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半端者の戦い方  作者: 柑橘系
第三章 学園編
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第11話 学校。

数日後、正式にセイト学園に入学したケイ達は、

宿で…………勉強中である。まだ授業も始まっていないが、授業中恥をかきたくないので、ある程度の常識となる部分を抑えている。

魔法の基礎、剣技の基礎くらいしか覚えていない彼にとって、勉強量はどんどん増えていく。


「ああああ!!!!」

辛さ故の発狂。勘弁してくれ!!!

致命的な弱点は文字の読み書き。ケイはこの世界にやって来た時、本人は疑問なくレターと何気なく話していたが、何故会話は出来たのか。理解していない。


そういえばあの時は気にしなかったが、レター先生から渡されたあの本、バリバリ日本語だったんだが。

あれは一体……?まぁいいや。今はそれどころじゃない!!


単語帳を作り、勉強→休憩(単語帳をやる)→勉強。

これを繰り返す。とにかくやる。質の良さの確保は膨大は無駄が必要なのだから。これ必要か?いや、いるか?など取捨選択を繰り返す。


単語を頭に叩き込む。自分の頭脳を信じつつ、勉強する。朝から夜までただひたすらに。正直ここまでやれたのは才能だと自分を褒める毎日。授業は一ヶ月後。


リサ曰く授業は選択制。自分の働きたい所で生きる授業。そのシステムは日本とは変わらない。

基本的には魔法の強化や剣の扱い方など。武力をメインに訓練するか、ひたすら将来に生きる勉学を励むか。


「ここまでやれたのはケイ、本当に才能だと思うよ」

「ありがとうございます先輩。自分の才能をここまで伸ばす事ができたのは先輩のお陰です」

実際、ザルツ先輩とリサは修業の合間に勉強を度々見てくれた。ありがたい。


「と言うか、別にテストじゃないんだからそんなに頑張んなくても良いんじゃない?修業も一回もして無いし」

呆れたようやリサは呟く。


「勉強して損する事はないだろ」

「そうだけどさ、私達が行くのはあくまで一年。そこで戦いのノウハウを教えてもらうのが一番じゃ無いの?」

「ごもっとも。だけど、この世界にはこの世界のルールがある。それに準ずるのは当たり前。みんなに迷惑かけたく無いしね」


勉強を頑張ろうと思ったのは、どちらかといえば後者だ。ルール云々とかぶっちゃけどうでも良い。

仲間になってくれた皆んなに迷惑かけたく無いのが本心。ケイは照れくさいから言わないだけだ。


「そっか、んじゃ、頑張ってねー!!」

リサはザルツと修業に明け暮れている羨ましい。俺もそっちに行きたい!!


勉強の休憩ついでに、ギルド?と呼ばれる冒険者協会についても調べてみた。


特徴としては─────


①15歳以上なら誰でもなれる。

腕っぷしの強さと、ある程度の協調性だけしか求めてないとの事。全員超えてる為問題ない。


②チームを組むべき。

個人……所謂一匹狼である人間はごく少数。

解散も結束も自由、場合によっては大人数で討伐にあたる場合もあるらしい。


と…他にもあるが今はここまでにしておこう。

最後まで見たくなってしまう。


文字もなんとなくだが覚える事に成功したので、

多分大丈夫だろう。実際この本を読めている。誤訳とかしてないよね?


………多分大丈夫だ。

こうして勉強を続け、翌日は登校日だ。

しかし不思議なものだ。日本の常識とかそういうものは覚えているのに、そこで出会った人、学校の出来事など覚えていない。それが本当に不安だ。


もしろくでもない人間だとわかった時、俺は向き合えるのだろうか。


今は関係ないか。その時になったら考えよう。それに向き合うために記憶を取り戻そうと思っているのだから。


[翌日]


「ケイ、ちゃんと文字読める?」

「あぁ、リサ達のお陰で、なんとかね…」

空を眺める。あぁ……雲が綺麗だ。どこか大きいパンに見える。


「本当に大丈夫なの?」

「一瞬たりとも娯楽に触れる事なく、ずっとやってたんだ。ケイの疲れはひとしおだろうね」

ザルツとリサはケイに憐れみの表情で静かに見つめる。嬉しいと同時に少し悲しい。


こうして学校に着く。山の上に建つ城のような学校は異世界なのだと実感する。この一年で何を学ぶのかがこの先の冒険者人生?に役立つかもしれない。


教室はあまり多くはない。二つだけ。量より質を意識してるからか、マンモス校…と言うわけでは全くない

あんな試験をする以上、そりゃあそうか。

じゃあなんでこんなに広いの??という疑問も出た為調べて来た。


ズバリ、ここが冒険者協会ギルドの本拠地だからだ。学校と言うところしか聞いてなかったし、違和感を抱かす聞かなかった。学校用の入り口とギルド用の入り口があると言うことも知った。


リサは教室に入り黒板に書いてあった席順を見ると…


「私達の席は…あ!!ザルツ先輩だけ隣のクラスだ!!」

お前の席ねぇから!!

