力+落雷の威力は絶大。ケイが使える魔法の中じゃ
最大火力だ。流石自然物。
「ふぅ…」
なんとか命中できた。丁度ケイ達が囲まれていた穴に
雷を放つイメージがやりやすかった。
「やったね!」
リサが親指を立てる。勿論。上にだ。
「……………グッジョブだ、ケイ!」
ザルツ先輩は少し黙った後に、リサと同じく親指を立てる。
グリフォン達は、いい感じに焼けた肉に変わり果てる。
「美味しそ〜!!」
リサは食べたそうにしていが、ギリギリで防ぐ。
「待て待て!!食うな食うな!!こんなん絶対
まず………ん?」
「え?グリフォンが…?」
ボロボロと体が崩れ、消えていく。
「…………?」
謎はあったが、誰もグリフォンは倒した事は無かったからどう言うものか知らなかったし、前にちょこっと読んだ本では、グリフォンの死後については書かれては無かった。これが普通なのか…?
こうして謎が生まれたが、特に気にせず街に着いた。
ネオニィシティ。名前だけ聞けば電気を用いた超ネオン街の様に感じた。
実際のところはヨーロッパの美しさ溢れるレンガの家々。そして何個か大きい城!!かっけぇ……
壮観だ。これが貴族の街……!
「取り敢えず、今はどうする?ザルツ先輩。経験者として…おなしゃす!」
リサはザルツに話を振る。慈善団体として国という国を飛び回っているザルツに振る。こう言うのは経験者に聞くのが一番。
「経験者って……普通の意見として、まずは宿を確保しよう」
「そうっすね、近いところは……」
「ここ。だね」
突如背後に女性の声。近っ!となる前に三人は反射で攻撃体勢を取る。
「あなた達……まぁ、及第点ってところからしら」
えらっ……そうに語る女。フードを被っていて顔が見えない。服装もどこか古びたローブをかけていて
一切わからない。
それに…最も怖いのは接近を許した時、密かに感じたもの、殺気だ。他の二人に比べて俺はそれをよく理解してなかったが、今なら理解できた。
肌の全てがピリピリする感覚。あいつと戦った時にも感じなかったのに…
「誰っ!?」
「待て!街中だぞ!」
鎌を出そうとしたリサをザルツが咎める。
「まぁ、警戒した所を評価するよ私は」
上から目線で、ひたすら見下しているような口調だ。ケイ達はそれについて言い返せない。
「………どちら様で?」
ザルツが最初に聞く。すると女はフードを取る。
その姿は古びたローブには似合わない程…美しい。
「どうも、私はセリーナ・ラフ・アルテミア。
あなたを招待したのはこの私。」
貴族らしく、軽くぺこりとした後、ケイ達は大焦りで
頭を下げる。
「早速だけど、見せたい物があるから、
私の城へご案内するわ」
再びフードを被り、テクテクと歩く。
フードを被る理由は……まぁ、王族だしな。
こうして着いたのは赤を基調とした美しい城だ。
「凄いな…シッヴァカーネ家の城よりちょっと大きいかな」
とんでもない事が聞こえたが無視だ。この人達貴族なんだったなぁ!そういえば!
「私の家にようこそ。それじゃ……ああちょっと待って。その前に…」
手を叩くと、何者かによって背後に何かを当てられる。
「なっ…!」
「「ケイ!!」」
リサが今度こそ鎌を出し、ザルツは魔法を出そうとしているが、遅い。黒服の男にケイは生殺与奪の権を完璧に握られた。当たっているのは…ナイフだ。
「声を出すな」
セリーナの氷の様に冷たい一言。耳元まで近づき見定める様にケイを見る。
「今から起きる事、見る物、全て…!他言無用だ。約束。出来るよな?」
「………………」
ケイは黙る。引き返せない。それはとても恐ろしい。
だが、それを選んだ事により何か進むかもしれない。
今は……!
「ケイ!約束しちゃダメ!!」
リサは完全に戦闘モードだ。だが、俺の選択は…
「わかった…約束しよう。リサ、ザルツ先輩。
信じて」
「いい返事だ。」
もう良い。後ろの男に手で合図し、地下に案内される。
「本来、私の国は罪を犯した人間を私刑で裁くのは無論禁じられてるし、誰かを軟禁するのは最もだ。ただ、私はそれをしている」
あまりにも怖すぎる笑みだ。最初の凛々しいイメージを返して欲しい。
「勿論……誰にも語りませんよ…姉御…アハハハー」
判断を秒で誤った様な気がする。ごめんみんな。
リーダーが戦犯かましたわ。
「本当に良かったの?まぁ…信じるけどさ」
リサはひそひそとケイに話す。少しばかり不満がある様だ。
「わがままでごめん、けど、俺の勘が言ってるんだ。このまま進めば良い方向へ行けるってな」
「油断するなよ、ケイ。実質的リーダーなんだから」
「分かってます」
[リーダー]か。そうだとしたら、俺は仲間の命と自分の夢を天秤にかけ後者を選んだ。次からは俺のわがままは後回しにした方がいいな。
「ボソボソ喋るのはやめておいた方がいい」
セリーナには、聞こえていた様だ……
「さて、着いたぞ。お前達には絶対協力してもらう。その為には犠牲は厭わない」
見えたのは牢屋。種族問わず様々な人が捕まっている。ただ一人だけ、気になる人物がいた。
「何で……ここに……」
ケイ達は驚きのあまり、これ以上声が出なかった。
「貴様らもこうなりたく無かったら、協力
するんだな」
その人物…それは……
「閉じ込められちゃった…」
獣族の護衛兼戦士の……ハウ・ゲレーロである。
(人物名)
セリーナ・ラフ・アルテミア
国王候補の一人。この国1のエゴイストである。
確実に勝つ為に、ハウとケイに何を依頼したのかは
不明。
足音、気配を消すことを得意としている。
好物は、クッキー。




