第8話 神の使い。
「結界?魔法ではないな」
ハウさんがそう言う。俺も同じ考えだ。魔力を一切感じない。
「同感です。取り敢えず……今はどうしますか?」
「同い年だろう、敬語はいらん」
「……分かりました、それで、どうする?」
正直、敬語は止めろと言われて、すぐ敬語をやめれるかと言われたら無理だが、今は味方に少しばかりの不快感を残したくないから、相手に合わせる。
……ってそんな事はどうでも良くて!!
「準決勝、見ていたぞ。随分と策略に長けていると見た!」
「え?」
ハウは衝撃な事を口にする。
「俺を使え、参謀。元々、俺の身分は(獣族の)王の護衛なんだ、作戦があるならそれを信じ。戦う」
「………今はこれが何なのかわからない以上、アイツを相手取りながら、この空間を破壊するのは不可能だろう。なら、内側で破壊できないなら外側から破壊してくれるまで、耐える!」
お互いに疲弊してないからこそ、できる作戦。勝つ必要はない。耐えれば良いのだから。
「了解だ!!参謀!!」
大剣を作り、ハウは相手に突撃する。
戦士と魔法使いの身体強化効率の差を思い知らされる。
「速いなクソ!!」
数秒遅れて攻撃に参加する。
「ふぅん!!!」
ノアと名乗る異形が、二つの剣を振り下ろす。
一つはかなり重そうな大剣、大きさはハウを超える。
二つは短刀…あの大剣と比べたら短いけど一般人が作る剣にしてはデカいがな。
必然的に俺が短刀、ハウが大剣を担当し、奴の猛攻を受ける。体の奥底から震える感覚。試験では殺してはいけないと言うルールがある。今やっているのはどれほど相手にダメージを与えるか、ではなく、どうやって楽に殺すかの戦いだ。ルールは無用。
「グッ!!」
「ぐわっ!」
壁際(結界の端)に吹き飛ばされる。どうしようもない。経験の差。これを埋める事は出来るが覆すことは無理だ。
「ふむ……」
顎を触り、俺達をジロジロ見る。顔の形がハッキリとしていない。それだけでも不気味なのに、黙っているのは更に不気味だ。
「一人は、防御は良いが受け身を怠り、無駄なダメージをくらい。一人は、受け身こそ良いが、防御が脆く
大きなダメージで、反撃に出れてない。未熟すぎる」
奴は残念そうに呟く、遊ばれていると言う事実が、ケイとハウ、二人に屈辱を味合わせた。
「簡単に、未熟とか言ってんじゃねぇぞ!!」
まだ策はある。ハウもケイも諦めてなどいない。
「闇魔法!!」
ノアの足元に闇が出来る。勝ちを確信していた為、足に闇に吸い込まれる。
ケイとハウにも闇が出来るが、決して恐れてなどいないから、引き摺り込まれない。
「今だ!!!結界を壊せ!ハウ!!」
「任せろ!!」
二人で同時に、結界に向かって攻撃をする。
少しずつ割れるガラスの様な音が鳴り、結界にヒビが入る。
「チッ!!」
ノアの圧のある舌打ち。今まで生きてきた中で最も怖い舌打ちだ。闇から脱出し、闇が消える。
「やるではないか!!だが……それで勝った気になるなよ!!」
「それはどっちでも良い、四天王。」
コロッセオの上から聞き覚えのある声が聞こえた。
誰よりも俺の面倒を見てくれた人。それは…
「レター先生!?」
「久しぶりだな」
そうですね。そう返事する前に、先生はノアに切りかかる。
「貴様も悪くない実力の持ち主だ……残念だが、今はここまでだな。去らば」
足に力を入れ、高く跳躍し、どっかに行ってしまった。
「遅かったか……まぁいい、奴を追う。お前らは休んどけ」
レターも後を追う。その速度は、レターに勝っているとしてか思えない。
「なんとか、生き残れたな、参謀」
ハウが、俺の肩に手を置く。俺もハウの背中に手を軽く叩き、互いに労う。
「ああ。本当に……なんとかね」
二人まだ、思ったより仲良くなれたことに気づいていない。
書いててハウが好きです。参謀呼びって良くある話だけど、やっぱり好き。