……ではなく、ここに書いてないのならクラスが違うということ。1ーAと1ーB。至ってシンプルなのだ。


「あ本当だ。じゃ、また」

ザルツは隣の教室に行ってしまった。

数分後、恐らく担任と思われる男が教室に入って来た。


「どーも!担任になりました。カマルです」

第一印象は好青年で、若い。それでいて……


「あの人、多分すごい強いよ」

リサが耳元に小声で囁く。俺でもわかる。

この人から魔力が溢れている。本当に強い、他のみんなもそれを悟っただろうか。一体どれほどの研鑽を詰んだのか……


「んじゃ自己紹介だな、よろしく!!名前と、

魔法使いか戦士か、意気込みについて話してくれ!」


カマル先生は爽やかに、物事を進めて行く。

俺達の席は窓際。後ろから数えて一番、二番だ。

まぁ、八人しかいないから早いんだけど。

気づけば後ニ人で俺だ。


「名前はザック・エヴァレット!!戦士です!!

立派な騎士になれるか分かりませんが…頑張ります!

よろしくお願いします」


俺と同じ黒髪のどこか筋肉質な男だ。

改めて俺の髪は、何故かよくわからないが白も混じっている。鏡を見る機会が無かったから分かんなかったから、気づいた時のショックたるや……


他の四人の自己紹介を聞いていなかったのもあるが、この男の名はどこか頭に残った。魔力だけ見れば俺よりかは下。だが、戦士の厄介な所は魔力量で実力を判断できない所。油断すらさせて貰えない。


勿論魔法使いもそれが全てというわけじゃないが、少なくとも一つの指針にできる。

そんな事を考えていたら、後ろのシスターのような服装をした女子に順番が回った。


「レノア・マフォードです……あ……えっと……」


金髪で綺麗。が第一印象。って、何を言ってるんだ俺は。それより彼女は何を言うべきかを忘れたのか、言葉が詰まる。

すると。


「魔法使いか戦士、どっち?」

前の席の男。ザックが、後ろの女、レノアをサポートする。


「あ、そうだった……!魔法使いで…僧侶です、えっと、よろしくお願いします…?」

おおおお!!と周りで歓声が起こった。

レノアは恥ずかしそうに座る。

なんで……?と思った瞬間、脳内メモを思い出す。


そう言えばレター先生が……

───── 職業は、大きく分けて戦士が魔法使いかの二択だ。そこから僧侶など武闘家など枝分かれする。


……と言っていた。彼女はその枝分かれなのだろう。

彼女の魔力は他の魔法使い・戦士とは違う。

どこかキラキラしてる。少し眩しさまで覚えてしまう。


「次ケイ君、お願い!」

カマルの声がけで、ケイはゆっくりと立つ。


「ケイ・タケダ。戦士でも魔法使いでもないです。

よろしくお願いします」

ザワザワ……となると思ったがならなかった。

イーヴィさんとの戦いでそう言えば堂々と宣言したのだった。半端者───と。あの時別にカッコつけるつもりでは無かったが、改めて考えると全然カッコよくないな。


その後、リサの自己紹介も終わり、一時間目が終了。

次の時間から授業をする。さて、準備を…と思いバックから教科書を出し見ていたら、ある男に話しかけられた。


「君がケイ君だよね!」

ある男、それはザックである。


「そうっすけど……」

「君の戦いを見ていたよ!!僕も君みたいに戦ってみたいなぁ!!あ、そんな事より」

ザックは声をあからさまに小さくし、誰にも聞こえない声量で続ける。


「一年で終わっちゃうんだろう?理事長に頭下げた人がいるって噂になってたよ」

どこからバレた…!?

………別にいいか。もう終わった事だし……清々しい表情で答えよう。


「過ぎた事なんで…!」

「君が言うんだそれ」

呆れた様子だったが、すぐ話を戻した。


「この一年が終わった後、君は何をするんだい?」

「取り敢えず、いろんなところに行っていろんな人に会って話を聞いて…元の世界に帰ろうと思ってるんだ、上手くいくか分かんないけどね」

そう言うと、ザックは驚いた表情でケイの肩を掴む。

痛い!!かなり痛い!


「転生者!?いや…転移者の場合もあるのか?それにしても珍しいね!」


「そうなの?」


「ますます、君はレアな人間なんだね、色んな例外が君に当てはまってる」

そう言われると照れ…!!待って褒めてるか?これ。


「僕もカッコいいヒーローになりたいんだ!!」


「いいと思うよ、ヒーロー、と言うかもう適正があると言うか」

かっこいいもの目指してるな、ヒーローか、俺も言われてみたいかも。


そんな世間話をしていたら、先生が戻ってきて、授業を始めた。魔法に対する新しい価値観と、独学じゃ絶対分からなかった魔法の事を知れた。


例えば…火魔法の放出方法。でも、これは切り札にしておこうかな、みんなにも内緒だ。


訓練から一人で戻っていると気づいた。入り組んだこの学校をまだ完全に理解はしてないという事。

リサの案内のお陰で遅刻せずにすんだんのだ、帰りはリサが先生に聞きたいことがあるからと先に行けと……


誰かに聞こ、とケイは割り切り人を探していたら

近くから男女の言い争いが聞こえた。喧嘩中?

青春の邪魔をしては行けない。先に行こうと思った時、疑問に思った。


「……にしては随分と、激し過ぎはしないか?」

あまりこれを追求しちゃいけない奴かなと思ったが、良心の呵責が、ケイを襲う。


「ちょっとだけ見るか、殴り合いになったら止める感じで、そう、手を出すのは悪い事だから」

とかなんとか言ってるが、好奇心である。


深呼吸をし、魔力を抑え、喧嘩に耳をすます。


「本当に良いのか!!オレさまの言う通りにしなきゃ、痛い目を見るぞ…!!」

「なんであなたの言う通りなんか…触らないで下さい!後、私には好きな人は……い、いますから!」

ちょっとそれは声色からして嘘くさくないか?

絶対信じないだろ。


「こいつ!!オレという男がいながら他の男に移る気か!!」

あぁ、あっさり信じた。


そんな事よりこの女性の声、間違いなく同じクラスのレノア・マフォードさんだ。いつ助けるべきか………


「あなたの物になった訳じゃないです!いい加減にして下さい!」


「もういい!!言い訳はうんざりだ!!オレも我慢の限界だ!!はぁ〜!その身体に…!!

聞くしかねぇ〜なーー!!!」


男が彼女の胸を掴もうとした瞬間、突如後ろの扉が開き、後ろからケイが魔力で出来た爪、強爪(きょうそう)を用い近づく。


「なんだ……なっ!!」

爪を首に当て脅す。できる限り、声を大幅に変えて。


「振り向いたら殺す。彼女は俺のものだ。お前如きじゃ彼女は助けられん」

我ながらいい感じの脅しだ。

と、意味のわからない所で喜んでいた。


「ヒッ!!いいいいい命だけは…!!」

嘘だろ、生徒だって気づいてないのか?この男、よく見ればこいつ教師じゃねぇか!!生徒に手を出してんのか!?


てか、俺の爪見てなんも思わないってことは……誰も俺のことなんて見てなかったのか…一応、今期ベスト4なんだけど…


勝手且つどうでもいい事にショックを受けてるケイは放っておいて、

彼女─レノアは目を大きく見開いて驚いている。


魔力の爪を見て、男は震えている。

さて、どうしてもんか……あ!これで良いな。


「今すぐここから出て行け、俺の機嫌が変わらぬ内にな!!後、俺の姿を見ても殺す。」

ドスを聞かせた声で威圧。これはかなり効いた。

男は窓を割り、走って行ってしまった。


「あ!!ちょ!!窓割るなよ!!」

バレたらヤバイな……!!なんとかして戻せないものか……!う〜んと考えたら、レノアさんが話しかけて来た。


「大丈夫だと、思います。私が…えと…ちゃんと説明するんで、大丈夫…です…!」

前向きな事を言ってるが、目はまだ涙目である。

その様子を見て、あまり追及するのは辞めておこうと思ったケイは戻る事にした。


「そっか、じゃ、よろしく!!」

取り敢えず俺たちが怒られずに済むなら良いかと思い、部屋から出ようとする前に彼女に引き留められた。


「あの!!」

「ん?」

「ありがとう……ございました、お陰で…無事です」

涙目のまま、ケイに感謝する。

するとケイの顔が少し赤くなる。


「っ!?あ、あぁ…そうか…なら…いいけどさ」

その様子に少し、()()()と感じてしまった。リサだって美人だけど、この人とは違うベクトルから、至近距離で感謝されると…。


「……………………」

一目惚れに近い感じだが、ケイはそれを認知してない。可哀想に、恋を知らないなんて──────


「どうかしましたか?」

心配そうに聞かれた為、ケイは焦って答える。


「なっ、なんでもない!俺は先に戻るから……あ!戻り方教えてくれる?迷子なんだった」

「あっ!はい。そこの階段を登った後左に曲がって……」


こうして教室に戻れたケイは、一体何が起きたのかを理解できずに、常に考えていた。


[翌日]

教室で、リサと話していたらレノアが突然背後から話しかけてきた。


「あの、ケイ…君。ちょっと良いですか?」

「え?あぁいいよ、ごめんリサ、ちょっと抜ける」

それを聞くとリサはニヤニヤとし始め、心の中でこう思っていた。


────ケイったら少し喜んでるのバレバレ。もしかしたらレノアちゃんとなんかあったのかな?キャー!

かっこいい〜!!


冷やかしたくはなかったが、見たい。そんな感情に支配されかけたが、我慢して見届ける事にしたリサなのである。


───────


「で、話って?」

告白の様なシチュエーションだが、今回は違う。


「君ともっと仲良くなりたいから、話そうかなって」

「なっ!?」

ケイの心を弄ぶのは、敵でもなんでもなく彼女かも知れない。

















2話で学園編を作る言った手前引くに引けなくなった男。

それが私です。

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